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One Step ~ 橋本新企画公式ブログ

(株)橋本新企画公式ブログ。ソーシャルコミュニティめぐりやは閉店しました。スタッフの活動、東京都北区の地域の情報など。

16)赤羽の片隅から~無料弁当雑記

2021年04月28日 | 無料弁当
4/25(日)夜。

たまたま外に出ていた時間に、大柄な男性が弁当の入った箱を覗きこんでいた。体格に似合わず、大事そうにひとつだけ持って去ろうとするので、思わず声をかけた。「こんばんは」「……」「2、3個持って行ってもいいんですよ。今夜は余っているし」後ろ姿で、もしやと思っていたが、やはり見たことのある顔だった。

1週間ほど前から見かけるようになったホームレスで、弁当の作業が終わった深夜、帰り道に商店街で見かけてから気になっていた方だ。閉店後のシャッターに寄りかかり、大量のビニール袋に囲まれながら、携帯でゲームをしていた若者だ。話しかけたいと思っていたが、毎晩寝床を変えるので会えない。

昼間に公園で見かけたときもベンチで熟睡していてタイミングが合わず、翌日の同時間には同じ場所にいない。スタッフや近所の方に、見かけたら教えてと言っていたが、目撃情報は無かった。路上に出てからまだ日が浅いはずで、居場所を探してウロウロとしているのだろう。ずっと気になっていた。

二日前の夜、小学生女子と母親と共に弁当配達した帰りに彼を見かけた。店の近くにあるマンションの角に座りこみ、携帯ゲームをしていた。恰幅がよく堂々としているので、酔っぱらいにも見えるのだが、間違いなくあのホームレスだ。しゃがみこみ、できるだけ目を見て話しかけた。「こんばんは」

「お弁当配ってるんですけど」「必要ないです」大抵の方は一度拒否をする。ここであきらめてはいけない。「明日の朝ごはんに、いかがですか」「大丈夫」「あそこのビルの脇で、毎晩21:30から弁当出しているので、必要になったら取りに来て下さい」「……」へこたれてはいけない。「私、その店の者で、ハシモトと言います。寒いので気をつけて下さいね」話しかけるのは苦手でいまだに慣れないのだが、女子が真剣に見ているので、そうも言ってられない。

そして今日、その彼が自らの足で取りに来たのだ。「これ弁当の中身は全部同じですか?」と質問までされた。昨夜はどこにいたかも聞くことができた。落ち着ける場所を探して、うろうろしているようだった。無料弁当の事をまた新たな方に伝えることができた。

「いま話していた方って、もしかして……」店内で待機していたスタッフが驚く。「誰だと思います?」二日前に一緒に行ったスタッフに、先日出会った彼だと伝えると「あの時は全然話さなかったのに」と、目を丸くして驚いていた。

誰もが目を背け、見えていないフリをする。寝そべり、地上20センチほどの高さの目線で携帯ゲームの画面ばかり見ている彼。
誰にも話しかけられず、透明人間になった気分だろう。そんな人に伝えたい。
大丈夫、見えているよ。いつも心配しているよ。そして、いつか必ず助けるよ。

(4/26のTwitterより 一部修正)
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15)赤羽の片隅から~無料弁当雑記4/24

2021年04月25日 | 無料弁当
4/24(土)

22時過ぎに、店の前に自転車が止まり、子どもが手をふっている。見に行くと、よく子ども食堂に来ていた、近所の中学生だった。「お店、まだやってるの?」「弁当配ってるからね」「遅くね?」習い事の帰りに立ち寄ったらしい。店の前で談笑するも、なかなか帰ろうとしない。それとなく「遅くまで大変だったね、帰らなくて大丈夫?」と聞くと

「言ってあるから大丈夫」と返す。いつも明るい彼女だが、どこか様子がおかしい。「早く帰ったって、どうせママに怒られるから」「何かあったの?」「いや、別に…」「ママも……何かイライラすることがあるのかもよ」彼女の母親は旅行業である。話を聞くと、どうやら緊急事態の対応でGWの旅行予約のキャンセル処理に追われ、連日のように残業が続いているらしい。

「去年もそうだったんだよね、マジ困る」と笑みを浮かべて話すが、表情は暗い。おそらくは家で仕事の愚痴を言う母親のイライラを、子どもながらに感じとっているのだろう。ウチの店は、習い事の場所と彼女の家の間には無い。何となく帰るのが嫌になり、わざわざ遠回りをして、店を覗きに来たのだと思うと、可哀想に思う。「外は寒いから、少し中で休んでいく?」「え……じゃぁ、10分だけね」仕方ない、誘われたから入ってあげるか…という体で、しぶしぶ中に入った。

彼女は店内で、弁当づくりのスタッフらと楽しくおしゃべりをし、ちょっぴり心を回復させた。(たぶん)
その後、たまたま同じ町内に住んでいると分かったスタッフらと、仲良く自転車を並べて帰路についた。

当店での子ども食堂は、コロナになっても開催していたが、狭い店で密になりやすいということもあるのか、誰も来なくなった。でも、気持ち的には、毎日子ども食堂をやっているつもり。

またおいで。いつでも待ってるよ。

(4/25のTwitterより 一部修正)
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4/25から、お酒の提供を中止しています

2021年04月25日 | ソーシャルコミュニティめぐりや
2021年4月24日19時のラストオーダーをもって、東京都の居酒屋文化は幕を閉じた。

「強制的に中止にしないと飲食店で酒を呑む行為を自制できない愚かな人間だ」とレッテルを貼られたようなものだ。

泣かないのか?泣かないのか二〇二一年の酒のために?

