かつて百人斬りを目指して遊びまくっていた超モテ高校生の陸《りく》。
保健室の楓《かえで》先生への思いが募るに従って、
誰ともエッチができなくなって。
楓先生も、巨根の体育教師今泉先生と付き合いながらも、陸に惹かれていき。。。
先生と生徒のふたりが、いま……
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陸は再び楓の腕を掴んで引き寄せた。
「楓ちゃんが欲しいよ。今センになんか渡したくない」
腕に力を込め、楓を抱きしめ、無理やり唇を奪う。
「あ……ねえ、そんなふうにされたら……」
楓が逃れようとしながら吐息混じりの声を上げるせいで、陸の気持ちはどんどん高まってくる。陸はニットの裾から手を入れようとした。でもその途端、手が動かなくなった。
女の子のやわらかい体を抱きしめてキスをしたら、次はどうするんだっけ。よく知ってるはずなのに、陸は次の行動に移れなかった。
高校入学後、あっさりとサッカーに挫折して、全国高等学校サッカー選手権大会に出場するという目標から、いつのまにか「ナンパで百人斬り達成」が陸の目標になっていた。二十人ぐらいまでは数えていたけれど、そのうちに何人の女の子とヤったのかわからなくなった。でも、まだ童貞のクラスメートもいるというのに、かなり経験した数は多いと思う。女なんて簡単だと陸は思っていた。「やだ」とか「やめて」とか言っていても、たいていはポーズだ。女の方がいつだって貪欲で、はじめは「やらせてよ」と誘った陸の方が、最終的には「もっともっと」とせがまれ、飲み込まれ、吸い尽くされる。陸だって、終わってすぐ復活できるし、最高で一晩に七回したこともある。それでも、女は底なしに求めてくる。
でも……。
陸の右手は、楓のニットの裾をめくりあげることを躊躇《ちゅうちょ》していた。この華奢な体を壊してしまいたい。貫きたい。自分のものにしたい。制服のズボンの下のパンツの中身はかなり角度を増している。今のところ半分ぐらいしか隆起していないようだけれど、ニットに手を入れてしまえば、完全に準備万端整うだろう。でも、右手はためらいがちに宙に浮いているままだ。
と、そのとき、陸の右手首を楓の手がとった。そして、ゆっくりと持ち上げ、陸のてのひらを自分の胸の上に置いた。
「楓ちゃん?」
「恥ずかしいから、何も言わないで」
楓は手首をつかんでいた手を離し、胸に置かれた陸の右手の上に自分の手を重ねる。
「楓ちゃんに、触れていいの?」
「保健室☆わくわく日記」[著]世良ふゆみ 40話より
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41話はこの小説のクライマックスです。
1年間つづいた連載は48話で終わります。
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世良ふゆみさんは、ノベライズの女王の異名を持ち、
最近では「海猿」「わたしたちの教科書」のノベライズを手がけるなど、
圧倒的筆力とノベライズで培ったドラマツルギーによって、
プロの携帯恋愛小説家の作品とはどのようなものかを、
示しておられます。
貴女は「本物」を見分ける力をお持ちですか?
編集部