管理人が年に2回、必ず行くのがミャンマー。まあ、科研費をいただいて、あちらこちら、あれやこれや、定点調査しているわけですが、今回はいつもやらない事をやってみました。
そこらへんの、ごくふつうの薬局に入って「カゼひいた。薬売って」と言って、何が出てくるか(買ってみる)。 多くの常連さんはお気づきのように、これは管理人のアイデアではなく、某有名な先生が出張されてはSNSほかで時折、投稿されていることのミャンマー版。というわけで、オリジナリティは何らありませんが、結果は・・・
こういう調査の意味?は、ひとつにはAMRがあります。発展途上国に行けば、抗菌薬を処方箋なしで(時には服用法の説明もなしに!)バンバン売ってしまうという現実が、AMR問題の火に油を注いでいます。カゼだと言ってる顧客に、説明もなく抗菌薬を売ってしまい、それを買った顧客は、これが何の薬かわからずに(カゼの薬くれと言ったのだから、カゼの薬を売ってくれたのだと何の疑いもなく信じ)、少し症状がよくなったら服薬をやめてとっておき、次に家族や友達の誰かが具合悪くなったら、残りを(純粋に親切心で)あげてしまうという現実。
さて、ヤンゴンのダウンタウンの薬局2店では・・・
1.最初の店では上記画像のワンセット。100円足らず。ミャンマー国産品。
説明はミャンマー語オンリーで、何が入っているのかわけがわかりません。服用法は、間違えないように朝夕と眠前がパッケージに記されています(ここはしっかりしてます。昼間にのむ錠剤と夜にのむ錠剤にわかれています。ミャンマー語ですが、薬局の人が英語で説明補足してくれたからOK)。表に唯一、商品名がアルファベットで記されていたのでこれをググってみたら、ミャンマーMIMSに記載が出てきました。COLDRID.
http://www.mims.com/myanmar/drug/info/coldrid
昼間の錠剤:
Paracetamol 500mg
Chlorpheniramine Maleate 2mg
Phenylephrine 5mg
夜の錠剤:
Paracetamol 500mg
Chlorpheniramine Maleate 4mg
Phenylephrine 5mg
つまり、AMR的にノープロブレム。 抗ヒスタミン薬の量を昼間と夜間で差をつけて眠気を調整するという、さらに3日間飲み切りパッケージを安価で供給するという、日本のotcカゼ薬よりきめ細かい(!)ことになっています。
どうやらこの薬、オリジナルはインドぽいです。
https://www.tabletwise.com/coldrid-tablet
この薬(専用)のPR用FBも。ミャンマーの国民薬って感じですね。
https://www.facebook.com/COLDRIDMYANMAR/
RDCL社 HP (本社はバハン、ヤンゴン大の近くにあるようです)
https://www.rdclcareforlife.com/?fbclid=IwAR3NPE7VcUzFVf_CUPCqGq5b3JmgpzYiLMxwJZmVBkhN908RbZKzNC9buc0
2.もう一軒。こちらはスーパーに併設のお店。
やはり、「カゼひいた。薬売って」で、出てきたのは、こちら。
こちらもAMR的にはノープロブレムです。中身はメジコン+抗ヒスタミン剤。
実質的に咳止めオンリー、インドネシア製輸入品なので価格もちょっぴり高く、頭痛や発熱には効かないから、ミャンマー庶民にとっては前述のColdridの方がが支持高いのではないかと推測。
結論:ミャンマーの薬局では、カゼに抗菌薬を出すことはなく、AMR的にはマトモであった。
Coldridという3日間で飲み切りの国民的?かぜ薬があり、安価できめ細かく(おそらく)AMR問題の防波堤にもなっているのかもしれない。(N=2ですが)
なお、ミャンマーの一般庶民向けの、現地人でごった返す病院に(医者であることはおくびにも出さず、一般庶民目線で)突撃受診してみたレポートを、ミャンマーブログの方にアップしています。あわせて御笑覧ください。
http://www.myanmarinfo.jp/?page=1552234803