連・断・続の部屋  

捨てる過去など何もなく、日々の社会との繫がり、自己の活性化、整理のためにつぶやく。

カラマーゾフの兄弟

2013-02-10 19:24:11 | 本と雑誌

東日本大震災以後、急速に悪化した病院経営の果てに、

2013年2月末を持って閉院準備のために、私物の本を整理中に

中村雄二郎著 「歓ばしきポエシス」に目が留まり、

ページを開き、

始めが ”グロッタの白いユダ リュビーモフ演出「カラマーゾフの兄弟を観て」だった。

東日本大震災後に、病院に拘束され続けた3週間の間にも、高校生だったころから50年ぶりに

米川正夫訳のカラマーゾフの兄弟を読み直した。

そして、2013年1月から、フジテレビで”カラマーゾフの兄弟”が

土曜日の連続ドラマとなっている。

5年間、日の目を見なかったというこのドラマ、

どういう切り口で、原作に迫るのか、興味しんしん。

ドストエフスキーの小説は、どれも心理ドラマで深い。

これまでか、これまでかと続くしつこく、長い、しかし、

短期間に起きた出来事を、父親殺しにいたる、心理描写を延々と詳細につらねられている。

しかし、真犯人と疑われるスメルジャコフの自殺で、犯人は永遠の謎として読者に残される。

”カラマーゾフ”気質、流、的など単なる姓ではなく扱われているカラマーゾフ。

カラマーゾフには、黒、罰などなどの隠喩としての響きが、ロシア語ではあるという。

フョードルの私生児スメルジャコフは、白いユダ

アリョーシャは黒いキリスト

ゾシマ長老はアリョーシャに向かって

”ここは(僧院)当分お前のおるべき場所ではない。お前が娑婆世界で偉大な忍従をするように、今わしが祝福してやる。………

娑婆世界に生きるアリョーシャを描く続編への期待を読者に残し

ドストエフスキーは黄泉の国に去ってしまった。

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