8月の読書メーター
読んだ本の数:28
読んだページ数:9825
ナイス数:3335
終活中毒の感想
4つの短編、「SDGsな終活」は余命宣告された妻の財産を狙うクズ男、ブラック秋吉。「最後の終活」は妻に先立たれた男の元に現れた音信不通だった息子の正体、ラストは読み心地良し。「小説家の終活」は人気作家の遺作を巡るもの、ハッピーエンドでほっとした。「お笑いの死神」ピン芸人の六ちゃんが最期に遺した笑いと見守っていた笑わない男の正体、泣き笑いの佳作。全部面白かった!
読了日:08月02日 著者:秋吉 理香子
答えは市役所3階に 2020心の相談室の感想
2020年7月、市役所に開設された「こころの相談室」。コロナ禍で悩みの真っ只中に居る人々の話を聞くのは臨床心理士の晴川と認定心理士の正木。将来の夢・婚約者・幸せな未来・人間の尊厳・生きる気力、失ったものは様々な5人は悩みを解決出来るのか?晴川さん、鋭すぎ!正木さんの人柄はほっこり。しかし、守秘義務があるから他に漏れることはないにしても、2人の相談者の秘密を暴くようなおしゃべりは少し残念。
読了日:08月03日 著者:辻堂 ゆめ
リラの花咲くけものみちの感想
北海道の大学の学生寮に入る冒頭のシーンから、ぐっと心をつかまれ作品の世界に没入。送ってくれた祖母・チドリから中々離れることの出来ない岸本聡里。そんな聡里が学生寮の仲間や先輩たちと関わりながら獣医を目指して成長してゆく。幼い聡里を過酷な環境から救い出し、将来の夢へと送り出した祖母の愛情。感動本!お薦めです。
読了日:08月04日 著者:藤岡 陽子
鈍色幻視行の感想
映像化が撮影中の事故や出演者の心中、カメラマンの急死など三たび頓挫した小説「夜果つるところ」。その作品と著者・飯合梓の謎を追う小説家の蕗谷梢は関係者が一堂に会するクルーズ旅行に参加する。豪華客船で二週間、映画監督・プロデューサー・編集者・姉妹で漫画家ユニットの二人、それぞれが語り出す作品と飯合梓への思い、次々現れる新事実と新解釈。旅の終わりに梢が出した結論。「夜果つるところ」が刊行されたということで、読んだら理解出来るか?恩田さんの世界観たっぷりだが、長かった。
読了日:08月07日 著者:恩田 陸
ソロキャン! (2) (朝日文庫)の感想
シリーズ第2弾。10年ぶりにキャンプを再開した千晶、ソロキャンを心配する母のことや推し活でソロキャンを始めた少し面倒な後輩にキャンプ指南をしたり。売り場にキャンプ用の食材コーナーを設けたり、天敵の比嘉次長と思わぬ場所で遭遇して意外な展開になったり。千晶が作る適当なキャンプ飯が美味しそうで、食べたくなる。さて、仕事もキャンプも順調な千晶、次巻ではどういう展開になるのかな?
読了日:08月08日 著者:秋川 滝美
約束した街の感想
在日外国人のニナとジョンホ、父の犯した罪で転校を繰り返す隼。はみだし者の3人が交わした約束。隼のもとに中学卒業以来会っていなかったニナの15歳の娘・ジーナが突然現れ、ニナの行方を探してくれと言う。タイムリミットは隼がロンドンへ赴任するまでの5日間。神戸を舞台に過去と向き合う隼とジョンホ。うーん、それなりに面白かったんだけど、伊兼さんのこれまでの作風とちょっと違う感じ。
読了日:08月09日 著者:伊兼 源太郎
水車小屋のネネの感想
良かった!感動のうちに読了。母親とその婚約者に邪険にされ、18歳の姉と8歳の妹は家を出て2人で生きることを選んだ。水車小屋にいるヨウムのネネの世話をしながら蕎麦屋で働き妹を学校に通わせる。周りの優しい大人たちと賢いネネに支えられ2人は成長してゆく。自分たちが受けた恩を他の人にも分けてゆく。この山あいの町の人々に比べて、母親たちが酷すぎて怒りを覚えた。ネネに会いたい、そして美味しいお蕎麦を食べたくなる!お薦め本。
読了日:08月10日 著者:津村 記久子
なんとかしなくちゃ。 青雲編の感想
