雀の手箱

折々の記録と墨彩画

尾張 徳川の至宝展

2013年11月21日 | 雀の足跡


 九州国立博物館で開催中の「尾張 徳川の至宝」展を思いがけず観覧できました。
 10月以来の夫の入院で、体重が3キロ減少した私をを気遣ってか、弟がリフレッシュにと言ってくれました。ちょうど九国博で、尾張徳川の至宝展が開催中なので、弟夫婦は二度も名古屋で徳川美術館を訪れているのを承知の上で、九国博を希望しました。

 午前中に予定されていた用を済ませ、午後から1時間の道のりです。目当てはかねて一度見たいと思っていた日本一の嫁入り道具と言われる将軍家姫君の「初音の調度」と、後期に2週間のみ展示される源氏物語絵巻絵「竹河」でした。現存の源氏絵巻の中でも華やかな断簡として知られる1枚です。

 博物館周辺は小高い山懐に位置しているので里よりは紅葉の進みが早く、今が見ごろでした。平日の駐車場、会場はゆとりがあって存分の鑑賞ができました。

 武家の表道具の武具はさすがの名品ぞろいで、国宝の来孫太郎の気品ある太刀や、政宗の短刀、それに伝説の村正も展示されていました。
 茶道具も御三家筆頭の至宝、見ものが多く、家康形見分けの「駿府御分物」の茶壺「松花」の釉薬の流れ、古備前の水差しのすっきりとした直線的な形や、白天目などに目が行きました。二人ともこれが一番と意見が一致したのは小ぶりな織部筒茶碗“冬枯”でした。現代に通用するモダンな思い切りのいい直線のデザインに惹かれました。
 能衣装、能面、のほか、光悦の新古今和歌集抜書、広沢切貼込屏風、などの書画。そして目当ての初音の調度の数々は、いずれも愛らしくも豪華絢爛の一語に尽きました。貝桶は前期の展示で見ることはできませんでしたが、化粧道具の数々、百人一首を収めた蒔絵の箱の見事なこと。こうした精巧な調度、道具に囲まれていれば、日暮眺めていても退屈はしなかったでしょう。
 こうした多方面にわたる宝物が、明治維新による大名家の困窮にも散逸せず、さらには戦禍をも免れ。よくぞ保存されてきたと感動しました。充実の2時間余をプレゼントされて満足して帰宅しました。、




尾張 徳川の至宝展

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2 コメント

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ため息まじりで ()
2013-11-26 10:36:28
雀さんを気遣って、 受け継がれる至宝の品々が用意されましたね。 深く堪能されてリフレッシュできましたでしょう。 こちらまで嬉しくなります。

 沼蛙も細やかなご案内で楽しみました。甲冑から茶道具まで、小さなものにも込められる美意識、 遊び心を読みとる楽しみ。 芸術品をまえに時を忘れます。空飛ぶ美術館を、ありがとうございます。
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お伽噺の世界 (ふくら雀)
2013-11-26 22:25:49
贅をこらした工芸品の質には驚かされますが、やはり江戸のこと。粋名薬味も加わってホットします。和歌の文字をはめ込んだ遊び心など随所に発見がありました。
急な思いたちだっただけに準備もなく出かけましたが、かえって先入観もなしに楽しみ「倍返し」になりました。
装束や、能面、囃子の鼓や能管の胴に施された蒔絵も見事で、目を洗われるとはこんな時に使う言葉かと思ったことです。
関東に居住していらっしゃると機会には事欠かず選択に迷うほどだと思いますが、九州ではなかなかこうした機会は数少ないので無理をしても出かけることにしていますが、次第に体のほうが動いてくれなくなりそうです。
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