読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

吉村昭 その1

2008年11月04日 20時26分46秒 | ■聴く
「吉村昭の歴史観」と題した講演会を聞きに行きました。まず,ご夫人である津村節子さんが登場し,夫君の吉村氏の思い出を30分位お話しされました。津村氏ご自身も作家として活躍してこられましたが,私は,その著書を読んだことがありません。
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津村節子URL => http://ja.wikipedia.org/wiki/津村節子
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雑誌などで津村氏の着物姿を見たことはありますが,実物は,色白で大変に品の良い方でした。語り口も非常に平易で,おごり高ぶりはまったく見られません。
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吉村昭URL => http://ja.wikipedia.org/wiki/吉村昭
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吉村氏が小説家として成功するまでに,ご夫婦には多くの苦労があったようです。そのため,婦人は周囲から離婚を勧められたそうですが,断ったとのこと。また,「吉村は大変に頑迷な性格」(津村氏の言葉です)だそうで,絶対に自説を曲げないので、夫婦喧嘩がエスカレートし,夫人は何度か実家に帰ったそうです。「私が実家に帰ると,毎回吉村が先に来て待っている。私はケチなので電車を使って帰るのだけれど,吉村はタクシーを使ったので私より早く実家に着いていたのです。」と語っていました。小説家である津村氏は,吉村氏の作品を一切読んだことがなかったそうです。しかし,吉村氏の没後,全国の様々な縁のある団体などから遺品の借り受けを申し込まれ,あるいは講演会に招かれたりするので,改めて吉村氏の著作を読んでいるのだそうです。
津村氏の話で一番感動したのは,吉村氏が作品を書く際の調査の仕方,考え方です。とにかく他人が書いたものを信用しなかった。特に学者の書いたものは信用しなかったそうです。なぜなら,学者は現場を見ないでも、文献を元に書けるからだ,とのことでした。また,通説も信じなかったそうです。自分で掘り起こした資料,あるいは現場を確認して作品を作り上げたそうです。その例をいくつか示されていましたが,どうしてそんなに詳しく調べる時間があったのか不思議です。しかし,吉村氏のファンとして,その作品の謎が一部解けたように感じました。

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