1970年生まれ4人兄姉の末っ子梯結子の物語。4歳の結子が砂場を他の子どもたちの独占から遠ざける工夫から始まり、大学卒業までの問題解決と調達人生。時々入る恩田さんのつぶやきが面白かったが、大学の城郭研究会のあたりはちょっと長く感じた。さて、大学卒業して結子がどんな活躍をするのか、続編が出たら読んでみたい。梯家の教育方針がユニークで子ども4人が自分の進路をしっかり決めているのが凄いと思った。
読了日:08月11日 著者:恩田 陸
ジウX (単行本)の感想
生きながらにして臓器を切り取られた死体が…。のっけから陰惨な事件で捜査にあたる東警部補。宿敵・土屋昭子からの依頼と陣内の店に現れた奇妙な客たち。NWOの狙いと相次ぐ殺人事件、敵の手中に落ちたジンさん救出作戦。歌舞伎町セブン、これからどうなるのか?警察に愛想を尽かした東警部補はセブンに入るのか?早く次が読みたい!誉田さん、相当某国がお嫌いなのね。
読了日:08月13日 著者:誉田 哲也
つぎはぐ、さんかくの感想
惣菜屋を営む兄・晴太と妹のヒロ、歳の離れた中学生の弟蒼。弟の進路問題から姉のヒロの心配は募るばかり。親のいない3人を温かく見守る小料理の優子、常連客の日村や花井。物語が進むにつれ明らかになる3人の出生の秘密。いつまでも子供だと思っていた蒼の成長、居場所を見つけたヒロ。とても温かい良い本だった。そして、ヒロが作る惣菜は全部美味しそう!菰野江名さん、初読み。
読了日:08月14日 著者:菰野 江名
青瓜不動 三島屋変調百物語九之続の感想
シリーズ第九弾。頼りなかった小旦那富次郎、かなり成長したようだ。今作は四編、「青瓜不動」おちかのお産をうりんぼ様に一身に祈り大活躍した小旦那とそれを見守るお勝さん。「だんだん人形」おびんちゃんの念のこもった土人形が守ったもの。「自在の筆」魔物の恐ろしさと魅入られないように自分の気持ちを封じた小旦那。「針雨の里」。人ならぬ優しい者たちに育てられた者が語る昔話。どれも良かったか表題作が特に好み。さて、早くも次が待ち遠しい。
読了日:08月15日 著者:宮部 みゆき
サクラサク、サクラチルの感想
東大に合格せよという両親の過剰な期待に染野高志は勉強漬けの毎日を送る。ある日クラスメートの星愛璃嘉からそれは「虐待」だと指摘される。愛璃嘉もまた母親からのネグレクトを受けていた。自分たちを追い詰めた親への《復讐計画》、大学受験に挑む彼らの計画は?中々ハードな内容で心が痛くなった。
読了日:08月15日 著者:辻堂 ゆめ
極楽征夷大将軍の感想
第169回直木賞受賞作。足利尊氏は本当にこの本で描かれているような人物だったのか?尊氏・直義兄弟と足利家の重臣・高師直が鎌倉幕府を滅ぼし、朝廷方との戦いを経て室町幕府を開くまで。苦戦しながらの読了。2段組はキツかった。
読了日:08月16日 著者:垣根 涼介
天災ものがたりの感想
面白かった。1541年の甲府洪水・1896年(明治)の三陸大津波・1230年(鎌倉時代)の大飢饉・1707年富士山大噴火(宝永)・1657年(明暦)の大火・昭和38年(1963年)の豪雪。人は自然災害とどう向き合って来たか?38豪雪はうっすらと記憶があり、この主人公の女性教諭の実家からほど近い集落で生まれた私。豪雪の時はすでに山あいの町を離れていたけれど、沢山雪が積もった冬でしたね。
読了日:08月17日 著者:門井 慶喜
藍色時刻の君たちはの感想
宮城の港町で暮らす高2の小羽・航平・凛子は、それぞれ精神に障害のある家族の介護に明け暮れていた。介護に対する周囲の無理解と誰にも助けを求められず孤立した日常、そんな3人の前に青葉という女性が優しく寄り添ってくれた。そして2011.3.11、全てが一変し、3人はバラバラに。2022年東京で再会した3人は過去と向き合い、青葉の抱えていた秘密を知ることになる。とても重いヤングケアラーの現実、辛くなる場面も多かったが、より多くの方に読んで欲しい1冊。お薦め!
