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世界の人権・紛争・平和

ヒューマン・ライツ・ウォッチ ワールドレポート2014 中国

中国

中国国内の急激な社会経済的変化は、基本的権利への制約の一部緩和を伴ったが、政府は一党独裁国家を維持、表現・結社・集会・宗教を恣意的に抑圧し、独立した労働組合や人権保護団体を禁止し、全司法制度への共産党支配を維持している。

政府は、報道・インターネット・出版・学術研究を検閲し、「社会の安定」の維持に必要であるとして、人権侵害を正当化すると共に、非自主的な住民移住と再定住を大規模に実行、チベット・新疆(シンチアン)・内モンゴルの少数派民族地域で極めて弾圧的な政策を行っている。小学校の在籍者数や基本的識字率は高いが、中国の教育制度は障害を持つ子どもや若者を差別している。政府は、国内の人権状況に関する国内外の調査を、国の不安定化を図る試みとして妨害する。

しかし同時に市民は、土地収用・強制立ち退き・環境悪化・誤審・汚職共産党幹部による権力乱用・差別・経済的不平等など、生活関連の火種となり易い問題に関し、当局に異議申し立てする準備を急速に整えつつある。法執行部門の報告を基礎にした公式かつ学問的な統計は、数十人から数千人の参加者を伴う抗議運動が、毎日300から500起きているのを示している。様々な危険があるにも拘らず、インターネットユーザーや改革志向のメディアは、法の支配や透明性確保の促進・当局者の不正行為暴露・政治改革要求を通し、検閲に対抗する新たな境地を積極的に開いている。

市民社会団体とアドボケーターは、危うい立場にあるにも拘らず、徐々に活動を広げ続け、活動家の非公式ながら活気あるネットワークが、ゆるやかな「維権(ウエイチュイアン)」運動として、人権問題を監視・取りまとめている。それらの活動家は、警察による監視・拘留・逮捕・強制失踪・拷問を堪え忍んでいる現状だ。

習近平(シー・ジンピン)政権は3月、正式に権力を掌握、「労働教養(以下RTL)」として知られる恣意的拘留の廃止を含む、長期間続けてきた政策の一部改革と、世帯登録制度の変更を提示すると共に、主に政治的ライバルを狙った、注目度の高い汚職捜査を行った。しかし一方で保守的な語調も強め、立憲支配・自由・「西洋的」法の支配に反対すると共に、活動家やインターネット上の批判者の刑事訴追を容易にする2本の法律文書を発布して反対意見により厳しい制約を加えた。

かつて政界の寵児だった薄熙来(ボーシーライ)は9月、市民の注目を浴びたものの公正裁判の基準は満たさず、しかも重慶市施政時代に彼が広く行った権力乱用には対処しない見せしめ裁判の後に、終身刑を言い渡された。

人権擁護者

中国の人権活動家は多くの場合、投獄・拘留・拷問・精神医療施設への収容・自宅軟禁・脅迫に遭う。

それらの人々に2013年、近年で最も激しい弾圧が行われ、2月から10月の間に50人以上の活動家が刑事容疑で拘束された。人権擁護者は、市民による集団行為を主催・参加したために、「騒乱を引き起こした」から「国家転覆扇動」までにわたる、曖昧な定義の犯罪容疑で拘束される。当局は7月、公務員の資産公開を求める全国キャンペーンなどに取り組む、市民的権利活動家の緩やかなネットワーク、「新公民運動」の知的指導者と見なされている、許志永(シュイ・ジーヨーン)を拘束した。

曹順利(ツァオ・シュンリー)は9月、国連人権理事会(以下HRC)による10月22日の中国審査に先立ち、ジュネーブ行の飛行機搭乗を止められた後、拘束された。ツァオは、「普遍的定期審査(以下UPR)」と呼ばれる制度の下、HRCに提出する政府報告書の作成に、独立的な市民社会団体を入れるよう、中国政府に働きかけたことで知られていた。もう一人の活動家、彭兰岚(プオン・ランラン)は、キャンペーンで果たしていた役割を「公務執行妨害」罪に問われ、1年服役した後に釈放された。

