9月は別れの季節
9月は開かれる新しい扉
節目のとき
スティーブン・キングは言った
「何にもまして大切なことは何にもまして言葉に出しにくいものだ」
本当にそうだ
親に感謝を言うのに早すぎるということはない
まだ生きているならば時間を作ってでも実家へ帰って感謝を伝えたい
「元気でやってますよ。ありがとうございます。」と
電話でもいいじゃないか
葉書だっていい
なかなか言えないよ
夜中酒も飲まずテレビもラジオもパソコンも消して耳鳴りがしそうなくらい静かな部屋で独り思う
父親と母親へ感謝の言葉をぼそっとつぶやいてみる
やっとここまでだ
何よりも大切なことってなかなか言葉にできないものだ・・・・・
七十とっくに過ぎている親父と話していても
すっかり小さくなった母親の背中を見ても
切なくなるのは終わりが見え隠れするからだ
涙が流れるときは後悔からなのかそれともやり切った充足感からなのか
終りはあっけなくやって来るよと行きつけの居酒屋の大将は言う
その時涙は出たのかよと聞いた
いや、もうバタバタでそんな暇なかったよ遺された方は忙しいんだ
そんなものか
人それぞれなのか
人は人生の予行演習のために映画を観たり本を読んだりすると言ったひとがいる
五十を過ぎると死を意識するとはこういうことなのだろうか
悲しさを紛らわすために酒を飲むのに泣きたくなるのはなぜなのか
ただ歳を取ったというだけのことなのか