今日は24節気の大雪、いよいよ雪が本格的に降り始める季節である。東京に住んでいる限りでは雪の気配はないが、天気予報を見ていると日本海側から北海道にかけては、雪のマークを見ることが多くなった。
今月23日は冬至を迎え、東京でも冬本番ということになる。Wikipediaによれば「鰰(ハタハタ)などの冬の魚の漁が盛んになり、熊が冬眠に入り、南天の実が赤く色付くころ」とある。南天の実が赤く色付くころとは知らなかったが、熊などがそろそろ冬眠に入る頃だろうとは思っていた。
それよりも、秋田に関わってきたことから、ハタハタ漁が最盛期を迎えることには毎年強い関心を持ってきた。ハタハタは、今月の上旬から中旬にかけての何時か、一挙に秋田の海岸に押し寄せるのである。この魚は、昼は海底の砂に隠れており夜行動する魚であり、産卵のため秋田の海岸に押し寄せるのも夜である。第一波は10時ごろから深夜の2時ごろにかけて、第二波は明け方に押し寄せ、猟師たちはその一瞬に“一年の漁”を賭けるのだ。
今年は何日に来るのだろうか? 猟師たちは予報を交わしながら“その時”の準備に備えていることであろう。
このハタハタを長期間(数ヶ月以上)塩を加えて漬け込み、搾り出した汁、つまり魚醤(ぎょしょう)が「しょっつる」(塩汁がなまったもの)である。(近時はかならずしもハタハタでなく、様々な小魚を使うようだが) そのしょっつるをだしに、ハタハタやタラや豆腐、野菜類などを煮込んだ料理が「しょっつる鍋」で、冬料理の華といえる。
魚醤と言えば、能登の「いしる」(魚汁がなまったもの)も有名だ。こちらは、イカのはらわたを漬け込んで作る。先日、大塚の居酒屋『串駒』で、仲間数人と「いしリ鍋」をつついたが、この時節の食べものにピッたしだった。
酒は、山口県は萩の名酒「東洋美人」純米吟醸や、伏見の松本酒造の特別純米「まつもと」などを飲んだ。「東洋美人」は素敵なラベルと柔らかい香りと味で人気があったし、「まつもと」は伏見伝来のしっかりした造りで、魚醤「いしり」の特殊な匂いに負けることなく鍋の味を引き立てた。
酒も食も、日本伝来の味に勝るものは無い。
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