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以前古本屋で買った、五木寛之著「風に吹かれて」というエッセイ本を読んだ。
この作家は、私はいつ読んでもすんなりと軽く読める。相性が良い。
五木寛之氏は、いつも自分を低姿勢で語り、それが自然体であり、決して激せず、淡々と語る語り口が何とも心地よい。それは読者を低く見ているのでもなく、むしろ読者を尊重し、その目線が暖かく、嫌みがない。一度ハマれば、五木ワールドへいざなわれる魅力がある。
このエッセイは、五木氏の若き金沢在住時代の著作だ。金沢市は、私も一度、高校生の時の進路調査で、第一志望を金沢大学と書いた事があった。
しかし、未だに縁がなく、何よりその雪深さ、大雪の街という印象が私を遠ざけた。
五木氏も、その後、金沢を離れ、横浜に居を移す。永住はしなかった。
五木氏にとり、「金沢時代」とも呼べる時代の、昭和のエッセイが「風に吹かれて」である。
この本は、かなりの重刷を重ね、何百万部のベストセラーと言う。
「青春の門」の同じ著者の裏事情が判り、面白かった。