ノーベル平和賞受賞者、劉暁波(リウ・シヤオボー)は遼寧省北部の刑務所で服役を続け、妻の劉霞(リウ・シア)も違法な自宅軟禁に置かれている。劉暁波の義理の兄弟、劉暉(リウ・ホゥイ)が8月、詐欺容疑で懲役11年を言い渡されたが、それは劉暁波の家族を罰する、広範な弾圧の一環と考えられている。

法律改革

政府は司法の独立を認めず、独立的な弁護士会を禁じているが、進歩的な弁護士と法律学者は、依然として変革に向けた力であり、市民による法律への関心と法律行為の増大に寄与している。

中国共産党はあらゆる司法制度・機関に関して支配権を維持すると共に、政治と法律を司る委員会を通じて司法活動を調整している。公安部や警察は刑事司法で、最も強力な役割を果たし続けている。拷問下での自白の強制が横行しており、法廷が脆弱であり被告の権利が厳しく制約されているため、誤審が頻繁に起こる。

政府は11月、警察が裁判なしで5年まで人々を拘束できる、恣意的拘留制度「労働教養(以下RTL)」を廃止する意向を表明した。約350ある労働教養所に今年初頭、約16万人が収容されていたが、警察がRTL送りを停止、その数は急速に減少した。しかしながら国営通信社は、RTL施設の一部を、行政拘禁の一形態である、薬物使用者の社会復帰施設に変更していると報じた。この報告書の執筆時点で、軽犯罪者処理の1形態である行政拘禁を、完全廃止する意向なのか、あるいは裁判なしで拘束を続けられる、代替制度を設立するのかについては不明だ。

中国は依然として世界最多の死刑執行国だ。正確な数字はいまだ国家機密だが、専門家は、10年前に1年約10,000だった数から近年は1年4,000未満に、着実に減少したと推計している。

表現の自由

表現の自由に関しては2013年中、特に政府がマイクロブログを抑制すべく組織的な取組を始めた後に悪化した。政府と中国共産党は、あらゆるメディアと出版に関して、何重もの規制措置を維持している。

インターネット検閲はオンライン討論を方向づけると共に、『グレート・ファイアウォール(政府が設置するインターネットの点検および検閲システムで、中国外のインターネットへのアクセス制限をする、オンライン上の「万里の長城」)』を維持している。それらの制約はあるが、インターネット、とりわけ「ウエイボー」として知られるマイクロブログ・サービス他のソーシャルメディアツールは、中国5億3,800人のインターネットユーザーが、不平不満に接続あるいは不平不満を発信できる、比較的自由な空間として人気だ。しかし慎重に扱うべきタブーを犯した者は、多くの場合速やかに特定され、その言論は削除され、あるいは存在を認められず、一部は拘留や投獄される。

広東州広州市を本拠にする週刊新聞で、際どい調査報道で知られる「南方週末」は1月、新年号の特別社説が検閲命令で書き換えられ、編集者の同意なく発行されたことに、同紙編集者たちが気づいた後、検閲をめぐる騒動に巻き込まれた。当初の社説は政治改革と憲法で保証された権利の尊重を求めていたが、出版されたのは中国共産党を称賛する内容だったのだ。新聞社職員は公然と州検閲担当者トップを批判し、辞職を求めてストライキに突入、1週間後に発行を再開した。

複数のメディアによれば、中国共産党中央委員会の中央弁公庁が5月、「普遍的価値」と中国共産党の過去における過ちを含む、「7つのタブー」についての議論を控えるよう、各大学に支持する「かん口令」を出したそうだ。

当局は8月以降、影響力の強いオンライン上のオピニオンリーダーや、一般のインターネット市民を狙った、「オンライン上の噂」取締キャンペーンを行った。数日間でインターネットユーザー数百人が逮捕され、市民ジャーナリストの運営する「違法」ニュースウェブサイト100以上が閉鎖され、有名なリベラル派コメンテーター、チャールズ・薛(シュエ)は拘束された。

インターネット関連事項を担当する政府当局者は同じく8月、インターネットユーザーに中国の「社会主義体制」・同国の「国益」・「社会的秩序」を含む、「7つの最重要事項」を踏み越えないよう警告した。最高人民法院と最高人民検察院(国検察官)が9月、インターネット上の表現に現行の4刑事規定を適用する新たな司法解釈を出し、インターネットユーザーを起訴するためのより明確な法的根拠を提供した。

