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22時過ぎに、店の前に自転車が止まり、子どもが手をふっている。見に行くと、よく子ども食堂に来ていた、近所の中学生だった。「お店、まだやってるの?」「弁当配ってるからね」「遅くね?」習い事の帰りに立ち寄ったらしい。店の前で談笑するも、なかなか帰ろうとしない。それとなく「遅くまで大変だったね、帰らなくて大丈夫?」と聞くと
「言ってあるから大丈夫」と返す。いつも明るい彼女だが、どこか様子がおかしい。「早く帰ったって、どうせママに怒られるから」「何かあったの?」「いや、別に…」「ママも……何かイライラすることがあるのかもよ」彼女の母親は旅行業である。話を聞くと、どうやら緊急事態の対応でGWの旅行予約のキャンセル処理に追われ、連日のように残業が続いているらしい。
「去年もそうだったんだよね、マジ困る」と笑みを浮かべて話すが、表情は暗い。おそらくは家で仕事の愚痴を言う母親のイライラを、子どもながらに感じとっているのだろう。ウチの店は、習い事の場所と彼女の家の間には無い。何となく帰るのが嫌になり、わざわざ遠回りをして、店を覗きに来たのだと思うと、可哀想に思う。「外は寒いから、少し中で休んでいく?」「え……じゃぁ、10分だけね」仕方ない、誘われたから入ってあげるか…という体で、しぶしぶ中に入った。
彼女は店内で、弁当づくりのスタッフらと楽しくおしゃべりをし、ちょっぴり心を回復させた。(たぶん)
その後、たまたま同じ町内に住んでいると分かったスタッフらと、仲良く自転車を並べて帰路についた。
当店での子ども食堂は、コロナになっても開催していたが、狭い店で密になりやすいということもあるのか、誰も来なくなった。でも、気持ち的には、毎日子ども食堂をやっているつもり。
またおいで。いつでも待ってるよ。
(4/25のTwitterより 一部修正)
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