近藤雅和さんの『Ｈも程程に──歴史をつくるセックス』
間もなく連載が始まります。
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はじめに……歴史は夜つくられる
「クレオパトラの鼻がもう少し低かったら……」と書いたのはパスカル（『パンセ』）だった。古代エジプトの女王クレオパトラの美貌に少しでも遜色があれば、ローマの将軍アントニウスは彼女の魅力に翻弄されず、世界の歴史は変わっていたかもしれない。
最近、クレオパトラが生きていたプトレマイオス王朝の頃のミイラから採りだした骨をＤＮＡ鑑定した結果、当時の王朝の人たちは人類の先祖といわれているアフリカ系の人種であることがわかった。つまり、クレオパトラの肌の色はアラブ系や東南アジア系やオセアニア系よりも黒いアフリカ系黒人の色だったという。
当時、シーザーの愛人だったクレオパトラにアントニウスが恋してしまったのは、彼女の美貌なのか才気なのか？ あるいは、彼女はどちらも持ち合わせていたのか？
プルタルコスの歴史書『英雄伝』には、シーザーのクレオパトラ観が記されている。それによると、シーザーはクレオパトラに出逢い、その美貌よりも気品と才気に惚れ込んだらしい。
その結果、ふたりの間には男児が生まれた。クレオパトラはシーザーを尊重したというより、シーザー（カエサル）との愛の証として、その男児に「カエサリオン」という名をつけたという。
とにかく、ふたりは夜をともにし、ベッドでの彼女のセックス・テクニック（古代のギリシャやローマにはないエジプトならではのワザ）に、シーザーもアントニウスも心身ともにとろけたのではないか。
そうでなければ、アントニウスはクレオパトラと結婚しなかっただろうし、アクチウムの海戦（紀元前三一年）に打って出なかったに違いない。この海戦でオクタヴィアヌス（後の元首アウグストゥス）の率いるローマ軍がアントニウス＋クレオパトラのエジプト軍を破ることになる。ローマ軍が勝利したため、地中海を取り巻く力関係はそれまでのバランスを失い、ローマによる東方世界の征服が進んでいく。
クレオパトラのセックス・テクニックがローマ帝国のパワーを拡大させ、エジプトやギリシャ、さらにはパレスチナの勢力を抑えることになる。彼女が国の運命や歴史を変えてしまったといえる。
というわけで、「歴史は夜つくられる」のだ。
それでは、日本での歴史上人物の夜のいとなみはどうだったのか？ 日本史に名を残した有名人たちのセックスライフを調べれば、その時代背景や人々のセックス観が見えてくる。セックスを通して日本史を逆照射し、いかにセックスによって歴史がつくられたのかを考えてみよう。
彼らのセックスは現代の私たちにとって参考になるかもしれない。私たちのセックスを豊かにする一助にしたいものだ。
＊＊歴史人物Ｈ番付表＊＊
〔横 綱〕聖徳太子＋膳部菩岐岐美郎女……万物の根源、神仙セックス
〔大 関〕雄略天皇＋采女……いにしえのおおらかセックス
〔張出大関〕大石内蔵助＋愛妾・可留……生と死が切迫したセックス
〔関 脇〕天智、天武の両天皇＋額田王……大いなる女性とのセックス
〔小 結〕一休宗純＋森女……人生さいごの究極セックス
〔前頭筆頭〕一遍上人の「踊り念仏」……共同体でのダンシングセックス
〔二枚目〕出雲阿国の女歌舞伎……じつは女性リードのセックス
〔三枚目〕後醍醐天皇の乱交パーティ……いにしえを回顧する憧れセックス
〔四枚目〕白河法皇＋待賢門院璋子……孫とのロリコンセックス
〔五枚目〕明智光秀＋森蘭丸＋織田信長……純粋すぎた小姓とのセックス