読了日:08月18日 著者:前川 ほまれ
文豪、社長になるの感想
菊池寛の人間的な魅力を余すところ無く描いてくれた快作。芥川賞直木賞を創設した経緯や、戦争に協力したということで公職追放になったこと。時代に翻弄されながらも文豪・社長として波乱万丈な生涯を送った菊池寛。文藝春秋創立100周年記念作品。
読了日:08月19日 著者:門井 慶喜
夜の道標 (単行本)の感想
人格者として知られる個人塾の経営者が殺害された。元教え子が被疑者として指名手配されるが、事件から2年経っても足取りをつかめない。殺人犯を匿う女、捜査を続ける窓際刑事。そして父親から当たり屋をさせられている小6のバスケ少年・波留。先が気になり一気読み。殺人事件に秘められた悲しい過去。重い内容だが、とても読み応えあり。
読了日:08月19日 著者:芦沢 央
私たちの世代はの感想
コロナ禍で不自由な学校生活を送らざるを得なかった2人の少女、冴と心晴。冴は母の職業を理由にイジメに遭い、心晴は休校明けに登校するきっかけを失い引きこもりに。そして就活の時、偶然の出会いで動き始めたこと。最後は涙で読了!冴の母がとても魅力的で、心晴の母には最初は違和感しかなかった。つながることの大切さ、蒼葉の素敵さ、樋口兄弟やカナカナ、冴のご近所の人たち、明るい未来が見えるラストは素晴らしかった。お薦め!
読了日:08月20日 著者:瀬尾 まいこ
鳥啼き魚の目は泪の感想
昭和初期、名門華族・吉田侯爵の家。広大な敷地の中の池から白骨死体が発見される。主は池を埋めて枯山水庭園を作るため天才作庭師・溝延兵衛に依頼する。華族の家を守るための生き様は重苦しく、庭作りの話も情景を想像し難いためか読み難かった。タイトルは芭蕉の句から。
読了日:08月21日 著者:宇佐美 まこと
我、鉄路を拓かんの感想
平野屋弥市が請け負った芝〜品川間の海上を陸蒸気を走らせるための「築堤」部分の土木工事。誰も見たことのない蒸気車を走らせるため難工事に立ち向かう。わずか2年で成し遂げた大事業、面白かった。
読了日:08月23日 著者:梶 よう子
目でみる方言の感想
あー、面白かった!地域によって違う言葉、私は東日本方面しか馴染みがないけれど、西日本の言葉もとても興味深い。あの美味しい食べ物の呼び名の豊富さも楽しく拝読。じゃんけん、私の住んでいる町では男女で違っていたのを思い出したり。おかべさん、面白いものを取り上げて下さってありがとうございます😊
読了日:08月23日 著者:岡部 敬史
ボーダー 移民と難民の感想
読みながら難民問題に無関心だった自分をとても恥ずかしく思った。迫害から逃れて日本に救いを求めた人々、夢を持ち日本にやって来た技能実習生たち。何と言っても入管の彼らに対する非人道的な扱いに胸が痛くなる。国連から日本の態度について非難されても改めようとしない偉い方々。刑務所より入管の方が酷いと感じた。不法滞在は罪だが、犯罪を犯した人らと一律に取り扱いさっさと本国に送り返すことはやめて欲しいと思う。
読了日:08月25日 著者:佐々 涼子
広重ぶるうの感想
東海道五十三次で名をはせた歌川広重の一代記。火消同心の家に生まれ浮世絵師を志すが当時人気の美人画や役者絵では評価を得られず。貧乏暮らしの広重が美しい藍色の顔料「ベロ藍」に出会い描きたいと念願した風景画で名を上げるまで。「ヨイ豊」と読み比べるとよりこの時代の浮世絵事情が分かり興味深い。面白かった!
