コットンウェイの道端から

真岡鐵道を中心に、広く交通に関するトピックスをお届けしたいと思います

[3セク鉄道]AIZU REPORT②~途中下車をしながらの帰路~

2010-07-13 22:21:59 | ガンバレ!3セク鉄道
(レポートの前半はこちら


日帰りなので、若松までは行かず(前回行ったことだし)折り返すことにしました。芦ノ牧温泉駅に戻り乗車券を購入。ふと振り返ると、待合所にネコ駅長「ばす」がいました。頭に駅長の帽子を乗せてお休みになっていました…。



まもなく、会津若松行きのお座敷トロ展望列車「会津浪漫号」が到着。「ばす」も駅員に抱えられて、列車の見送りに出てきました。そして、後から鬼怒川温泉行きの快速列車が到着。行きと同じ新マウントエクスプレス号でした。


列車に乗り込むと、昼下がりの車内は高校生など地元の乗客が多く座れません。広々とした座席やトイレがあるので、キャパは多くはないようです。次の下車駅、塔のへつりまでドア付近に立ちっぱなしでした。



ネーミングに惹かれ、途中下車して向かった塔のへつり。へつりは「岪」と書き、この地域の言葉で「川に迫った断崖」を意味するそうです(駅近くの案内板より)。駅からすぐのところにある景勝地で、列車でも渡った阿賀川に迫る浸食された岩場が、目の前に現れます。近くには観光地らしく土産物屋などがありました。


そして、駅に戻り次の列車を待ちます。会津鉄道の運行はおよそ1時間間隔、ローカル線と言っても最低このくらいの頻度は必要だなと思いました。しばらくしてやってきたのは、AT551と651の2両編成(速報記事の写真です)。こちらは乗客もまばらで、ボックス席をゆったりと独り占めです。


さて、途中の会津下郷駅ではこんなものを発見!



現役を引退したキハ8500系です。今後はどうなるのでしょうか?



塔のへつりからおよそ25分で終点の会津田島に到着。ここからは電化区間ですが、乗り換えまで20分ほどあるので、上三依までの乗車券を買って一旦改札を出ました。この会津田島駅は車両基地もある比較的大きな駅で、駅舎・待合室ともにきれいでした。



新栃木行きの電車に乗ります。この先、会津高原尾瀬口までは会津鉄道の区間ですが、野岩鉄道→東武線も直通なので、乗っている限りではシームレスです。


会津鉄道の平成20年度の利用者はおよそ53万人。沿線人口の減少などを受けて減ってきてはいますが、地域の足&観光路線としての役割を果たしていました。沿線自治体も新型車両の導入を支援したり、観光地・施設との連携を図ったりして、路線さらには地域の活性化に積極的なようです。何より、東武線、野岩鉄道を経由して首都圏からの直通ルートを実現していることが強みですね。ただ、運賃が高いのが気になる(会社線をまたぐことが多いのでなおさら)ので、企画乗車券をさらに充実してほしいですね。


長くなりましたが、レポートを締めます。野岩鉄道にはあまり触れませんでしたが、今後全線乗車した時への宿題としたいと思います。最後まで読んでいただいた方、ありがとうございました。

[3セク鉄道]AIZU REPORT①~4社線を直通する新マウントエクスプレス~

2010-07-07 23:58:02 | ガンバレ!3セク鉄道
先月末に、会津鉄道の新AIZUマウントエクスプレスに体験乗車しつつ、緑深い会津路を旅してきました。その時の様子を2回に分けてレポートしたいと思います。


旅の始まりは日光市北部の上三依塩原温泉口駅。野岩鉄道会津鬼怒川線の駅で、塩原温泉は駅から車で15分です(路線バスも出ています)。



改札を抜け、階段を上ると島式のホームに出ます。まもなく、会津鉄道直通AIZUマウントエクスプレスがやってきました。ピカピカ新車のAT-751・752です。目が覚めるような鮮やかな赤を基調とした外観です。この日は土曜日だったので、JR喜多方駅まで直通するようです。東武線→野岩鉄道→会津鉄道→JR只見線→JR磐越西線と4社5路線を駆け抜けるすごい快速列車です。


列車に乗り込むと(他に同駅からの乗車は3人)、1両目は団体さんのようで下郷地区の方?が民話のようなものを披露していました。その乗客の間をすり抜け2両目へ。2両目も座席はほぼ埋まっており、さすが会津鉄道の看板列車だなと思いました。列車には運転士の他に乗車券の販売などを行う車掌、そして2名の女性アテンダントが乗務していました。アテンダントは車内販売(飲み物やオリジナルグッズなどを売っている)や案内など乗客へのサービスをするのが主な業務のようです。


