仙台は市民会館向かいにある黒塀にかこまれた”賣茶翁”の和菓子です。
桜の開花宣言前に、思いがけない到来物でした。
桜が待ちどしい気持ちかきたてるうす紅色の桜の花びらをちりばめられた品がまず、手にとられ口に入っていきました。春を彩った吹雪も次に他の口にということで、最後のひとつです。
賣茶翁には電話がありません。でも、商いは成り立っています。それだけの味、品格を備えた菓子を創り出しています。
くず桜のくずの味。むかしはこの味のくずを誰もが味わっていたのが、手軽にということで名前は”くず”でもくずからとったのではない澱粉のくずをそうだと思い込む意識のすり替えが行なわれている時代に生きていることを再確認、実感する一瞬をいつも持ちます。
しみじみとほのかな甘さ、味の奥行きをいただいたのです。
季節の先取りをいただいたあとで、しばし、桜の花の移ろいを楽しめます。