ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

茨城味自慢:ブランド豚「常陸の輝き」はやわらかい、旨みが強い、香りが良い!

2022-03-24 07:51:38 | 日記

茨城県は、1988年には養豚農家戸数が全国第1位(5,120戸)でしたが、2000年には

全国2位の990戸、2017年には全国第6位の350戸で、現在は310戸ほどと減少傾向が

続いています。それでも茨城県は現在でも日本で有数の養豚県です。減少した原因と

しては定番コメントですが、豚価の低迷や飼料価格の上昇などによる経営の悪化によ

る廃業、後継者不足や非農家の増加、宅地開発が進むなどの周辺環境の変化などが挙

げられます。そこへ、TPPや日欧EPAなど、農産物流通のグローバル化による価

格競争の嵐が吹き込んできました。そこで、生き残っている養豚農家たちは既存のブ

ランド豚肉に甘んじることなく、更に、高品質な豚肉生産に取り組み、豚肉の差別化

を図ることこそが所得向上の道と信じて、新規ブランド豚の開発に着手しました。開

発には茨城県の畜産センターと養豚農家が協力して8年の歳月がかかりました。こうし

て誕生し、2018年12月に市場に出荷されたのが、茨城県のブランド豚「常陸の輝き」

です。皆さんにご紹介します。

TPP: 「環太平洋パートナーシップ協定」太平洋を基準にして自由にモノやサービス、

   投資などが行き交う一つの経済圏を構築する。

日欧EPA: 経済連携協定のことで、関税を減額したり撤廃したりしていくことによって、

    物流の自由化を図るといったものです。

 

<豚肉の豆知識>

1.日本で売られている国産豚の約4分の3は三元豚

  三元豚とは、3品種の豚を交配させて生まれた豚のことです。なぜ、3品種の豚を

  交配させるのかというと、品種ごとの長所を組み合わせて、より風味や品質、食感

  が良い豚を安定的に生産するためです。例えば、大きくて胴長に育つ(食べられる

  部分が多い)品種のランドレース種と子どもをたくさん産む大ヨークシャー種から

  生まれた豚に、肉質の良いデュロック種を交配させることで、良質な肉の三元豚が

  安定して大量生産できるというわけです。また、雑種にすることで病気にも強くな

  ります。

2.「黒豚」と表示できるのはバークシャー種だけ

  「黒豚」と聞くと、おいしい豚肉をイメージする方も多いかもしれませんね。「黒豚」

  と表示できるのは国産、外国産を問わずバークシャー種の豚肉だけで、黒豚特有の風

  味や肉質を損なわないように、他の品種と交配させずに育てています。また、成長過

  程にも特徴があり、大半の国産豚肉(三元交配した豚)は生まれて180日前後で体重

  110キログラムほどまで成長して、肉として出荷されますが、黒豚は発育が遅く、出

  荷まで240日前後かかることも。その分、歯切れの良い食感や、うま味をたくさん含

  んでいるなど、肉質は高い水準を誇っています。

3.ウインナーとフランクフルトの違いは皮

  ウインナーもフランクフルトもソーセージの一種で、原料や製法によって1,000種類

  以上もあるそうです。ソーセージ は、ミンチ肉を香辛料や調味料で味付けし、外側

  の皮の部分であるケーシングに詰めた後、蒸煮、乾燥、燻煙(スモーク)などの工程

  を経て出来上がります。この際のケーシングに使う家畜動物の種類によって名称が変

  わるのです。羊の腸に肉を詰めるとウインナー、豚の腸だとフランクフルト、そして

  牛の腸であればボロニアと呼ばれます。また、これらの天然ケーシングの他に、コラ

  ーゲンなどを加工して作る人工ケーシングがあります。その場合は、完成した製品の

  直径によって名称が変わり、20ミリメートル未満がウインナー、20ミリメートル以上

  36ミリメートル未満がフランクフルト、36ミリメートル以上がボロニアと呼ばれます。

4.パパイヤで肉を柔らかく

  果物の中には肉を柔らかくする酵素を含んでいるものがあり、その成分にはたんぱく

  質を分解する働きがあります。そんな酵素の中で強力なものを持つのがパパイヤです。

  生の果実を刻んで肉にまぶしたり、肉と一緒に煮たり炒めたりすることで、肉が柔ら

  かくなりおいしく食べられます。簡単にパパイヤが手に入らないという方は、キウイ

  やパインアップルなどでも代用が可能です。

5.豚肉はとってもヘルシーで、 美容と健康に良い栄養素がたっぷり

  豚肉はそのイメージほどカロリーは高くありません。例えば、かたロースのカロリー

  (100g当たり)で比べてみると、和牛が419kcal、国産牛肉が305kcalですが、豚肉は

  257kcalです。しかも、豚肉は調理方法が多いので、カロリーを低くしてもおいしく

  食べることができます。また、ヒレやもも肉、かた肉の赤身は特に低脂肪で低カロリー、

  しかも良質タンパク質、ビタミンB群が豊富なのでおすすめです。

 