読了日:08月26日 著者:梶 よう子
きよのお江戸料理日記 (4) (アルファポリス文庫)の感想
シリーズ第4弾。きよの良きライバル彦之助が独立して弁当の店を持つことに。いつかは自分の店を持ちたいと思っていたきよの心は揺れ動く。逢坂の母からは帰郷を促す文も届き、彦之助は自分の店にきよを引き抜きたいと思う。きよは千川で働くことを強く願い、より一層の精進をと努力する。しめ鯖の3人の勝負と神崎の判定が素晴らしい!次巻はどういう展開になるか続きが楽しみな1冊。
読了日:08月27日 著者:秋川滝美
財布は踊るの感想
節約して憧れのヴィトンの長財布を手に入れた主婦の葉月みづほ。その後、夫のリボ払いでの借金発覚。財布を手放すことに。その財布を入手した人、盗んだ人…。奨学金返済に苦しむ人、株で大損した人、FX商材の勧誘等々。低金利時代だし、投資で財産を増やすこともありかなとは思うが、絶対私には無理かなと。人のことだから作品としてはまあ面白かった。でも絶賛するほどの1冊ではないかな。
読了日:08月28日 著者:原田 ひ香
ルミネッセンスの感想
寂れた町の古い団地。母の介護のために戻って来た数学教師、父が営んでいた文房具店の片付けをする女、同窓会を機に逢瀬を重ねる男と女。そして頬の傷のために虐められる女子中学生、安さに惹かれて都会から移住したウェブデザイナー。女子中学生の話だけは少し希望の見えるラストだが、あとは救いようのない怖いお話。窪さんの昔の路線かな?
読了日:08月29日 著者:窪美澄
魔女の原罪の感想
髪型も服装も自由、ただし絶対に法律を犯しては行けない鏡沢高校。校舎には多数の監視カメラ。その高校に通う高2の和泉宏哉は週3回人工透析を受けている。共に人工透析を受けるクラスメートの水瀬杏梨の死、母親の逮捕
。この町には古くからの住人と20年ほど前から転入してきた住人との対立がある。魔女の原罪とは何か?血の浄化。犯罪者の血を恐れるが故の暴走…。宏哉が強く生きて行けそうなラストで良かった。
読了日:08月30日 著者:五十嵐 律人
金曜日のあたしたちの感想
受験に失敗して意に染まない高校に通うことになった陽葵が、とある金曜日イベント駅前でプラカードを掲げている高校生たちに出会う。地球温暖化に危機感を持つ彼らに何も知らなかった自分を詳しく思い、真剣に向き合うことに。爽やかな成長譚、地球温暖化・貧困・ジェンダーなども折り込み、分かりやすい。YAジャンルだが大人にもおすすめ。
読了日:08月30日 著者:濱野 京子
読書メーター
読んだ本の数:28
読んだページ数:9825
ナイス数:3335
終活中毒の感想
4つの短編、「SDGsな終活」は余命宣告された妻の財産を狙うクズ男、ブラック秋吉。「最後の終活」は妻に先立たれた男の元に現れた音信不通だった息子の正体、ラストは読み心地良し。「小説家の終活」は人気作家の遺作を巡るもの、ハッピーエンドでほっとした。「お笑いの死神」ピン芸人の六ちゃんが最期に遺した笑いと見守っていた笑わない男の正体、泣き笑いの佳作。全部面白かった!
読了日:08月02日 著者:秋吉 理香子
答えは市役所3階に 2020心の相談室の感想
2020年7月、市役所に開設された「こころの相談室」。コロナ禍で悩みの真っ只中に居る人々の話を聞くのは臨床心理士の晴川と認定心理士の正木。将来の夢・婚約者・幸せな未来・人間の尊厳・生きる気力、失ったものは様々な5人は悩みを解決出来るのか?晴川さん、鋭すぎ!正木さんの人柄はほっこり。しかし、守秘義務があるから他に漏れることはないにしても、2人の相談者の秘密を暴くようなおしゃべりは少し残念。
読了日:08月03日 著者:辻堂 ゆめ
リラの花咲くけものみちの感想
北海道の大学の学生寮に入る冒頭のシーンから、ぐっと心をつかまれ作品の世界に没入。送ってくれた祖母・チドリから中々離れることの出来ない岸本聡里。そんな聡里が学生寮の仲間や先輩たちと関わりながら獣医を目指して成長してゆく。幼い聡里を過酷な環境から救い出し、将来の夢へと送り出した祖母の愛情。感動本!お薦めです。
読了日:08月04日 著者:藤岡 陽子
鈍色幻視行の感想
映像化が撮影中の事故や出演者の心中、カメラマンの急死など三たび頓挫した小説「夜果つるところ」。その作品と著者・飯合梓の謎を追う小説家の蕗谷梢は関係者が一堂に会するクルーズ旅行に参加する。豪華客船で二週間、映画監督・プロデューサー・編集者・姉妹で漫画家ユニットの二人、それぞれが語り出す作品と飯合梓への思い、次々現れる新事実と新解釈。旅の終わりに梢が出した結論。「夜果つるところ」が刊行されたということで、読んだら理解出来るか?恩田さんの世界観たっぷりだが、長かった。
読了日:08月07日 著者:恩田 陸
ソロキャン! (2) (朝日文庫)の感想
シリーズ第2弾。10年ぶりにキャンプを再開した千晶、ソロキャンを心配する母のことや推し活でソロキャンを始めた少し面倒な後輩にキャンプ指南をしたり。売り場にキャンプ用の食材コーナーを設けたり、天敵の比嘉次長と思わぬ場所で遭遇して意外な展開になったり。千晶が作る適当なキャンプ飯が美味しそうで、食べたくなる。さて、仕事もキャンプも順調な千晶、次巻ではどういう展開になるのかな?