宗教の自由

宗教の自由は憲法で保証されているのにも拘わらず、政府は宗教行為を、正式承認した5宗教団体によって運営される、モスク・教会・寺院・仏僧院・修道院に制限すると共に、宗教団体の活動・雇用詳細・財務内容を監査し、宗教団体職員の人事・宗教出版物の発行・神学校への出願の許認可権を支配し続けている。

プロテスタント系「家庭教会」のような未登録宗教団体は、非合法と見なされ、強制捜査と閉鎖命令に遭い、メンバーは嫌がらせを受け、指導者は拘束、時に投獄される。

瞑想を中心とした宗教団体で1999年7月以降非合法とされている法輪功(ファールンゴン)を、政府は「邪教」に分類、そのメンバーは逮捕・嫌がらせ・脅迫に遭っている。法輪功の信徒が拘束・拷問されている強制労働収容所についての新たなドキュメンタリーを公表した後の5月、映画監督で写真家の杜斌(ドゥ・ビン)は逮捕された。彼は5週間拘留された後釈放されている。

河南省の裁判所は4月、「法執行を損なうためにカルトを利用した」容疑で家庭教会の指導者7人に、3年から7年の懲役刑を科した。しかし証拠は、彼らが会合に出席し、教会活動を宣伝したに過ぎないことを示していた。

医療・保健を受ける権利と障害者の権利

政府は、重大な環境汚染やそれに関連した市民の健康への脅威を緩和すべく、多くの法律・規則・行動計画を作成したが、それらの政策の多くは実行されなかった。

1人の弁護士が2月、土壌汚染データを明らかにするよう、政府情報公開法に基づいて請求したが却下された。当局によれば、そのようなデータは「国家秘密」だそうである。中国環境保護部は同じく2月、異常なガン発生率である通称「ガン村」の存在を、長年否定した後にやっと認めた。被害者は法の裁きと賠償を長期にわたり強く求め、国内メディアはその問題に関して大々的に報道していた。

障害者権利条約(以下CRPD)に基づき2012年に再検討したにも拘わらず、障害者の権利保護は依然として不適切だ。障害者は雇用や教育において、著しい差別を受け、政府政策の一部は差別を制度化している。

国務院法制弁公室は2月、1994年に成立した中国障害者教育規則を改正すると表明した。それ自体は評価されるが、改正は障害を持つ生徒が普通学校に就学できることを保証しておらず、あるいは障害者が完全に就学できるようする、教室の十分な改良(「順応」)を義務付けてもいない。

中国は5月、初の精神保健法を施行、重大な法の隙間を埋めたが、政府当局と家族が人々を、自らの意思に反して精神病院に拘束できるようにする、抜け穴を塞いではいない。その法律が施行された後の7月、辜湘紅(グゥ・シアーンホーン)は不平不満について当局に陳情したため、北京市の精神病院に5週間拘留された。

女性の権利

女性の「性と生殖」についての権利及び医療・保健へのアクセスは、中国の家族計画規制の下で大きく切り縮められたままだ。政府は11月、夫婦の何れかが1人っ子の場合、2人目の子どもを持つことを認めると表明した。しかしそれは「性と生殖」を支配するために、行政処分・罰金・強制中絶など、法律その他強制的手法を行使することを含む、中国政府による義務的家族計画政策の根本を変えるものではない。

性労働への政府による懲罰的取締りは多くの場合、殆どが女性である同国に400万から1,000万人存在すると推計される性労働者にとって、身体的・性的暴力を含む重大な人権侵害をもたらし、疾病の危険を増大し、司法へのアクセスを抑制している。性労働者は、強制HIV検査・プラバシー侵害・虐待のような、公衆衛生当局による人権侵害も報告している。

最高人民法院は1月、自らに身体的虐待を加えていた夫を殺害し、有罪判決を下されていた李彦(リー・イエン)への死刑判決を支持した。家庭内暴力は法廷で、情状酌量の要素として扱われなかった。

中国で最も著名な性労働者の権利保護活動家、叶海燕(イエ・ハイイエン)が5月、地方の売春宿の人権侵害的な環境を暴露し、広西チワン族自治区の自宅を襲撃された数日後に、警察に拘束された。

女性への家庭内暴力、就職差別、性差(ジェンダー)に関し偏見が横行しているのを政府は認めているが、それらの問題に関して取組む独立的な女性団体の活動を、団体登録の妨害、活動の監視、スタッフへの訊問、活動一部禁止などで制約している。

