楽しみにしていたフルネット社の『地酒人気銘柄ランキング』を手にした。これは同社が2年毎に発行する本で、日本酒を、純米大吟醸酒、大吟醸酒、純米吟醸酒、吟醸酒、純米酒、本醸造酒の6部門に分け、それぞれにつき、厳選された全国100店の名酒居酒屋が投票により選んだ酒を順位付けたものである。
一部の人によるテイスティングなどにより選ばれたものでなく、全国各地で毎日日本酒を提供している飲み屋さんが選んだものだけに、現場でどのような酒が飲まれているか、つまり現時点の日本人がどのような酒を好んでいるかを示すものとして、極めて貴重なデータであると思っている。
冒頭の「発刊にあたって」によると、前掲の6部門にわたり「408銘柄、1,008商品を掲載していますが、前回登場した318商品が姿を消し、新しく505商品が登場していることからも、その競争の激しさを知ることが出来ます。」とあるので、日本酒の総消費量は減少傾向を続けているが、残った中では(平成19年度で369万石――ピーク時の4割弱)厳しい質の競争が行われていると言えるのであろう。
ところが、そのような厳しい競争の中にあって、上位を占める銘柄がほとんど変わってないということに驚いた。例えば、部門別第一位の銘柄を2年前と比較してみると、純米大吟醸部門が「久保田万寿」から「十四代愛山」(前回3位)に代わっているが、大吟醸は「黒龍しずく」、純米吟醸は「〆張鶴純」、吟醸酒は「十四代吟撰」、純米酒「田酒特別純米」、本醸造「十四代本丸」が前回に続きトップの座を維持している。
これらの酒は不動の地位を築きつつあるのであろうか?
中でも「十四代」の人気はすごい。いや、それは単なる人気ではなくて、質において勝るものを持っているのであろう。因みに「十四代」は、大吟醸で3位、純米吟醸で2位、純米酒で3位と、全て3位以内に顔を出している。
酒の戦後史を見るとき、第一次地酒ブームを先導したのが「越乃寒梅」であるならば、もう一段日本酒の質を高めた第二次日本酒革命を先導したのは「十四代」だと私は思っている。
その値打ちが、いよいよ不動の地位を築こうとしているのかもしれない。
いずれにせよ、このフルネットさんの労作を頼りに、美味しい日本酒を飲み続けて行きたいと思っている。フルネットさん有難う。
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