読了日:08月08日 著者:秋川 滝美
約束した街の感想
在日外国人のニナとジョンホ、父の犯した罪で転校を繰り返す隼。はみだし者の3人が交わした約束。隼のもとに中学卒業以来会っていなかったニナの15歳の娘・ジーナが突然現れ、ニナの行方を探してくれと言う。タイムリミットは隼がロンドンへ赴任するまでの5日間。神戸を舞台に過去と向き合う隼とジョンホ。うーん、それなりに面白かったんだけど、伊兼さんのこれまでの作風とちょっと違う感じ。
読了日:08月09日 著者:伊兼 源太郎
水車小屋のネネの感想
良かった!感動のうちに読了。母親とその婚約者に邪険にされ、18歳の姉と8歳の妹は家を出て2人で生きることを選んだ。水車小屋にいるヨウムのネネの世話をしながら蕎麦屋で働き妹を学校に通わせる。周りの優しい大人たちと賢いネネに支えられ2人は成長してゆく。自分たちが受けた恩を他の人にも分けてゆく。この山あいの町の人々に比べて、母親たちが酷すぎて怒りを覚えた。ネネに会いたい、そして美味しいお蕎麦を食べたくなる!お薦め本。
読了日:08月10日 著者:津村 記久子
なんとかしなくちゃ。 青雲編の感想
1970年生まれ4人兄姉の末っ子梯結子の物語。4歳の結子が砂場を他の子どもたちの独占から遠ざける工夫から始まり、大学卒業までの問題解決と調達人生。時々入る恩田さんのつぶやきが面白かったが、大学の城郭研究会のあたりはちょっと長く感じた。さて、大学卒業して結子がどんな活躍をするのか、続編が出たら読んでみたい。梯家の教育方針がユニークで子ども4人が自分の進路をしっかり決めているのが凄いと思った。
読了日:08月11日 著者:恩田 陸
ジウX (単行本)の感想
生きながらにして臓器を切り取られた死体が…。のっけから陰惨な事件で捜査にあたる東警部補。宿敵・土屋昭子からの依頼と陣内の店に現れた奇妙な客たち。NWOの狙いと相次ぐ殺人事件、敵の手中に落ちたジンさん救出作戦。歌舞伎町セブン、これからどうなるのか?警察に愛想を尽かした東警部補はセブンに入るのか?早く次が読みたい!誉田さん、相当某国がお嫌いなのね。
読了日:08月13日 著者:誉田 哲也
つぎはぐ、さんかくの感想
惣菜屋を営む兄・晴太と妹のヒロ、歳の離れた中学生の弟蒼。弟の進路問題から姉のヒロの心配は募るばかり。親のいない3人を温かく見守る小料理の優子、常連客の日村や花井。物語が進むにつれ明らかになる3人の出生の秘密。いつまでも子供だと思っていた蒼の成長、居場所を見つけたヒロ。とても温かい良い本だった。そして、ヒロが作る惣菜は全部美味しそう!菰野江名さん、初読み。
読了日:08月14日 著者:菰野 江名
青瓜不動 三島屋変調百物語九之続の感想
シリーズ第九弾。頼りなかった小旦那富次郎、かなり成長したようだ。今作は四編、「青瓜不動」おちかのお産をうりんぼ様に一身に祈り大活躍した小旦那とそれを見守るお勝さん。「だんだん人形」おびんちゃんの念のこもった土人形が守ったもの。「自在の筆」魔物の恐ろしさと魅入られないように自分の気持ちを封じた小旦那。「針雨の里」。人ならぬ優しい者たちに育てられた者が語る昔話。どれも良かったか表題作が特に好み。さて、早くも次が待ち遠しい。
