今というこの瞬間を。さっと風が横切る。人生とはその風のようなもの。

　

高く跳ぶ必要もなければ。大きく前へ出る必要もない。今が幸せならば。それ以上何が必要か。

　

意欲でも。エネルギーでもない何か。こころの核ともいえるものに気づく時。すべては流れ出す。

　

この一瞬ですべてが許される。宇宙が己を受け入れ。己が宇宙を受け入れる。この一瞬。

　

今と自分を結ぶもの。それは今を一所懸命生きること。

　

与えられるべきものは。すでに与えられている。

　

見えない自分の顔を見る為の旅。それが人生。

　

そこに確かなものなどひとつもなく。変化する流れの中にいる己を見るだけ。

　

時に随い。自然に随い。天に随う。そこに何の曇りもなく。茫洋たる流れがあるのみ。

　

すべては道理によって貫かれる。それは本来何も無いことと相通じる。

　

生きていることそのものが仕事。生きていることそのものが作品。

　

こうやって日がな一日暮らせることは。どれだけしあわせなことか。

　

知らないことは知らなくていい。それがやさしさなんだ。

　

それでも私は生きていく。

　

知らないということは。しあわせなんだ。