さて、新マウントエクスプレスの車内はというと↓↓↓





ベージュというか薄茶色を基調とした落ち着いた内装。シートは全席回転リクライニングシート。照明も暖色系の間接照明(写真では分かりにくいですが)でなかなか良い雰囲気です。2両ともバリアフリー対応トイレが設置されていました。3セク鉄道では主流の18m級軽快気動車でありながら、内装ひとつでこんなにも高級感が出るんですね。エンジン音も比較的静かで、乗車した感じでは非常に快適でした。


結構にぎわっていた車内も会津下郷を過ぎるころには落ち着いてきて、席に座り外を眺めつつウトウト…しながらも、緑の山並みや時々渡る阿賀川に癒されます。途中、お年寄りなど地元の人も乗ってきて、観光鉄道なんだけど基本は地域の足なんだなーとも思いました。


そうこうしているうちに芦ノ牧温泉駅に到着。今回はここで降りることにします。



木造平屋のひなびた駅舎。外に出ると国道118号に向けて1本の道が伸びています。後で調べたんですが、駅名にもなっている芦ノ牧温泉はこの国道を4kmほど南下したところだそうです。国道には温泉までの路線バスが通っています。


また、駅から国道へ出る手前に何やら人だかり。牛乳屋食堂という有名な食堂です。ちょうどお昼時でした…なので暖簾をくぐってひとやすみ。


~つづく~

[3セク鉄道]全国3セク鉄道ニュース vol.1

2010-07-05 23:56:08 | ガンバレ!3セク鉄道
□若桜鉄道が初の黒字
鳥取県を走る第3セクター若桜鉄道が、09年度決算で開業以来初めての黒字となったそうです。旅客収入は前年割れしたものの、昨年4月から導入した上下分離方式の効果で162万円の最終黒字を計上しました。上下分離方式の導入により設備を沿線自治体が持つこととなったため、鉄道側が修繕業務をしたときに、国や自治体から業務委託費が入ってくるという仕組みです。

上下分離方式により「見た目」が黒字化した若桜鉄道。一方で、全国の多くの3セク鉄道では、毎年赤字を計上しつつも「存続」させるというスキームのもと必要な支援が続けられています(真岡鐵道もそうです)。勉強不足なので、両者は根本的には同じことのような気もしますが、将来的には差が出てくるのでしょうか。若桜鉄道の今後に注目です。


□肥薩おれんじ鉄道が前期より赤字圧縮
熊本・鹿児島両県にまたがる肥薩おれんじ鉄道は、九州新幹線建設に伴いJRから経営分離された路線です。3セク転換後から利用客の減少に歯止めがかからず、厳しい経営が続いているそうです。09年度は受託工事収入が増えたため前期より赤字が減少したととのこと。

長野県のしなの鉄道は、同じ新幹線整備による転換路線ながらここ数年黒字を続けているそうです。しかし、新幹線建設による在来平行線の問題は以前から議論になっていて、最近では新幹線開通後もJRが引き続き運行する例も出てきています。地域の足が儲からないという理由で切り捨てられる時代…なんとかならないものか。


□秋田内陸縦貫鉄道のブログが人気
秋田内陸線(秋田県を走る3セク鉄道)をテーマにしたブログ「秋田内陸縦貫鉄道ブログ~トコトコ鉄道日記」が、人気ブログをランク付けするサイトの鉄道部門で1位となったそうです。さっきのぞいてみましたが、社員や観光協会、住民…それぞれの目線で鉄道の魅力を語っています。いろんな目線で地域の鉄道を見つめるブログは、幅広い層の人々に支持されるんでしょうね。

他社でも、乗務員が独自の目線で綴っているブログはあります。名前はあえて出しませんが、結構面白いです。

[3セク鉄道]速報!野岩鉄道と会津鉄道に乗ってきました

2010-06-26 22:01:03 | ガンバレ!3セク鉄道

栃木県北西部を走る野岩鉄道とその先の南会津地方を走る会津鉄道。山の緑も深くなってきた梅雨の休日ですが、久しぶりに(野岩鉄道は初めて!)列車旅をしてきました。話題の新型マウントエクスプレスにも乗車。後日、詳しくレポートしたいと思います。