読了日:08月15日 著者:宮部 みゆき
サクラサク、サクラチルの感想
東大に合格せよという両親の過剰な期待に染野高志は勉強漬けの毎日を送る。ある日クラスメートの星愛璃嘉からそれは「虐待」だと指摘される。愛璃嘉もまた母親からのネグレクトを受けていた。自分たちを追い詰めた親への《復讐計画》、大学受験に挑む彼らの計画は?中々ハードな内容で心が痛くなった。
読了日:08月15日 著者:辻堂 ゆめ
極楽征夷大将軍の感想
第169回直木賞受賞作。足利尊氏は本当にこの本で描かれているような人物だったのか?尊氏・直義兄弟と足利家の重臣・高師直が鎌倉幕府を滅ぼし、朝廷方との戦いを経て室町幕府を開くまで。苦戦しながらの読了。2段組はキツかった。
読了日:08月16日 著者:垣根 涼介
天災ものがたりの感想
面白かった。1541年の甲府洪水・1896年(明治)の三陸大津波・1230年(鎌倉時代)の大飢饉・1707年富士山大噴火(宝永)・1657年(明暦)の大火・昭和38年(1963年)の豪雪。人は自然災害とどう向き合って来たか?38豪雪はうっすらと記憶があり、この主人公の女性教諭の実家からほど近い集落で生まれた私。豪雪の時はすでに山あいの町を離れていたけれど、沢山雪が積もった冬でしたね。
読了日:08月17日 著者:門井 慶喜
藍色時刻の君たちはの感想
宮城の港町で暮らす高2の小羽・航平・凛子は、それぞれ精神に障害のある家族の介護に明け暮れていた。介護に対する周囲の無理解と誰にも助けを求められず孤立した日常、そんな3人の前に青葉という女性が優しく寄り添ってくれた。そして2011.3.11、全てが一変し、3人はバラバラに。2022年東京で再会した3人は過去と向き合い、青葉の抱えていた秘密を知ることになる。とても重いヤングケアラーの現実、辛くなる場面も多かったが、より多くの方に読んで欲しい1冊。お薦め!
読了日:08月18日 著者:前川 ほまれ
文豪、社長になるの感想
菊池寛の人間的な魅力を余すところ無く描いてくれた快作。芥川賞直木賞を創設した経緯や、戦争に協力したということで公職追放になったこと。時代に翻弄されながらも文豪・社長として波乱万丈な生涯を送った菊池寛。文藝春秋創立100周年記念作品。
読了日:08月19日 著者:門井 慶喜
夜の道標 (単行本)の感想
人格者として知られる個人塾の経営者が殺害された。元教え子が被疑者として指名手配されるが、事件から2年経っても足取りをつかめない。殺人犯を匿う女、捜査を続ける窓際刑事。そして父親から当たり屋をさせられている小6のバスケ少年・波留。先が気になり一気読み。殺人事件に秘められた悲しい過去。重い内容だが、とても読み応えあり。
読了日:08月19日 著者:芦沢 央
私たちの世代はの感想
コロナ禍で不自由な学校生活を送らざるを得なかった2人の少女、冴と心晴。冴は母の職業を理由にイジメに遭い、心晴は休校明けに登校するきっかけを失い引きこもりに。そして就活の時、偶然の出会いで動き始めたこと。最後は涙で読了!冴の母がとても魅力的で、心晴の母には最初は違和感しかなかった。つながることの大切さ、蒼葉の素敵さ、樋口兄弟やカナカナ、冴のご近所の人たち、明るい未来が見えるラストは素晴らしかった。お薦め!
