旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

春一番が吹き抜けた臼杵を歩く

2009-02-14 20:55:40 | 

 一年ぶりに臼杵に帰った。全国的な傾向であったようだが想像を超えた暖かさで、南国に来た思いであった。
 子供の頃から親しんだ故郷の町は今も変わらず、打ち続く瓦屋根と白壁、武家屋敷の連なる間を石畳のせまい道が続き、そこを春一番が吹き抜けた(2月13日)。

 臼杵は今「紙雛(かみびな)まつり」の最中であった。これは今回はじめて見た。聞けば、稲葉藩時代のしきたりを3年ぐらい前から復活させたものらしい。稲葉藩は5万石の小藩、藩財政の苦しいときが続き、時の家老が豪華な雛を飾ることを禁じ「紙ひな」だけを許したという。
 民は和紙を使い知恵を絞って雛を作り、貧しい中にも春の祭りを楽しんできたのであろう。ところがそのような伝統行事もやがて忘れ去られ、長く姿を消してきた。私の子供時代にも紙雛の記憶は無い。
 それを、心ある人たちが古文書から探し出して市民の中に広げ、いまや春の行事になってきたようだ。集会所や旧家を訪ねると、おびただしい数の紙雛が飾られて目を見張るばかりであった。
 臼杵の町にふさわしい行事と思った。子供たちに広がっていけば、また一つ伝統行事が蘇ることになるだろう。
                              


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