暇にあかせて

作ることが好きです。
木でも布でも 新しい
形にします。

不思議なアーケード

2013-02-24 21:22:33 | 

「最果てアーケード」  小川 洋子著

不思議な世界です。生きている人も非現実的だし

亡くなった人も非現実的。

でもそこにはっきりと「ある」と判るのが

「愛」なのです。

非現実的なレース屋さんの常連客は元舞台衣装を一手に引き受けていた

衣装係りさん。今も衣装を作り続けています。使われる当ての無い衣装を・・

彼女の仕事場には裾のレースが引きちぎられたシュミーズが飾られていて

悲しい物語が・・・・

百科事典を愛した少女は突然この世を去り

その父親は彼女の愛した辞典を最初から最後まで写しきります。

写し終わった後は何処へ行ったか二度と現れることなく・・・

その他剥製に入れる義眼だけを作り販売している店には

うさぎを愛した女性が訪れたり

ドアのぶだけを販売しているお店には不思議な空間があり・・

紙屋さんにあるのは古い絵葉書や使用済みの絵葉書まで。

知らない言葉で書かれた絵葉書も手に取っていると

書いた人の気持ちが何となく伝わってくるようで・・・

どの店もそこを訪れる客達も全て非現実的。

でも やわらかい包み込まれるような いつまでも一緒にいたいような

そんな不思議な一冊でした。

 

 


記録

2013-02-17 21:15:26 | 

このところ 何年も前にはまっていた「数独」に

又はまってしまい、他のすべての事がおろそかに・・・・・・

でも 二度と同じ本を読まないために 記録しておかねば。

 

「わたしとトムおじさん」   小路 幸也著

 イギリス人の父と日本人の母の間に生まれアメリカで育った「帆奈」(はんな)

ひょんなことから一人 母の里での祖父母との生活が始まった。

なかなか日本の学校に馴染めない10歳の帆奈。

母の弟である大好きなトム叔父さんは元ひきこもり。

二人の生活は・・・・

この本の中でとても面白いと感じた言葉が 

「子供の仕事は明るくなること。 大人の仕事は優しくなること」

という ある児童養護施設の「ママさん」の言葉。

「子供はわがままや不満を泣いたり叫んだりしてぜんぶ外に出して明るくなって、

それをすくい取って優しくなっていかなきゃならないのが大人なんだ」

全編がこのやさしさに満たされたお話でした。

 

「夜行観覧車」   湊 かなえ著

好きな話ではありませんでした。

まるでテレビのニュースショーか 三面記事を読んでいるような

興味本位で中身の無い感じの・・私にはつまらない本でした。

 

なんかもう一つ読んだような気がするんだけど 思い出せない・・・・

主人にいつも「大丈夫か?」と言われるけれど。。ほんと大丈夫かしら???

 

 


重いテーマ

2013-01-20 20:07:00 | 

「自白」 上、下   ジョン・グリシャム著  白石 朗訳

アメリカ テキサス州の町 スローンで フットボールのチァリーダーが

突然行方不明となった。(この娘は 可愛い白人)

何の手がかりも無いまま捜索が続く。 そんな時町を流れる川の砂地で

彼女の持ち物が見つかり事件は一気に殺人事件となる。

同じ高校の生徒が 通報をした。「フットボールのスター選手だった男を見た」(このスター選手は黒人)

軽い気持ちだった。もし真犯人でなかったらすぐに分かり釈放されるに違いない・・

が、無能だと思われたくない警察がこの情報に飛びつき 拷問に近い方法で

無理やり自白を導き 犯人に仕立て上げてしまう。

それから9年 今週の木曜日には処刑されると言う4日前の月曜日

テキサスから遠く離れたカンザス州 トピーカの教会に現れた一人の男が

「あの事件の真犯人は自分で 死刑囚は無実だ」と 牧師に告白する。

無実を信じて奔走する熱血弁護士とこの牧師の懸命の努力も報われず

処刑は実行され、無実の青年を死刑に追い込んだ 保身と人気だけを考えている

検察、検事、判事、裁判官の罪をどのように認めさせ、償いをさせるか。

まだまだ弁護士と牧師の戦いは続いていく。

 

筋だけを追うと事は簡単なのですが実際にはなかなか簡単にはいきません。

告白を証明する事の難しさ、告白した男のしたたかさ、煽り立てるマスコミ、

弁護士のもとに届く膨大で無責任な情報。

読んでいてハラハラ ドキドキ 早く早く! なんとか処刑に間に合わせて!!

でも 間に合わない。

「冤罪」と「死刑」 おまけにアメリカが今尚かかえる「人種差別」

いろいろな事を考えさせられる小説でした。


予定は未定

2013-01-07 21:55:54 | 

お正月3が日は何もしないで読書三昧!

と、楽しみにしていたのに

なかなかどうして 主婦はそういうわけには行きません!

結局かろうじて読めたのが

「剣岳」 (点の記)    新田 次郎著

明治末期 日露戦争直後 前人未踏の剣岳山頂に地図製作のための

三角点埋設をするために 様々な苦労を重ね その任務を

果たした山男たちの記録。(一言で言ってしまえば簡単ながら

その苦労は筆舌に尽くしがたいものがあります)

 

「天下を善くす」 (御算用始末日記)  六道 慧

ず~~~っとシリーズで読んでいた御算用日記が

しばらく出ないなと思っていたら突然50年も経った想定で

主人公達はすっかりおじいさんになって よみがえってきました。

既に江戸幕府は崩壊していて 維新の風が吹いています。

時代が大きく変わりつつある中

存在意義のなくなった武士たちに生きかたの指南をすべく

二人はまたまた大活躍!と言いたいところが

何しろ年には逆らえず思うように頭も体も動きません。

よくしたもので ふたりの孫たちが往年の二人のように

活躍してくれます。もっとも 昔泣かされた姉妹達の孫には

またまた泣かされるのですが・・それが却って励みになったりして

世の中なかなか上手くできていますねぇ・

 


重い気分

2012-12-06 18:43:02 | 

「海の史劇」   吉村 昭著

  日露戦争の話を扱った小説でもっとも読まれているのは

  多分 司馬遼太郎の「坂之上の雲」だと思われます。

  秋山兄弟の大活躍が記されています。

  が、 この話はロシアのバルチック艦隊がペテルスブルグを

  出航し多大な苦労を重ね日本海に至るまでに、 に

  かなりの部分を費やしていて 当時の日本の外交力の強さや

  諜報活動の活発さ 又 ロシア本国の上層部の考えと

  現場の指揮官の考えのギャップ等に悩まされた

  バルチック艦隊司令官の苦しみ悩みが

  克明に描かれていて 戦争の愚かしさが胸にしみます。

  結果的に日本は旅順港攻撃に成功し

  日本海海戦にも大勝し 終戦を迎えますが

  明らかにこの戦いに勝者は無く 出来うる限り戦争は回避すべき

  ものだと 思い知らされます。(当たり前の事ですが)

  それにしても その為には何がどう必要なのでしょうかねぇ・・・・・

  難しい問題です。

  考えすぎると頭が痛くなるので おしまい!!

  私には能天気で楽しいお話の方があってます。