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夢枕獏昨、谷口ジロー画、集英社刊
夢枕獏さんの小説を漫画化した作品です。
原作を読んだ記憶がうっすらとありますが、定かではありません。
本作は、羽生丈二という男が、生い立に発する山への激情故に、周囲と軋轢を起こしながら、常に一番を目指し生きる姿と、山を中途半端に放り投げカメラマンとして渡世している深町が一瞬交わり、そこで深町が目撃し体験する物語です。
この二人に似ている人物は実在するでしょうが、作品中の羽生は特に強烈です。妥協を許さない孤高の生き様は、胸が苦しくなる程です。
また、生煮えのまま腐りそうになっている深町の姿は、誰もしもが持っている振り返りたくない一面を垣間見せます。
途中、読んでいて苦しく感じることが何度もありましたが、それは、二人の不器用とも思える生き様の一部が自分にもあると感じたからかもしれません。
その意味で、本作は、孤高の存在を描きながらも、普遍的なテーマを描いているのかもしれません。
漫画化に当たって、谷口さんは多くの調査を行ったことと思います。
文章で作品を描くのとは異なる取材や苦労があるのではないか。例えば、ヒマラヤの荘厳な姿など。
谷口さんの緻密で濃密な絵は、大変に説得力がありましたが、特に、この山々と主人公の表情の描写に魅力を感じました。
感動を呼ぶ素晴らしい作品でした。
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○夢枕獏 ○谷口ジロー ○神々の山嶺
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評価は5です。
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