移民と労働者の権利

独立した労働組合は禁止されているために、中華全国総工会(以下ACFTU)が中国労働者の唯一の合法的代表である事態が続いている。

そのような制約があるにも拘らず労働者は中国全域で、より良い労働条件を求め、抗議運動やストライキを行うなど、増々積極的にハッキリと意見を申し立てるようになってきた。広東省深圳(シンセン)の港湾労働者は9月に賃金アップとよりよい労働条件を求めてストライキに突入した。その10日後に、労働者たちは一部の要求を満たした政府による調停条件を受諾した。

国が運営する中国全国女性連盟は5月、都市部で両親と生活する者と地方部に「残された」者を含む、出稼ぎ労働者の子どもの数が、2010年までで1億人に達したという事実を明らかする報告書を公表した。出稼ぎ労働者は、教育のような社会サービスを受けるために必要とされている、都市部での居住許可を依然として受けられない。そのような労働者の多くは出稼ぎに出かける時、学校に通えるよう子どもを自宅に残すのだが、それで子どもの一部が虐待を受け易くなっている。

中国は職場を安全に保つ多くの法規が備えているが、その執行は特に地方部で緩い。例えば吉林省の養鶏場で6月に火事が起き、労働者121人が死亡した。その後の捜査で、その養鶏場が多くの基準を満たしていなかったにも拘らず、地元の消防署が火事の数日前に、安全証明書を出していたことが判明した。

 

性的指向と性自認(ジェンダーアイデンティティ)

中国政府は2001年まで、同性愛を精神疾患に分類していた。中国には性的指向や性自認(ジェンダーアイデンティティ)に基づく差別が、特に職場では一般的に残っている。しかしそれらの差別から、人々を守る法律は現在もない。

同性のパートナーシップや同性婚は、中国の法律の下で認められていない。レズビアンのカップルが2月、北京で婚姻登録所に登録しようとしたが、申請は却下された。

湖南省長沙市の当局は5月17日、国際反ホモフォビアの日に、地元ゲイプライド・パレード主催者シアーン・シャオハンを逮捕、「違法行進」主催容疑で12日間拘留した。中国では、デモ行進に先立ち許可を受ける必要があり、しかも滅多に許可されない。

チベット

中国政府は、チベットでの政治的・文化的・宗教的・社会的経済的な権利を、「分離独立を求める心情」と戦うという名目で、組織的に弾圧している。弾圧の対象には、「チベット独立」、「ダライ・ラマの帰国」、「政府の政策に反対」を非暴力で主張することを含んでいる。この報告書の執筆時点で、中国の政策に反対する抗議でのチベット人による焼身自殺が、2009年2月に初めて記録されて以降、123件発生している。

恣意的な逮捕と投獄が一般的に行われ、拘留中の拷問と虐待もまん延している。公正裁判は、分離独立の弾圧を公の任務とする政治色の強い司法で不可能だ。

警察は未承認の集会は如何なるものでも、組織的に弾圧する。警察は7月6日、タウ県ニンツォでダライ・ラマの誕生日を祝うため、田園地方で集まった人々に発砲、2人が即死し数人が負傷した。政府はその事件のニュースを検閲した。

2008年に起きた民衆抗議の再発を防ぐための取組として、政府は抗議運動に残虐な弾圧を加えた際、導入した措置の多くを2013年も維持した。武装警察部隊の大量駐留、チベット高原内でのチベット人の移動に対する厳しい制約、仏僧院管理の強化、政府主催の旅行以外でのチベット自治区(以下TAR)への外国人ジャーナリスト立ち入り禁止などだ。政府はまた、全ての村を含むTAR内に、全住民の政治的見解を監視するため、2万人の新たな政府職員と共産党幹部を常駐させる計画実行に向け、重要な措置を講じた。

政府はまた、集団で新しい家を与え・移住させる政策を、チベット人数百万人に押し付けている。その政策はチベット人の生活様式や生計を根本的に変え、一部を貧困化させ、あるいは国の保護に依存させ、しかもチベット人に発言権を認めない。2006年以降、チベット人の農民と遊牧民200万以上がTAR内で、非自主的にー政府が指示した改築や新家屋建設を通しー「新しい家を与えられ」、チベット高原東部の遊牧民数十万が「新社会主義村」に、移住あるいは定住させられた。

