「象は鼻が長い」という有名な短文があります。
述語は「長い」です。では、この文の主語は「象は」なのか「鼻が」なのか。
「は」は主題を表す副助詞、「が」が主語を表す格助詞、というのが一般的な解釈で、「鼻が」が主語だと説明されます。
ただ、この内容を英語にすると
An elephant has a long nose.
どうしても「象」の方が主語となり、形式的にはそちらの方がよさそうです。
ただまた、これを直訳すると「象は長い鼻を持っている」。なんだか日本語としては不自然さを感じます。
また、喫茶店で
「君は何にする?」「僕はコーヒーだ」
後者の文をI am coffee. という意味で解釈する人はいないでしょう。
(かつて長嶋茂雄はアメリカでチキンを頼む時にI am chicken.と言ってのけたようですが。)
日本語と英語を、同じ「文法」という土俵に載せると嚙み合わないことが多いです。
ただ、その違いを楽しむこともできます。
そこに文化や言語の多様性・独自性が感じ取れれば文法の勉強ももっと興味深いものになるのではないでしょうか。
駿台コロンバス校 D.A