産経新聞にコメントしました。
梅雨明けのタイミングで、デング・ジカ・チクングニヤ対策の蚊対策。管理人のほか、渡航医学会理事長や検疫現場の先生方コメントも加わり良記事に仕上がっています。
産経本紙のほか、sankeibizにも転載されています。
こうして日本社会全体に、蚊は単に不快なだけではなく、防がなければならないものだという観念が、具体的な知識をともなって根付いてゆけばと願っています。
sankeibizのURLは
http://www.sankeibiz.jp/econome/news/160716/ecb1607161708001-n3.htm
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(以下コピペ)
ジカ熱やデング熱…蚊が媒介する病気は様々 「刺されない」対策しっかりと
海や山など野外で活動することが増える夏は、蚊も活発に活動する時期。蚊は、ジカ熱やデング熱、日本脳炎などさまざまな病気を媒介する。これらの感染症が流行する地域へ渡航する人はもちろん、国内でも蚊に刺されないための対策をしっかりすることが大切だ。(平沢裕子)
東南アジアで流行
蚊が媒介する感染症には、ジカ熱▽デング熱▽ウエストナイル熱▽日本脳炎▽チクングニア熱▽マラリア▽黄熱-などがある。いずれもウイルスや原虫などの病原体を持った蚊に刺されることで感染、発症する。
ジカ熱は、五輪開催地のブラジルなど中南米で流行し、五輪への影響が懸念されているが、関西福祉大の勝田吉彰教授(渡航医学)は「タイやフィリピン、ベトナムなどアジアでも流行している。日本国内へは往来の多いアジアから持ち込まれる可能性が高い」と指摘。海外で感染し、帰国後に発症した海外感染者は7人確認されており、空港では中南米やアジア地域への渡航者に向け、ポスターや電子看板で注意を呼びかけている。
デング熱も、シンガポールやベトナム、タイなどアジアで患者が増加。今年は6月26日までの海外感染者が153人に上り、すでに昨年同時期(110人)を上回っている。
ジカ熱やデング熱は2~12日の潜伏期間を経て発症する。主な症状は、ジカ熱は、発疹▽結膜炎▽頭痛▽倦怠(けんたい)感▽発熱、デング熱は、突然の高熱▽頭痛▽関節痛-などだ。厚生労働省東京検疫所検疫衛生課の永井周子さんは「どちらも多くの場合、症状が軽く、1週間ほどで治る。全く症状の出ない人も半数以上いる」と指摘する。
ただし、デング熱はごく一部の人が重症化し、死亡することもある。また、ジカ熱は、感染した母親が小頭症の子供を産んだり、手足のまひを起こすギラン・バレー症候群を発症したりすることもある。小頭症リスクの高さから、厚労省は妊婦や妊娠予定の女性に対し、ジカ熱流行地への渡航を控えるよう勧めている。
ワクチン接種を
日本脳炎や黄熱は、発症すると死亡のリスクが高く、予防のためにワクチン接種が勧められる。
日本脳炎ワクチンは定期接種となっており、1期(生後6カ月~7歳5カ月)に3回、2期(9~12歳)に1回の計4回接種する。これとは別に、副反応報告を機に積極的な勧奨が差し控えられていた平成17年度から21年度にかけて、接種の機会を逃した20歳未満で21年10月1日までに生まれた人は「特例対象者」として未接種分を定期接種として受けられる。
黄熱は、南米やアフリカなど流行地への渡航者は入国前にワクチン接種が求められる。
性行為でも感染
蚊が媒介する感染症の予防は、蚊に刺されないことに尽きる。東京医科大病院渡航者医療センターの浜田篤郎教授は「ジカ熱やデング熱を媒介するネッタイシマカやヒトスジシマカは主に日中に刺す蚊。野外で活動することが多い日中の虫よけ対策をしっかりしてほしい」と注意を喚起する。
虫よけ対策には、長袖・長ズボン着用や虫よけ剤の使用が挙げられる。虫よけ剤は、「ディート」や「イカリジン」などの有効成分が含まれるものが勧められる。勝田教授は「最低でも2時間おきに塗り直して」と話す。日焼け止めを使う場合は、日焼け止めを塗った後に虫よけ剤を使う。
海外の流行地域から帰国した人は、国内での感染を防ぐため、症状の有無にかかわらず、2週間は蚊に刺されないようにする。
また、ジカ熱は性行為でも感染する。国立感染症研究所は、流行地に滞在中はもちろん、帰国後も8週間は性交渉を控えるかコンドームを使うよう呼びかけている。
■高濃度の虫よけ剤を迅速承認へ
虫よけ剤は有効成分の濃度が高い方が長持ちする。しかし、現在、日本で販売されている商品は、ディート濃度が12%以下、イカリジンは5%以下。このため、厚生労働省は6月、ディートは30%、イカリジンは15%の濃度の製品が申請された場合、迅速に審査を行い、承認すると発表。これを受け、アース製薬やフマキラーはディート30%の製品を申請中。不備がなければ、同省は9月30日までに承認するとしている。