いうまでもなく、イタリア語とオペラの相性は頗るよい。が、それだけに、粘着質な歌唱と旋律が少々耳につくところがあり、個人的には敬遠しがちだった。でも、イタリアンオペラも悪くない。この歌劇を聴いて思い出したのは、だいぶ前のハリウッド映画「アンタッチャブル」のなかで、本作が効果的に使われていたこと。デ・ニーロ扮するアル・カポネがカニオ(道化師)の嘆きにもらい泣きするシーン。あの場面でこのアリアの挿入、じつに巧いじゃないか、とわかったのは、最近ーこのお芝居を知ってからーのこと。ボチェッリのテナーは、なんだかそれだけでも泣かせるけどな。