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ある晴れた日の・・・

『会社が消えた日』-三洋電機10万人のそれから-、大西康之著、日経BP社刊、2014.5.20

一気に読んだ。読めた。

ニュースで報じられ私たちが知ることができるのは、ほんの一部。
この書から読み取れることも、実はパナソニック側から誰かが全く違った視点・見解で書くかもしれない。

それでも業界が大きく揺れ、数万人が、ある日を境に名乗るべき愛社(名)を失った事実は変わらない。

全く別の業界だが、元同僚が、会社最後のX-dayが迫った頃の話をしてくれたことがある。

まだ共通の友人や共に働いてきた人がいた。

しかし、遂に希望退職を受け付けることになり、まだ今なら応募者に幾ばくかの退職奨励金が出るという。

それも人数枠があり、早い者勝ちという情報が駆け巡り、会社近くのホテルに前泊して駆けつける案もでた。

その時にいろいろな情報を集め先導をかってでたのがN君。

私が知っているN君は当時はまだ若手で、人と目を合わせない、寡黙で真面目、全くめだたないが、関西では優秀なハンダイ(大阪大学)出身の切れ者だった。

そのN君が「最後になって初めて皆の役に立ったし、よく動いた!」と評価されたそうだ。

彼なりに危機感を感じ、仲間意識が強烈に芽生えたのだろう、、、というには遅きにすぎたのだが?

それくらい壮絶なリストラ劇に幕がひかれたあと、元同僚の友人が転職活動前にポツリと言った。
「今の私、糸がきれた凧(たこ)みたい」と。

その話とこの本は何ら共通点は無いのだが、愛してやまない会社が無くなるという虚無感は想像を遥かに超えている。

少なくとも≪死んだ子供の歳を数える≫のではなく、前を向いて突き進む三洋電機のDNAが受け継がれているに違いない。

そこに読んだ人にも安堵をもたらそうとしている、そんな読後感だった。


図書館で数ヵ月待ちでようやく順番が回ってきた。


重複する描写や記事はあるが、適当に流して苦にはならなかった。

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