会津地方はスキーや登山などで何度も訪れていますが、いつ行っても心が落ち着くいいトコロです。

[3セク鉄道]わたらせ渓谷鐵道の新車デザイン

2010-06-16 22:32:57 | ガンバレ!3セク鉄道
今年度から新型車両の導入を予定している「わたらせ渓谷鐵道(群馬県・栃木県)」。気になる新車のデザインが決定したというニュースが入ってきました。詳しくは下記リンク参照ですが、新車は現行車両の銅(あかがね)色をベースに窓周りにはベージュを配した、自然とマッチする落ち着いたデザインとなっています。今年度中に1両を購入し、来年春からの運行を予定しているそうです。


余談ですが、デザイン画を見ると、導入するのは新潟トランシスの車両のようですね。会津鉄道(福島県)、のと鉄道(石川県)、平成筑豊鉄道(福岡県)など、全国の第3セクター鉄道での導入実績がある車両です。真岡鐵道タイプ(日本車輌)ではないみたいですね。


一時は存廃の瀬戸際に立たされていた「わ鐵」。トロッコ列車やアテンダントに代表されるように魅力ある鉄道に変わりつつありますね。そして、念願の新車の導入。来年の運行開始後には、ぜひとも再訪したいです。


わたらせ渓谷鐵道ホームページ(外部リンク)
http://www.watetsu.com/
読売新聞記事(リンク切れにご注意ください)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100530-OYT1T00449.htm

[3セク鉄道]ひたちなか海浜鉄道を再訪

2010-05-29 15:32:24 | ガンバレ!3セク鉄道

1か月ほど前になりますが、茨城県のひたちなか海浜鉄道に行ってきました。08年7月以来2度目の訪問です。勝田駅から乗車した車両は、茨城交通時代のカラーリング。実は、この車両は数日後からラッピング車両となり、現在はお目にかかれないそうです。



勝田駅の駅名標、誰がデザインしたのでしょうか。アーティステックになっています。他の駅もそれぞれ個性的なデザイン文字となっていました。



海浜鉄道と言うくらいで、海はすぐそこです。車窓から見えるところは限られますが、殿山駅付近のこのあたりからも、雄大な太平洋が垣間見えます。写真では分かりにくいですが…。



勝田駅から2つ目の金上駅は、現在、行き違い設備の工事中。完成すれば、さらに柔軟なダイヤ設定が可能になるのでしょうね。


第3セクターとして新たなスタートを切ってから2年、新旧さまざまなな車両、イベントの開催など話題性も多く、また沿線施設やイベントとの連動など地域に密着した鉄道としても活発な湊線。比較的近いので、また訪問しようと思います。

[3セク鉄道]わ鐵や会津線の動き

2010-02-25 23:15:14 | ガンバレ!3セク鉄道
真岡鐵道をピックアップしたブログをやっていますが、同じように小さいながらも頑張っている第3セクター鉄道の動向も気になっていて、いろいろと調べています。その中でも、比較的近く、過去に乗ったことのある2路線の近況が気になったので書いてみます。


まずは、昨年末に訪問した「わたらせ渓谷鐵道」。


群馬県の桐生市から栃木県の日光市足尾までを走る渓谷鉄道ですが、近年、路線の活性化に力が入っていて、アテンダントやボランティア駅長、弁当やイルミネーションなど話題が豊富です。このほど、5年間の経営計画を策定し、新年度は中古車両購入によるトロッコ列車の充実、普通列車1両の新造が決定したとのこと。新車購入を決めたということは、長期的に存続の方向で進むと受け取れるので、大きな1歩を踏み出したと言えますね。


群馬県みどり市の広報に特集があり、わ鐵の歴史、いま、これからについて知ることができます。
(⇒http://www.city.midori.gunma.jp/kouhou/2010_02/20100202-15.pdf


続いて、福島県の会津地域を南北に走る「会津鉄道」。


こちらは、沿線に観光資源が多く、東武線と野岩鉄道を経由して都心からのアクセスも良いため、観光利用の多い路線です。しかしながら、地域の交通機関として持続的に運行していくために会津線活性化連携計画(案)の策定が進められ、現在、計画案に対する意見を募集しています。この春、従来の快速用車両が更新されるとのことで、今後の動きが気になります。


さて、真岡鐵道に戻ってきますが、安全報告書によると平成22年度は真岡鐵道再生計画の最終年度。これまで、車両更新、橋梁の改修、ホーム嵩上げなどが実施され、新年度は今年度からの継続でマクラギのPC化が予定されています。しかし、平成23年度以降どうしていくのか、今後の展望みたいなものを示してほしいです。

