東京はまたまた緊急事態宣言となった。ここ一年を振り変えると緊急事態の方がはるかに長いのではないか? もはや緊急事態が常態となりつつある。驚くのは、そのコロナ禍の中でオリンピックを開こうというのだ。しかも無観客というこれまた異常な状態でその矛盾を取り繕おうとしている!
何故そうまでしてオリンピックを開催しなければならないのか? 開催準備のために来日したIOCのバッハ会長は、無観客開催の報を受けて、その方向を快諾したという。彼らにとって無観客だろうが何であろうが開催してくれればいいのだ。その裏にある放映権料など莫大な収入の道さえ閉ざされなければ、開催国民の生命が危険にさらされようと、何十年ぶりの自国開催の祭典を観戦する喜びが奪われようと、そんなことはどうでもいいのかもしれない。加えて彼らと思いを同じくする日本政府や東京都知事など開催関係者の思いがその裏にあるのだろう。
その中で日本政府と開催都市(東京)関係者は、国民の命を守る緊急事態宣言と、感染拡大の道を残す世界的人流をまねくオリンピック開催という解決しがたい矛盾を犯した。この最初のボタンの掛け違いを犯した以上、今後さまざまな策を打ってくるのであろうが、最早事態を取り繕う術はなかろう。
菅総理の記者会見には、オリンピックという世界の祭典をやろうという覇気のかけらも感じられなかった。薄暗い、逃げの姿勢さえ感じられた。そうまでしてなぜやるのか? 掛け違ったボタンのまま進むしかないのであろうか?