新疆(シンチアン)

「分離独立主義・宗教的過激主義・テロリズム」との戦いの名の下に政府によって正当化された、まん延する民族差別、厳しい宗教的制約、強化された文化的弾圧は、新疆(シンチアン)ウイグル自治区で高まる緊張を煽り続けている。

2013年中に100人以上のウイグル族、ハン族、その他の民族が、同自治区全域で起きた様々な事件で殺害され、犠牲者数は2009年のウルムチ抗議行動以降最多となった。一部事件における多数の犠牲者は、4月23日にバチュ県、6月26日にトルファン県で起きたように武装襲撃を準備中のグループに、軍事スタイルの襲撃を掛けた結果のようだが、他の事件は、治安部隊が非武装の抗議行動参加者に、致死力を伴う強制力を行使した結果であると思われる。

ホータン県で警察は6月、イスラム寺院の恣意的閉鎖に抗議するためホータン県庁舎に向かってデモ隊の行進を妨げようとして、最終的に群衆に発砲、数十人を負傷させた。 アクス県で警察部隊が8月、宗教上のお祭りを祝うべく近くのイスラム寺院に近づいていた村民を妨げ、結果的に実弾を使用、村民多数を負傷させた。両事件が報道された後、政府は決まりきったように、「分離独立主義者、宗教過激主義者、テロリスト勢力」を激しく非難、独立した捜査を妨げた。

分離独立主義者と見なされた人々に対する恣意的逮捕、拷問、「失踪」はまん延していて、住民に明らかな恐怖を植え付けている。北京中央民族大学の教授イリハム・トフティは7月、政府に公開書簡を送付、彼が取りまとめた失踪事件34件に対する捜査を求めた。トフティーは何度も自宅軟禁に置かれ、海外渡航を妨げられた。

政府は、2010年に開始した総合開発政策の一環としての定住計画で、ウイグル人の伝統的住宅地を破壊し、家族に新しい家を与え続けている。政府はその政策を、新疆(シンチアン)の都市化と開発を目的としている、と述べている。

香港

香港が独立した司法、自由な報道機関、積極的に意見を述べる市民社会を享受し続けているのは事実であるが、報道と集会の自由は1997年に中国統治下に復帰して以降、次第に危機にさらされるようになった。香港行政長官の選挙が2017年に始まるという見通しは、北京政府が、「中央政府に反対」しない者だけが立候補できることを示唆した後、真の競争が行われるという観点では不透明となった。

香港では近年、法の支配が徐々に崩壊してきており、それは集会と行進への警察による規制が増々強まっていること、入境事務処が法輪功(ファールンゴン)メンバーや1989年の民主化運動で亡命した反体制派など、中国政府に批判的な個人の入国を恣意的に禁じていることで裏付けられている。

Chinese Foreign Policy

中国の外交政策

Despite China’s continued rise as a global power and its 2013 leadership transition, including the appointment of a new foreign minister, long-established foreign policy views and practices remained relatively unchanged. 

中国はグローバルパワーとして影響力を強め続け、2013年には新外相の指名を含む指導部交代があったが、長年にわたり確立されてきた外交政策上の見解や手法は、比較的に変化はなかった。

China has become more engaged with various United Nations mechanisms but has not significantly improved its compliance with international human rights standards or pushed for improved human rights protections in other countries. In a notable exception, shortly after it was elected to the UN Human Rights Council in November, China publicly urged Sri Lanka “to make efforts to protect and promote human rights.” 

中国は以前よりも国連機関に携わるようになったが、国際的人権基準への順守状況の大幅改善はなく、他の国々に人権保護改善を働きかけることもなかった。評価されるべき例外としては、11月に国連人権理事会に選出された直後に、スリランカに対して、「人権を保護・促進するよう努力する」のを、公式に強く求めたことが挙げられる。

Even in the face of the rapidly growing death toll in Syria and evidence in August 2013 that the Syrian government used chemical weapons against civilians, Beijing has continued to object to any significant Security Council measures to increase pressure on the Assad regime and abusive rebel groups. It has opposed referral of the situation to the International Criminal Court (ICC) and an arms embargo against forces that commit widespread human rights or laws of war violations. China has also slowed down Security Council-driven efforts to deliver desperately needed humanitarian assistance across the border to rebel controlled areas in northern Syria.