[3セク鉄道]わたらせ渓谷鐵道訪問 Part3

2009-12-31 23:56:50 | ガンバレ!3セク鉄道
あと少しで2010年。今年中に「わ鐵」のレポートを完成させよう。


さて、相老駅で東武線に乗り換え太田市へ。昼食をとってから、すぐに引き返します。ホントはもっと街歩きしたかったんだが…。帰りは「わ鐵」の始発駅、桐生から乗車したかったので、東武線を新桐生で降り、徒歩で桐生駅を目指しました。


新桐生駅から桐生駅までは約2km。「わ鐵」の発車は13時35分。「あと25分しかないっ」











多少走って、5分前には桐生駅到着。切符を買ってすぐさま乗車。乗客は30人ほどで、早帰りだったのか高校生の姿も目立ちました。しばらくは立ったままでしたよ。


下りの渓谷線は山登り。停車時間もあったのですが、1時間40分かけてゆっくりと進んでいきます。乗客は段々と減っていき、県をまたぐころには1桁に。


15時15分、間藤駅に帰ってきました。「わ鐵」の旅も無事終了です。今回は、オフシーズンに訪れたためか、地元の人に利用されている普段の「わ鐵」を見ることができたように思います。


ありがとうございました。


開業20周年を迎えた「わ鐵」。最近は、観光鉄道として盛り上げようと内外から様々な動きが見られます。国の登録有形文化財に認定されたことでも話題になりました。鉄道を取り巻く環境は厳しさを増しつつありますが、移動手段としてだけでなく、文化としても守り続けてほしいものですね。


来年も皆様にとって良い年でありますように…。

[3セク鉄道]わたらせ渓谷鐵道訪問 Part2

2009-12-26 23:55:31 | ガンバレ!3セク鉄道
「わ鐵」のレールバスに乗って渓谷沿いを下る旅は続きます。線路もほとんど下り勾配なので、列車は駅を発車する時だけ加速して、あとは惰性で下りていく感じです。


沢入駅を発車して川を渡ると、全長約5.2kmの長~い草木トンネルに入ります。このトンネルは国鉄時代、草木ダム建設に伴い水没する線路を付け替えるために掘られたものだそうです。しかし、「わ鐵」には地形の特性上、トンネル、切通し、橋、崖が多く存在します。昔の人はよくこんなところに鉄道を通したなあと感心しました。反面、路線の維持管理や災害対策も大変なのでしょうね。


さてさて、車内を見渡しているとこんな張り紙が…。


開業20周年の今年度1年間、無人駅の管理や情報提供を担うボランティア駅長の紹介ですね。厳しい経営状況の続く「わ鐵」ですが、アテンダントの乗務やコラボグッズの展開など、いろいろと頑張っているようです。来年度以降は、車両更新などにもとりかかる計画のようで、今後の動きにも注目です。


いつの間にか列車の乗客は20人ほどになりました。列車は「わ鐵」の中心駅、大間々に到着です。本社や車庫もあるこの駅で、乗客の半数が下車しました。ここからは、沿線人口も増えるためか列車本数もやや多くなっています。あとで地図を見ると、この辺りにはJR、私鉄線合わせて4路線が走っているんですね。


今回は、その中でも東武桐生線と接続している相老駅で下車。


ここから東武線の特急に乗れば、浅草まで乗り換えなしで行けるので利便性はそれなりに高くなっています。逆に、「わ鐵」にとっては首都圏からの観光利用客を取り込める重要駅といったところでしょうか。ここで「わ鐵」とは一旦お別れです。


<つづく>

[3セク鉄道]わたらせ渓谷鐵道訪問 Part1

2009-12-24 23:56:49 | ガンバレ!3セク鉄道
今月上旬、栃木県に関係する第3セクター鉄道のひとつ、『わたらせ渓谷鐵道』を初体験してきました。写真とともにレポートしたいと思います。


日光経由で、午前9時半ごろ「わ鐵」の終点間藤駅に到着しました。

既に到着していた列車は、懐かしのレールバス。数年前まで真岡線を走っていた車両と同型のものです。「わ鐵」は今年で20歳。列車には、記念のヘッドマークが掲げられていました。

9時49分、1両編成のレースバスがゆっくりと間藤駅を発車しました。乗客は、自分の他にお婆さんが1人。列車は、銅山跡の残る山沿いを進んでいきます。通洞駅を過ぎると渡良瀬川にかかる鉄橋を渡り、川の東側を下っていきます。渓谷の風景を眺めながら、列車の旅は続きます…。


<つづく>