〔六枚目〕源義経＋建礼門院徳子……わが子・天皇を亡くした母性とのセックス
〔七枚目〕大奥美人の絵島＋歌舞伎役者の生島……あまりに切ない張形セックス
〔八枚目〕源頼朝＋亀の前、大進の局／妻・政子……どうする妊娠時セックス
〔九枚目〕徳川家斎の大奥プレイ……覗かれる快感セックス
〔十枚目〕西郷隆盛＋小姓・山田／伊藤博文＋女将・お倉……小姓や大奥への回帰セックス
〔十 両〕豊臣秀吉＋淀殿、南殿……焦った気分の生殖レス（？）セックス
〔序ノ口〕紀貫之のヴァギナ表現……創作へと昇華した妄想セックス
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(マリクロブックス『Ｈも程程に──歴史をつくるセックス』より）
紙の書籍や雑誌で長年執筆されていた近藤雅和さんが、
６年ぶりに帰ってこられました！！
近藤雅和さんからのメッセージです。
「生活、ビジネス、文化について、不思議なこと、興味深いことを取材＋執筆しています。
そこでの主役は、私たち「人間」です。
その一環として、宇宙旅行でのセックスはどうなる？
宇宙人たちはどんなセックスをしているの？
そんな想像を日本史に向けると、そこには豊穣な「恋愛＋セックス」が展開されている。その成果が本書なのです」
●近藤雅和（こんどうまさかず）
東京都出身。鎌倉在住。
慶応義塾大学法学部法律学科に学ぶかたわら上映集団ＣＣＦを主宰。音楽や美術関連の編集に携わった後、フリーとなり、「ビジネス」「経済」「医療」「文化」「芸術」等、さまざまな分野の雑誌や書籍の企画・編集・執筆に携わる。
著書は『20世紀文学映画館』『縮小経済は企業淘汰の時代』『ｅコマース最前線』『ブロードバンドビジネスのしくみ』『先進企業のデザイン戦略』『21の日本の名画を愉しむ』『仕事ができる「最強の言葉」』など多数。
お楽しみに。
編集部
間もなく連載が始まります。
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はじめに……歴史は夜つくられる
「クレオパトラの鼻がもう少し低かったら……」と書いたのはパスカル（『パンセ』）だった。古代エジプトの女王クレオパトラの美貌に少しでも遜色があれば、ローマの将軍アントニウスは彼女の魅力に翻弄されず、世界の歴史は変わっていたかもしれない。
最近、クレオパトラが生きていたプトレマイオス王朝の頃のミイラから採りだした骨をＤＮＡ鑑定した結果、当時の王朝の人たちは人類の先祖といわれているアフリカ系の人種であることがわかった。つまり、クレオパトラの肌の色はアラブ系や東南アジア系やオセアニア系よりも黒いアフリカ系黒人の色だったという。
当時、シーザーの愛人だったクレオパトラにアントニウスが恋してしまったのは、彼女の美貌なのか才気なのか？ あるいは、彼女はどちらも持ち合わせていたのか？
プルタルコスの歴史書『英雄伝』には、シーザーのクレオパトラ観が記されている。それによると、シーザーはクレオパトラに出逢い、その美貌よりも気品と才気に惚れ込んだらしい。
その結果、ふたりの間には男児が生まれた。クレオパトラはシーザーを尊重したというより、シーザー（カエサル）との愛の証として、その男児に「カエサリオン」という名をつけたという。
とにかく、ふたりは夜をともにし、ベッドでの彼女のセックス・テクニック（古代のギリシャやローマにはないエジプトならではのワザ）に、シーザーもアントニウスも心身ともにとろけたのではないか。