<茨城県の銘柄豚肉>

銘柄豚肉とは、豚の品種や飼料、育て方を工夫し、安全性やおいしさなどにこだわって生

産した豚肉であり、現在、茨城県内では地域や生産者ごとに特色ある12銘柄ほどの豚肉の

生産がおこなわれています。一部を紹介します。

(1)ローズポーク:茨城県を代表するブランド豚肉です。1983年に誕生して、愛されつ

    づけて、38年。全国の銘柄豚肉の中で最優秀賞に輝いた実績があります!肉質は

    弾力があり、きめ細かく軟らかいのが特徴です。また、締りの良い赤肉に入る良

    質の脂肪が光沢のある豚肉を作り出しています。

(2)キングポーク:飼料と血統にこだわった豚肉。肉質はきめが細かくつやがあり、脂

    肪が適度にのりなめらかで、口の中でとろけるような豊かな風味が特徴です。

(3)いばらき地養豚:環境対策に取り組み、病原菌や抗生物質残留検査をクリアした指

    定農場で、子豚から肥育豚まで一貫して生産飼育された銘柄豚肉です。肉質はつ

    やがあり、弾力性に富んでいます。甘みが強くコクがあり、臭みが少なく食べや

    すいのが特徴です。また、コレステロールも少ないヘルシーポークです。

(4)美明豚:配合飼料に20種類以上の天然素材(乳酸菌・ビフィズス菌・納豆菌・海藻

    ・パイナップル粉末・ウコン・酒かす等)をバランスよく与えています。肉質は

    軟らかく、歯切れが大変良いのが特徴です。確かな甘みとコク、そして豊かな風

    味を楽しむことができます。

(5)梅山豚:国内に約100頭しかいない梅山豚は、そのほとんどが、県内の塚原牧場で飼

    育され、「幻の豚肉」と呼ばれています。霜降りの度合いが高く、軟らかいのが

    特徴です。そして、梅山豚最大の特徴は、おいしい肉汁の割合がたっぷりと含まれ

    ていることです。生産量は限られます。

(6)蓮根豚: 全国一の生産量を誇る茨城県産の蓮根を飼料に活用して育てた豚のことです。

    肉質は、クセが無く脂があっさりし、甘みのある味が特徴です。

 

<「常陸の輝き」のおいしさの秘密は、生産と飼育の方法にあり>

常陸の輝きには先行のブランド豚肉「ローズポーク」がありましたが、一部の養豚農家に生

産が限られたため、より一般農家の参入がしやすい新ブランド豚の育種を目的として開発さ

れました。常陸の輝きは、ローズポークと同じく、ランドレース種、大ヨークシャー種を掛

け合わせた母豚(交雑種)にデュロック種の雄豚を交配して生産する三元豚(豆知識参照)

です。ローズポークとの違いは、茨城県畜産センター養豚研究所が、五年の歳月をかけてつ

くり上げたヂュロック種系統豚「ローズD-1」を父豚として最後に交配させることにありま

す。「ローズD-1」は、赤肉中の脂肪割合が一般的な国産豚肉よりも高い能力を持っており、

そのため、肉質の良い豚肉を生産することができます。それだけではありません。試作試験

を重ね、麦を多くし、乳酸菌を加えるなどした専用のエサ「常陸の輝き専用飼料」を与える

ことで、脂がさっぱりとして、ほのかに甘く、良い香りになりました。また、赤身に脂(サシ)

が入り、旨みが強く、やわらかな口あたりになることも特長です。「豚の味を決めるのは脂、

脂を作るのはエサ」と言われるほど、豚肉のエサは重要なのです。もちろん、日々の体調管

理や豚舎の掃除など、豚にとってストレスの無い環境を整えることも大切です。「常陸の輝

き」は、茨城県の養豚関係者が満を持して、市場に出した新たな銘柄豚肉なのです。

 

<「常陸の輝き」のブランド規格条件>

「常陸の輝き」として認定されるのは、指定生産者が「常陸の輝き生産流通マニュアル」に

基づいて、生産・出荷した豚肉です。マニュアルでは、種豚はローズD-1を活用すること、

そして、肉質を良くするために設計された「常陸の輝き」専用飼料を、肥育後期の出荷前の

55日以上給与することになっています。また、出荷時点での体重は、通常の肉豚出荷より重

めに育てることで、脂肪含量や旨味の向上を図っています。品質については、基準を設定し

たうえで、定期的に脂肪含量などの肉質検査や、関係者による食味評価を実施することによ

り、バラツキのない高品質な豚肉を供給しています。

 

<ブランド豚確立に向けた施策>

現在、全国には約四百ものブランド豚肉が存在しています。幸い、「常陸の輝き」は、開発

時の品評会において、肉が柔らかく、旨味があり、香りも良いという評価で、料理人の方た

ちから絶賛されています。今後、競争力のあるブランド豚として確立するためには、まず知

名度を上げたいとイベントや販売フェアなどの実施,メディアを活用したPR対策を重点的

に実施し、更に、首都圏の百貨店や高級レストランなどでの取り扱いを目指しています。

現在、2025年度には7万頭の出荷を目標にしています。

 

関係者の想いを乗せたブランド豚肉「常陸の輝き」は、専用の飼料でじっくり育て上げるこ

とで、やわらかく、旨味があり、香りの良い肉質を実現しました。

 

是非、ご賞味ください。

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