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<「漢字の学習の大禁忌は作輟なり」・・・「作輟(サクテツ)」:やったりやらなかったりすること・・・>
<漢検1級 27-③に向けて その116>
●「文章題訓練」その㊺です。復習・おさらい用にどうぞ👍
●難度はかなり易・・・チャレンジャーは80%(24点)以上はとりたい・・・。リピーターは限りなく100%とりたい(^^)
●文章題㊺:次の文章中の傍線(1~10)のカタカナを漢字に直し、傍線(ア~コ)の漢字の読みをひらがなで記せ。(30) 書き2×10 読み1×10
「・・・街へ下りてニュウスを聞く。流説(1)フンプン。昨夜遅く太鼓が響き、人々は武器を取ってムリヌウに (ア)馳せつけたが、何事もなかったと。今の所、アピア市には、事なし。市参事官に尋ねたが、情報なしという。
街から西の渡し場迄行って、マターファ側の村々の様子を見ようと、馬に(イ)騎る。ヴァイムスまで行くと、路傍の家々に人々がごたごた立騒いでいたが、武装はしていない。川を渡る。三百(ウ)碼で又、川。対岸の木蔭にウィンチェスターを担った七人の(2)ホショウがいる。近づいても、動きもしなければ声を掛けもしない。目で追うたのみ。私は馬に水を飲ませ、「タロファ!」と挨拶して其処を過ぎた。ホショウ隊長も「タロファ!」と応えた。之から先の村には武装兵が一杯に詰めかけている。支那人商人の住む洋館一棟あり。中立旗が門の所に(エ)翻る。ヴェランダには人々、女達が多勢立って外を眺めている。中には銃を持った者もいた。此の支那人ばかりではなく、島に住む外国人は皆自己の資財を守るに(3)キュウキュウとしている。(チーフ・ジャスティスと政務長官とがムリヌウからティヴォリ・ホテルに避難したそうだ。)途で土民兵の一隊が銃を担い弾薬筒を帯び、生々した様子で行進して来るのに遇う。ヴァイムスに着く。村の広場マラエには武装した男達が充満。会議室の中にも人々が満ち、その出口の所から外を向いて、一人の演説者が大声でしゃべっている。誰の顔にも歓ばしげな昂奮がある。見知り越しの老酋長の所へ寄ったが、此の前会った時とは打って変って、若々しく活気づいて見えた。少し休んで一緒にスルイを吸う。帰ろうとして外へ出た時、顔を黒く(オ)隈どり、腰布のうしろを捲き上げて(カ)臀部の入墨をあらわした一人の男が進み出て、妙な踊りをして見せ、小刀を空高く投げ上げて、それを見事に受けとめて見せた。野蛮で幻想的で、生気に溢れた観ものである。以前にも少年がこんな事をするのを見たことがあるから、之は(4)キット戦争時の儀礼みたいなものであろう。
八月×日
医者に執筆を禁じられた。全然よす訳には行かないが、近頃は毎朝二三時間畑で過すことにしている。之は大変工合が良いようだ。ココア栽培で一日十磅も稼げれば、文学なんか他人に呉れてやってもいいんだが。
うちの畑でとれるもの――キャベツ、トマト、アスパラガス、(5)エンドウ、オレンジ、パイナップル、グースベリィ、コール・ラビ、バーバディン、等。
「セント・アイヴス」も、そう悪い出来とは思わないが、(キ)兎角、難航だ。目下、オルムのヒンドスタン史を読んでいるが、大変面白い。十八世紀風の忠実な非(6)ジョジョウ的記述。
二三日前突然、碇泊中の軍艦に出動命令が下り、沿岸を廻航してアトゥア叛民を砲撃することになった由。一昨日の午前中、ロトゥアヌウからの砲声が我々を脅した。今日も遠く(7)インインたる砲声が聞える。
一八九四年十月×日
私がまだマターファの名を挙げるのを聞くと、人々(白人)は妙な顔をする。丁度、去年の芝居の噂でも聞いた時のように。或る者は又、にやにや笑い出す。下劣な笑だ。何は措いてもマターファの事件を可嗤的なものとしてはならぬと思う。一作家の奔走だけでは、どうにもならぬ。(小説家は、事実を述べている時でも、物語を語っているのではないかと思われるらしい。)誰か実際的な地位を有つ人物が援けて呉れなければ駄目だ。
