8月10日(水)。二階堂 覚園寺の黒地蔵盆に行ってきました。黒地蔵盆は午前零時から午後12時まで行われる行事で、先祖の回向と無尽御利益を得るために多くの人が覚園寺を訪れます。特に新盆を迎える家族の方にはご利益があると言われます。仏教の世界では死んだ人は地獄で審判を受けますが、生きている人が回向することで、地獄の苦しみを和らげられると信じられてきました。覚園寺の黒地蔵は地獄の業火のなかで、煤だらけになりながらも救いの手を差しのべる有難い地蔵菩薩です。現世の人が亡くなった人の苦しみを和らげるために祈るこの日本らしい行事をいつまでも続けたいものです。最近、悲惨な事件がニュースで報じられますが、子供のころから地獄の世界観(罪への懼れ)を潜在意識のなかに刷り込んでおくことのほうが、学校で教える道徳の授業よりよほど効果があると思いますが、いかがでしょうか。
さて覚園寺ですが、1218年に北条義時がこの地に大倉薬師堂を建立。その後 9代執権 北条貞時が1296年に二度と元寇が起こらぬことを祈り、心慧を開山にして覚園寺を建立しました。境内の薬師堂には薬師三尊像、十二神将像、理智光寺からの客仏 阿弥陀如来像、足利尊氏が納めた天井の棟札。地蔵堂の黒地蔵、愛染堂にある大楽寺の客仏 愛染明王、院興のつくった阿閦如来像、願行上人の「試み不動」といわれる鉄の不動明王など、それらの仏像を納めた人の願いを思うと思わず手を合わせ頭を垂れます。
普段はお寺の方の案内で決まった時間しか拝観できませんが、黒地蔵盆の時は自由に仏像を拝めます。興味ある方は来年のこの日訪ねてみてください。無尽蔵の御利益をいただけるかもしれません。