ローマ法王が「人類は広島、長崎から学んでいない」と言われたそうです。生物はエゴイステックなもので、自己の生存と種の保存のためには他者を蹴落とします。それは厳しい生存競争を勝ち抜くために本能に刷り込まれた能力でしょう。こういう見方からすれば学んでいるのです。誰かを騙して利益をあげる。戦争を起こして利益を上げる。金融不安を起こして利益をあげる。つまり他者の蹴落とし方を学んだのです。しかし、人間は特別な生物です。社会があって初めて生きることができます。社会を維持するためには、自己の利益とともに他者の利益も図らねばなりません。ここに、特別な生物である人間独自の価値観とルールが生まれます。学ぶ方向にも2つあるということです。生物学的エゴの方向と、社会への貢献と自己の利益の両立を図る方向です。法王は後者のことを言われているのでしょう。人間は特別な生物としての人間、つまり人間らしく生きないといけないのです。日本では「義理と人情」ということになるかもしれません。
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