拈華微笑 ネンゲ・ミショウ

我が琴線に触れる 森羅万象を
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  パーフェクト・デイズ(2)〜涙こぼるる

2023年12月29日 | 東洋自分なり研究所

  ほぼ20日前に、こんな記事を書いた 2023年12月10日のブログ記事〜映画『パーフェクト・デイズ』を観て

  ヴィム・ヴェンダース監督映画『Perfect Days』のことで、あの時点で日本での公開が12月22日頃であることを知らなかった。

 

  で、そのブログを書き終えてすぐに、大事なことを書き忘れたことに気づいて・・・

  いつかまたそれについて書く事があるだろうと思っていたが、それが今日なのだろう。

 

  その第一番目は、映画の冒頭のシーン(だったと思う)、いまだ朝が明けぬ早朝の時間帯におばさんが道路脇を『箒で掃いている』シーン。

  このシーンは予告編にも取り入れられているシーンであるから、ヴェンダース監督にとっても重要な意味を持っていると思うが

  このシーンは、西欧に住む人間にとって、というか私のように海外在住の日本人にとって、というか禅修行で散々掃き掃除をした人間にとって・・・というか。

  ここヨーロッパのど真ん中スイスに住んで、落葉の季節に、落ち葉を清掃する人間が爆音をたてて、落ち葉を吹き飛ばす様子にうんざりしている

  私にとって、この『箒で掃き清める』シーンは絶対見逃せないシーンではあった。

  このあまりにも無神経な『掃除のやり方』に、毎年秋になると憤慨する馬骨であるが、離日してから30年、今では日本でもモーター旋風式掃除機で

  落ち葉を掃除しているのだろうなぁ〜・・・と思い込んでいたから、最新の映画のシーンで、『箒で掃き清める』様子に『郷里、ニッポン』を感じたが

  果たして、西欧人のヴェンダース監督の日本を観る眼は節穴ではなかった・・・ということなのだ。

 

  第二番目は、ヴェンダース監督に与えられた今回の映画のテーマが『トイレ』・・・ということで、

  日本で『便所掃除』といえば禅の修行である『作務』を思い浮かべない、日本人は・・・まぁ、いるか。

  禅寺では『陰徳を積む』ということから、『便所掃除』は修行僧の中でも先輩格の者が率先して行うものとして捉えられ、徹底して掃除を行う・・・。

  そういった『浄化の思想』がこの映画の底辺に、西洋人のヴェンダース監督によって、『日本文化』として捉えられている・・・気がする。

  予告編の中に、フランス映画雑誌『Premiere』のこの映画評として『ヴェンダース監督の、美しい禅の精神が再び現れた』・・・の一文が映されるのはその事であろう。

 

  第三番目は、今私は俳聖『松尾芭蕉』について書かれた本『芭蕉〜「かるみ」の境地へ』田中善信著を読んでいるが

  その『芭蕉』に多大な影響を与えた『西行』の和歌

  『 何事なにごとの  おはしますをば  しらねども  かたじけなさに  淚なみだこぼるる 』・・・を思う時

  この映画の最後の『問題のシーン』がわかり、主人公の平山が写真を撮りためるほど、『木々の木もれ陽』にこだわるのは

  『 ねかはくは  花のしたにて  春しなん  そのきさらきの  もちつきのころ 』と詠んだ西行の精神が

  今の日本に脈々と続く事への、ヴェンダース監督の称賛と励まし、の気持ちの現れ・・・なのではないか。

 

  前ブログでは、舞踏家・田中泯の踊るホームレスは『良寛』では?・・・と『遊戯三昧』の点から書いたが、

  西行〜芭蕉〜良寛・・・等の一連の流れから観ると、ヴェンダース監督の思いはより『西行』に近いように思う。

 

        

        クリスマスの朝に、桃源郷ゴマモチエ村のカフェで・・・一句を拈提(ねんてい)する馬骨図

  クリスマスが正月を兼ねているような気分が西欧のもう一つ・・・といえる文化の薄い所

  やっぱり、新年の気分を徹底的に盛り上げる演出の日本文化・・・ここにも『浄化思想』・・・があって気分が新たになる。(まずは、甘酒飲みたい!)

  

 

 

 



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