全然面識の無い人物だが、英国下院でサモア問題に就いて質問したJ・F・ホーガン氏に宛て、手紙を書いた。新聞によれば、彼は再三に亘ってサモアの内紛についての質問をしているから、相当この問題に関心を抱いているものと見られるし、質問の内容を見ても、かなり事情にも通じているらしい。此の議員宛の書面の中で、私は繰り返し、マターファの処刑の厳に失する所以を説明した。殊に、最近叛乱を起した小タマセセの場合と比較して、その余りに(8)ヘンパなことを。何等罪状の指摘できないマターファ(彼は、いわば喧嘩を売られたに過ぎぬのだから)が千(ク)浬離れた孤島に(ケ)流謫され、一方、島内白人の(9)センメツを標榜して立った小タマセセは小銃五十梃の没収で済んだ。こんな莫迦な話があるか。今ヤルートにいるマターファの所へはカトリックの牧師以外に誰も行くことが許されない。手紙をやることも出来ぬ。最近、彼の一人娘が(10)カンゼン禁を犯してヤルートへ渡ったが、発見されれば、又連れ戻されるのだろう。
千浬以内にいる彼を救う為に、数万浬彼方の国の(コ)輿論を動かさねばならぬなんて、妙な話だ。
もしマターファがサモアへ帰れるようだったら、彼はきっと僧職に入るだろう。彼は其の方面の教育を受けてもいるし、又、そうした人柄でもあるのだから。サモア迄は望めずとも、せめてフィジイ島位まで来られたら、そうして、故郷のそれと違わぬ食事、飲料を与えられ、慾には時々我々と会うことが出来たら、どんなにか有難いのだが。・・・」「光と風と夢」(中島敦)
👍👍👍 🙊 👍👍👍
(1)紛々 (2)歩哨 (3)汲々 (4)屹度(急度) (5)豌豆 (6)抒情(叙情) (7)殷々 (8)偏頗 (9)殲滅 (10)敢然
(ア)は (イ)の (ウ)やーど (エ)ひるがえ (オ)くま (カ)でんぶ (キ)とかく (ク)かいり (ケ)るたく (コ)よろん
👍👍👍 🙊 👍👍👍
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●文章題㊺:次の文章中の傍線(1~10)のカタカナを漢字に直し、傍線(ア~コ)の漢字の読みをひらがなで記せ。(30) 書き2×10 読み1×10
「・・・街へ下りてニュウスを聞く。流説(1)フンプン。昨夜遅く太鼓が響き、人々は武器を取ってムリヌウに (ア)馳せつけたが、何事もなかったと。今の所、アピア市には、事なし。市参事官に尋ねたが、情報なしという。
街から西の渡し場迄行って、マターファ側の村々の様子を見ようと、馬に(イ)騎る。ヴァイムスまで行くと、路傍の家々に人々がごたごた立騒いでいたが、武装はしていない。川を渡る。三百(ウ)碼で又、川。対岸の木蔭にウィンチェスターを担った七人の(2)ホショウがいる。近づいても、動きもしなければ声を掛けもしない。目で追うたのみ。私は馬に水を飲ませ、「タロファ!」と挨拶して其処を過ぎた。ホショウ隊長も「タロファ!」と応えた。之から先の村には武装兵が一杯に詰めかけている。支那人商人の住む洋館一棟あり。中立旗が門の所に(エ)翻る。ヴェランダには人々、女達が多勢立って外を眺めている。中には銃を持った者もいた。此の支那人ばかりではなく、島に住む外国人は皆自己の資財を守るに(3)キュウキュウとしている。(チーフ・ジャスティスと政務長官とがムリヌウからティヴォリ・ホテルに避難したそうだ。)途で土民兵の一隊が銃を担い弾薬筒を帯び、生々した様子で行進して来るのに遇う。ヴァイムスに着く。村の広場マラエには武装した男達が充満。会議室の中にも人々が満ち、その出口の所から外を向いて、一人の演説者が大声でしゃべっている。誰の顔にも歓ばしげな昂奮がある。見知り越しの老酋長の所へ寄ったが、此の前会った時とは打って変って、若々しく活気づいて見えた。少し休んで一緒にスルイを吸う。帰ろうとして外へ出た時、顔を黒く(オ)隈どり、腰布のうしろを捲き上げて(カ)臀部の入墨をあらわした一人の男が進み出て、妙な踊りをして見せ、小刀を空高く投げ上げて、それを見事に受けとめて見せた。野蛮で幻想的で、生気に溢れた観ものである。以前にも少年がこんな事をするのを見たことがあるから、之は(4)キット戦争時の儀礼みたいなものであろう。
