電子書籍出版☆少女漫画・少年マンガ募集★スイーツ文庫 BLOG☆コミック ☆漫画家募集★漫画作品募集

漫画家・作家 応援!
スマートフォン,電子書籍リーダー,PCで読む
電子書籍専門出版社です。

1/12 藤野さり新作 連載開始!! 『一の月と青き鬼』

2012年01月13日 16時43分23秒 | 新着情報



わたしの彼は鬼だった!! 平凡な24歳の会社員、睦月の恋人は、魔力を持つ鬼族の若者だった。禁じられた二人の恋の行方は?

藤野さり著 『一の月と青き鬼』

第1回

「結婚してほしいの」

 わたしからの逆プロポーズに、青磁《せいじ》君は固まってしまった。
 さっきまで流れていた和やかなムードは瞬時に消え去り、気まずい沈黙が落ちた。
 わたしは、恋の終わりを覚悟した。

 彼、北島青磁《きたじませいじ》は、わたしの勤め先の同僚だ。
 一年前、彼から置き傘を借りたのがきっかけで親しくなり、デートをするようになった。今では互いの部屋の合鍵を交換して、毎週末を一緒に過ごしている。
 ちょっと理屈っぽい話し方や、甘やかし過ぎと思うほど優しいところ。時々頑固で強引なところも全部含めて、彼が好きだった。
 照れてしまうような褒め言葉や、デートのたびにくれる小さなプレゼント、濃厚なスキンシップ。それらを、彼に愛されている証拠だと信じていた。同じ未来を望んでくれていると、勝手に思い込んでしまった。
 わたしって……大バカ。
「……ごめんなさい」
 頭をうな垂れたわたしは、無意識のうちに謝っていた。
「本当に……ごめんなさい」
 膝の上に乗せた両手を、ぎゅっと握りしめた。
 他に恋愛経験がないので、こういう場合どう対処すべきか全然わからなかった。
 笑ってごまかしてもいいの? それとも、合鍵を返してきちんと別れるべき? でも、彼と離れたくなんてない。
 わたしたちのいるレストランはかなり照明を落としているし、隣のテーブルとの間隔が開いているので、こちらの会話が全部聞こえることはない。人気店のここを予約したのは、付き合いだして一周年を祝いたかったのと、同時に婚約記念日にもしたかったから……。恋愛初心者のベタな発想だ。

「――睦月《むつき》」
 青磁君が気遣うように声を掛けてきた。
 わたしは慌てて顔を上げた。
「あの、わたしは平気だから。まだ青磁君は二十五歳で、結婚を考えるには早すぎて、付き合いもたった一年間だけだし。だから、断られることも覚悟していて」
「違うんだ」
「本当にいいのよ、悪いと思わなくても――」
「睦月! 黙って俺の話を聞くんだ」
 珍しく声を荒げた彼に、わたしは驚いて口をつぐんだ。
 青磁君は言い難そうに唇を噛むと、少し下を見た。
「……実は、ずっと隠していたが、俺には秘密があるんだ。いつかは打ち明けなければと思っていたが、なかなか言い出せなくて」

 秘密?

「――俺は『異種』なんだ」

 異種……。
 わたしはポカンと口を開けた。
「……異種? ええと、それは、あのヴァンパイアやら狼男、妖精なんかの?」
「そうだ」
 青磁君がうなずいた。


続きはコチラからアクセス




最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。