読了日:08月20日 著者:瀬尾 まいこ
鳥啼き魚の目は泪の感想
昭和初期、名門華族・吉田侯爵の家。広大な敷地の中の池から白骨死体が発見される。主は池を埋めて枯山水庭園を作るため天才作庭師・溝延兵衛に依頼する。華族の家を守るための生き様は重苦しく、庭作りの話も情景を想像し難いためか読み難かった。タイトルは芭蕉の句から。
読了日:08月21日 著者:宇佐美 まこと
我、鉄路を拓かんの感想
平野屋弥市が請け負った芝〜品川間の海上を陸蒸気を走らせるための「築堤」部分の土木工事。誰も見たことのない蒸気車を走らせるため難工事に立ち向かう。わずか2年で成し遂げた大事業、面白かった。
読了日:08月23日 著者:梶 よう子
目でみる方言の感想
あー、面白かった!地域によって違う言葉、私は東日本方面しか馴染みがないけれど、西日本の言葉もとても興味深い。あの美味しい食べ物の呼び名の豊富さも楽しく拝読。じゃんけん、私の住んでいる町では男女で違っていたのを思い出したり。おかべさん、面白いものを取り上げて下さってありがとうございます😊
読了日:08月23日 著者:岡部 敬史
ボーダー 移民と難民の感想
読みながら難民問題に無関心だった自分をとても恥ずかしく思った。迫害から逃れて日本に救いを求めた人々、夢を持ち日本にやって来た技能実習生たち。何と言っても入管の彼らに対する非人道的な扱いに胸が痛くなる。国連から日本の態度について非難されても改めようとしない偉い方々。刑務所より入管の方が酷いと感じた。不法滞在は罪だが、犯罪を犯した人らと一律に取り扱いさっさと本国に送り返すことはやめて欲しいと思う。
読了日:08月25日 著者:佐々 涼子
広重ぶるうの感想
東海道五十三次で名をはせた歌川広重の一代記。火消同心の家に生まれ浮世絵師を志すが当時人気の美人画や役者絵では評価を得られず。貧乏暮らしの広重が美しい藍色の顔料「ベロ藍」に出会い描きたいと念願した風景画で名を上げるまで。「ヨイ豊」と読み比べるとよりこの時代の浮世絵事情が分かり興味深い。面白かった!
読了日:08月26日 著者:梶 よう子
きよのお江戸料理日記 (4) (アルファポリス文庫)の感想
シリーズ第4弾。きよの良きライバル彦之助が独立して弁当の店を持つことに。いつかは自分の店を持ちたいと思っていたきよの心は揺れ動く。逢坂の母からは帰郷を促す文も届き、彦之助は自分の店にきよを引き抜きたいと思う。きよは千川で働くことを強く願い、より一層の精進をと努力する。しめ鯖の3人の勝負と神崎の判定が素晴らしい!次巻はどういう展開になるか続きが楽しみな1冊。
読了日:08月27日 著者:秋川滝美
財布は踊るの感想
節約して憧れのヴィトンの長財布を手に入れた主婦の葉月みづほ。その後、夫のリボ払いでの借金発覚。財布を手放すことに。その財布を入手した人、盗んだ人…。奨学金返済に苦しむ人、株で大損した人、FX商材の勧誘等々。低金利時代だし、投資で財産を増やすこともありかなとは思うが、絶対私には無理かなと。人のことだから作品としてはまあ面白かった。でも絶賛するほどの1冊ではないかな。
読了日:08月28日 著者:原田 ひ香
ルミネッセンスの感想
寂れた町の古い団地。母の介護のために戻って来た数学教師、父が営んでいた文房具店の片付けをする女、同窓会を機に逢瀬を重ねる男と女。そして頬の傷のために虐められる女子中学生、安さに惹かれて都会から移住したウェブデザイナー。女子中学生の話だけは少し希望の見えるラストだが、あとは救いようのない怖いお話。窪さんの昔の路線かな?
読了日:08月29日 著者:窪美澄
魔女の原罪の感想
髪型も服装も自由、ただし絶対に法律を犯しては行けない鏡沢高校。校舎には多数の監視カメラ。その高校に通う高2の和泉宏哉は週3回人工透析を受けている。共に人工透析を受けるクラスメートの水瀬杏梨の死、母親の逮捕
。この町には古くからの住人と20年ほど前から転入してきた住人との対立がある。魔女の原罪とは何か?血の浄化。犯罪者の血を恐れるが故の暴走…。宏哉が強く生きて行けそうなラストで良かった。
読了日:08月30日 著者:五十嵐 律人
金曜日のあたしたちの感想
受験に失敗して意に染まない高校に通うことになった陽葵が、とある金曜日イベント駅前でプラカードを掲げている高校生たちに出会う。地球温暖化に危機感を持つ彼らに何も知らなかった自分を詳しく思い、真剣に向き合うことに。爽やかな成長譚、地球温暖化・貧困・ジェンダーなども折り込み、分かりやすい。YAジャンルだが大人にもおすすめ。
読了日:08月30日 著者:濱野 京子
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