シリアでの死者数が急増し、2013年8月にシリア政府が一般市民に化学兵器を使用した証拠に直面した際でも、中国政府は、アサド政権と人権侵害を行っている反乱グループに圧力を強める、国連安全保障理事会による措置に、異議を唱え続けた。シリアの事態を国際刑事裁判所(ICC)に付託することにも、人権法や戦争法への違反を広く行う部隊への武器禁輸措置にも反対した。更にシリア北部の反乱軍支配下地域に、どうしても必要とされる人道支援を国境越えで配布しようとする、安全保障理事会によって動かされた取組を遅れさせた。

In a minor change of tactics, if not of longer-term strategy, Chinese authorities have become modestly more vocal in their public and private criticisms of North Korea, particularly following actions by Pyongyang that increased tensions between members of the six-party talks aimed at addressing security concerns posed by North Korea’s nuclear weapons program.

長期的戦略ではないにしても、微小な戦術変化はあり、その中で中国当局は北朝鮮への批判を公式・非公式にややハッキリと言うようになった。北朝鮮の核兵器計画がもたらした、安全保障上の懸念に対処することを目的とした、6ヶ国協議のメンバー国の緊張を、北朝鮮政府が高める行動を取った後に、その傾向は顕著になっている。

Both private and state-owned Chinese firms continue to be a leading source of foreign direct investment, particularly in developing countries, but in some cases have been unwilling or unable to comply with international labor standards.

中国企業は民間であれ国営であれ、依然として対外直接投資(特に発展途上国向け)の主な資金源だが、一部には国際的な労働基準に従う意思のない、あるいは従えないケースもあった。

Key International Actors

国際的な役割を担う国及び機関

Most governments that have bilateral human rights dialogues with the Chinese government, including the United States, European Union, and Australia, held at least one round of those dialogues in 2013; most acknowledge they are of limited utility for promoting meaningful change inside China. 

中国政府と人権に関して2国間協議を行った殆どの政府は、米国や欧州連合・オーストラリアを含め、2013年中にそれらの対話を少なくとも1回は行い、その殆どが、中国国内の意味ある変化促進には、限られた効果しかなかったことを認めている。

Several of these governments publicly expressed concern about individual cases, such as those of Xu Zhiyong or Liu Hui, or about trends such as restrictions on anti-corruption activists.  Ambassadors from the US and Australia, as well as the EU’s special representative for human tights, were allowed to visit the TAR or other Tibetan areas.

それらの政府の一部は、許志永(シュイ・ジーヨーン)や劉暉(リウ・ホゥイ)のような個々の事件について、あるいは反汚職活動家を制約するような傾向について、公式に懸念を表明した。駐中国の米国とオーストラリアの大使、更にEU人権問題特別代表はTARその他のチベット族地域の視察を認められた。

None of these governments commented on the denial of Chinese people’s political rights to choose their leaders during the 2012-2013 leadership transition, and few successfully integrated human rights concerns into meetings with senior Chinese officials.

しかしそれら政府の何れも、2012年から2013年にかけた指導部交代の際、指導者選出という中国国民の政治的権利の否定に関しては、コメントせず、中国高官との会談に人権問題に関する懸念を、首尾よく盛り込めたことも殆どなかった。

China participated in a review of its compliance with the Convention on the Rights of Persons with Disabilities by the international treaty body charged with monitoring implementation of the convention and a review of its overall human rights record at the UN Human Rights Council, but it failed to provide basic information or provided deeply misleading information on torture, arbitrary detention, and restrictions on freedom of expression. There are eight outstanding requests to visit China by UN special rapporteurs, and UN agencies operating inside China remain tightly restricted, their activities closely monitored by the authorities.

中国は、障害者権利条約の実施状況を監視する任を負う国際条約上の機関による、同条約の順守状況審査、及び国連人権理事会での総合的人権状況審査を受けた。しかし基本的情報を提供せず、あるいは拷問・恣意的拘留・表現の自由に関する制約について、大きな誤解を与える情報を提供した。国連特別報告者による中国視察要請が決着を見ないまま8本残り、中国国内で活動中の国連諸機関は厳しく制約され、その活動は中国当局によって厳密に監視された。

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