八月×日
医者に執筆を禁じられた。全然よす訳には行かないが、近頃は毎朝二三時間畑で過すことにしている。之は大変工合が良いようだ。ココア栽培で一日十磅も稼げれば、文学なんか他人に呉れてやってもいいんだが。
うちの畑でとれるもの――キャベツ、トマト、アスパラガス、(5)エンドウ、オレンジ、パイナップル、グースベリィ、コール・ラビ、バーバディン、等。
「セント・アイヴス」も、そう悪い出来とは思わないが、(キ)兎角、難航だ。目下、オルムのヒンドスタン史を読んでいるが、大変面白い。十八世紀風の忠実な非(6)ジョジョウ的記述。
二三日前突然、碇泊中の軍艦に出動命令が下り、沿岸を廻航してアトゥア叛民を砲撃することになった由。一昨日の午前中、ロトゥアヌウからの砲声が我々を脅した。今日も遠く(7)インインたる砲声が聞える。
一八九四年十月×日
私がまだマターファの名を挙げるのを聞くと、人々(白人)は妙な顔をする。丁度、去年の芝居の噂でも聞いた時のように。或る者は又、にやにや笑い出す。下劣な笑だ。何は措いてもマターファの事件を可嗤的なものとしてはならぬと思う。一作家の奔走だけでは、どうにもならぬ。(小説家は、事実を述べている時でも、物語を語っているのではないかと思われるらしい。)誰か実際的な地位を有つ人物が援けて呉れなければ駄目だ。
全然面識の無い人物だが、英国下院でサモア問題に就いて質問したJ・F・ホーガン氏に宛て、手紙を書いた。新聞によれば、彼は再三に亘ってサモアの内紛についての質問をしているから、相当この問題に関心を抱いているものと見られるし、質問の内容を見ても、かなり事情にも通じているらしい。此の議員宛の書面の中で、私は繰り返し、マターファの処刑の厳に失する所以を説明した。殊に、最近叛乱を起した小タマセセの場合と比較して、その余りに(8)ヘンパなことを。何等罪状の指摘できないマターファ(彼は、いわば喧嘩を売られたに過ぎぬのだから)が千(ク)浬離れた孤島に(ケ)流謫され、一方、島内白人の(9)センメツを標榜して立った小タマセセは小銃五十梃の没収で済んだ。こんな莫迦な話があるか。今ヤルートにいるマターファの所へはカトリックの牧師以外に誰も行くことが許されない。手紙をやることも出来ぬ。最近、彼の一人娘が(10)カンゼン禁を犯してヤルートへ渡ったが、発見されれば、又連れ戻されるのだろう。
千浬以内にいる彼を救う為に、数万浬彼方の国の(コ)輿論を動かさねばならぬなんて、妙な話だ。
もしマターファがサモアへ帰れるようだったら、彼はきっと僧職に入るだろう。彼は其の方面の教育を受けてもいるし、又、そうした人柄でもあるのだから。サモア迄は望めずとも、せめてフィジイ島位まで来られたら、そうして、故郷のそれと違わぬ食事、飲料を与えられ、慾には時々我々と会うことが出来たら、どんなにか有難いのだが。・・・」「光と風と夢」(中島敦)
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(1)紛々 (2)歩哨 (3)汲々 (4)屹度(急度) (5)豌豆 (6)抒情(叙情) (7)殷々 (8)偏頗 (9)殲滅 (10)敢然
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