そうでなければ、アントニウスはクレオパトラと結婚しなかっただろうし、アクチウムの海戦（紀元前三一年）に打って出なかったに違いない。この海戦でオクタヴィアヌス（後の元首アウグストゥス）の率いるローマ軍がアントニウス＋クレオパトラのエジプト軍を破ることになる。ローマ軍が勝利したため、地中海を取り巻く力関係はそれまでのバランスを失い、ローマによる東方世界の征服が進んでいく。
クレオパトラのセックス・テクニックがローマ帝国のパワーを拡大させ、エジプトやギリシャ、さらにはパレスチナの勢力を抑えることになる。彼女が国の運命や歴史を変えてしまったといえる。
というわけで、「歴史は夜つくられる」のだ。
それでは、日本での歴史上人物の夜のいとなみはどうだったのか？ 日本史に名を残した有名人たちのセックスライフを調べれば、その時代背景や人々のセックス観が見えてくる。セックスを通して日本史を逆照射し、いかにセックスによって歴史がつくられたのかを考えてみよう。
彼らのセックスは現代の私たちにとって参考になるかもしれない。私たちのセックスを豊かにする一助にしたいものだ。
＊＊歴史人物Ｈ番付表＊＊
〔横 綱〕聖徳太子＋膳部菩岐岐美郎女……万物の根源、神仙セックス
〔大 関〕雄略天皇＋采女……いにしえのおおらかセックス
〔張出大関〕大石内蔵助＋愛妾・可留……生と死が切迫したセックス
〔関 脇〕天智、天武の両天皇＋額田王……大いなる女性とのセックス
〔小 結〕一休宗純＋森女……人生さいごの究極セックス
〔前頭筆頭〕一遍上人の「踊り念仏」……共同体でのダンシングセックス
〔二枚目〕出雲阿国の女歌舞伎……じつは女性リードのセックス
〔三枚目〕後醍醐天皇の乱交パーティ……いにしえを回顧する憧れセックス
〔四枚目〕白河法皇＋待賢門院璋子……孫とのロリコンセックス
〔五枚目〕明智光秀＋森蘭丸＋織田信長……純粋すぎた小姓とのセックス
〔六枚目〕源義経＋建礼門院徳子……わが子・天皇を亡くした母性とのセックス
〔七枚目〕大奥美人の絵島＋歌舞伎役者の生島……あまりに切ない張形セックス
〔八枚目〕源頼朝＋亀の前、大進の局／妻・政子……どうする妊娠時セックス
〔九枚目〕徳川家斎の大奥プレイ……覗かれる快感セックス
〔十枚目〕西郷隆盛＋小姓・山田／伊藤博文＋女将・お倉……小姓や大奥への回帰セックス
〔十 両〕豊臣秀吉＋淀殿、南殿……焦った気分の生殖レス（？）セックス
〔序ノ口〕紀貫之のヴァギナ表現……創作へと昇華した妄想セックス
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(マリクロブックス『Ｈも程程に──歴史をつくるセックス』より）
紙の書籍や雑誌で長年執筆されていた近藤雅和さんが、
６年ぶりに帰ってこられました！！
近藤雅和さんからのメッセージです。
「生活、ビジネス、文化について、不思議なこと、興味深いことを取材＋執筆しています。
そこでの主役は、私たち「人間」です。
その一環として、宇宙旅行でのセックスはどうなる？
宇宙人たちはどんなセックスをしているの？
そんな想像を日本史に向けると、そこには豊穣な「恋愛＋セックス」が展開されている。その成果が本書なのです」
●近藤雅和（こんどうまさかず）
東京都出身。鎌倉在住。
慶応義塾大学法学部法律学科に学ぶかたわら上映集団ＣＣＦを主宰。音楽や美術関連の編集に携わった後、フリーとなり、「ビジネス」「経済」「医療」「文化」「芸術」等、さまざまな分野の雑誌や書籍の企画・編集・執筆に携わる。
著書は『20世紀文学映画館』『縮小経済は企業淘汰の時代』『ｅコマース最前線』『ブロードバンドビジネスのしくみ』『先進企業のデザイン戦略』『21の日本の名画を愉しむ』『仕事ができる「最強の言葉」』など多数。
お楽しみに。
編集部