我々はここに自由飲酒党を結党する!

禁酒反対!飲酒万歳!

※要請には従いますので、お酒の提供はできません。

※5月の連休中の営業は検討中。

※無料弁当は活動は継続中。4月末までは毎晩実施。5月以降は検討中ですが、たぶんやります。

※「自由飲酒党を結党」はジョークです。

ソーシャルコミュニティめぐりや



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14)赤羽の片隅から~無料弁当雑記

2021年04月25日 | 無料弁当
4/24(土)夜

小学生女子をおチビちゃんと呼ぶオバちゃん。オバちゃんは弁当を取りに来て女子と会うと必ずハグをする。ガンの経過を診る為に二ヶ月に一度、通院しているが、不安と緊張で前夜から眠れないと言う。通院に付き添う家族はいない。昨夜「おチビちゃんも病院に行かない?」と言うので、学校があって行かれない女子は、小さな鳥のぬいぐるみを渡した。「これを私だと思って病院に連れて行ってね。そうすれば怖くないから」そう言って別れた。



今日の昼オバちゃんは病院へ行った。無料弁当を持って行き、長い待ち時間のあいだに食べたらしい。医者からは「よくなっているので、このまま頑張って下さい」と言われたと、嬉しそうに報告。「よかったぁ~」と二人で喜びあっていた。

オバちゃんは、ここに弁当を取りに来る前は、食費を削るために食べる回数を減らした生活をしていた為に、栄養が足りていなかったのか足取りも重く、店まで来るのもやっとだった。店についてからも、しばらく座って休んでから帰っていた。ここに来て、無料弁当を三個持ち帰り、その日の夜、翌朝、翌昼と三食とるようになってから、見違えるように回復した。シャキシャキと軽快に歩くし、以前よりも顔色がよくなり、何よりも表情が明るくなった。

毎晩の女子との交流も、オバちゃんの楽しみのひとつになっている。「ここの弁当とおチビちゃんのおかげだよ」女子のことをおチビちゃんと呼ぶが、背の高さはほぼ同じである。女子があげた鳥のぬいぐるみには、無くさないようにつけたという、もうひとつのぬいぐるみがついていた。

「それで、この白いのは何なの?」「ベイマックスっていう、やさしいヒーローなんだよ」「やさしいヒーローか……あんたみたいだね」「そんなんじゃないよ」「また二ヶ月後、病院へ行くときに連れて行くね」「うん」

「カワイイ孫ができたみたいだ」と、以前にオバちゃんは言っていた。今夜も女子から元気をチャージ。

この毎晩の、わずかな女子との時を、つなぎ合わせて、オバちゃんは生きている。

オバちゃんは、来た時と同じように、ぬいぐるみを大事そうに抱えて帰った。
「元気になってよかったね」と、見送りながら私に言う女子。
本当によかったね。

君のおかげだよ、やさしいヒーロー。



(4/25のTwitterより 一部修正)
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13)赤羽の片隅から~無料弁当雑記

2021年04月24日 | 無料弁当
4/23(金)

昨夜、面談をした彼が今夜も早めに来る。支援者の名刺の裏に、びっしりとメモ書きがあり、それを復唱している。「今の志位さんは会ったことないけど、不破さんとは二回ほど握手したことがあるんですよ。演説を聞いた後に。目がギョロっとしていて、力強い感じだった」などと思い出話。よく話すようになった。

小学生女子が、弁当3つとお菓子とカイロが入った紙袋を渡す。ここのところ寒いので、眠れたかと聞くと、昨夜も公園のベンチで座ったまま過ごし、寒かったという。会館周辺の壁と屋根のある場所で寝ることを提案したが、あそこでは寝たくないと訴える。空いている場所はあるはずなのだが、その気持ちはよく分かる。

常連が占拠していたり、空いていたとしても後から誰かが来てトラブルになったりすると面倒だ。赤羽に来たばかりの彼にはハードルが高い。どうしたものかと考えたあげく、寝床にできる場所が無いか、一緒に見に行くことにした。途中、スーパーに寄り、不要になった段ボールを三枚ほど拝借する。

会館の側面には常連が寝床をつくっている。その間にスペースはあるが、いびきが聞こえるかもしれないし、確かに入りづらい。ふと思いつき、少し離れた場所を案内する。そこは、路上脱出第一号の方が寝床にしていた場所。屋根があり、壁もある。隣には、名前を知っているホームレスがいる。

念のため、隣の方に事情を説明し、朝は何時までいられるか確認し、数日間お世話になることを伝えた。ゴミを残さないこと、トイレは公園ですること、段ボールは公園に捨てて、毎晩スーパーに取りに行くことなどを教えた。私はいつの間にか「赤羽の路上生活案内人」になっていた。

隣の方は21日に弁当が終了したと思い、店に行くと迷惑がかかると思って、数日の間、自粛していたとのこと。「今後もしばらく続けるので利用してほしい」と伝えて店に戻った。「そんなに気を使わなくていいのに、なんて優しいの」と言う小学生女子と母親と共に、今夜は特別に弁当を配達した。「あら、またお会いできた」と、彼も嬉しそう。

元々寝床にいた彼は、過去に一度、生活保護を受けたことがあり「今は必要ない」という。困ったら何度でも受ければいいと話したが、体も動くし、自由な方がいいと言う。そんな彼の頑なな考えが、次々に路上を脱出する方を見て、変わるといいのにと思う。一石二鳥の効果が期待できる寝床選び。

役所へ申請に行くまで、あと数日。二人とも無事に生き延びてほしい。
今日も一日お疲れ様。おやすみなさい。



(4/24のTwitterより 一部修正)
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