本書には昭和5年から22年までに発表された11編の作品が掲載されている。例に洩れず「こっけい物」とお人よしの頑固老人が登場する作品も収められている。本題になっている「夜明けの辻」で出てくるこのフレーズがなんとも云えない。"「最後」という意味は「終わり」ではない。新しい出発のための、旧いものと決別するための「最後」である。" 丁度ある会で挨拶を頼まれていたので、引用させてもらった。心に響く前向きな言葉だ。