本日はリー・モーガンの「シティ・ライツ」をご紹介します。先日サヴォイ盤「イントロデューシング・リー・モーガン」を取り上げましたが、1956年11月に18歳で鮮烈なデビューを飾ったモーガンはブルーノートから怒涛の勢いでアルバムを発表していきます。翌12月には「リー・モーガン・セクステット」、1957年3月に「リー・モーガンVol.3」、その後ジョニー・グリフィンの「ア・ブローイング・セッション」や前回ブログの「クリフ・ジョーダン」への参加を経て、本作を吹き込んだのが1957年8月。モーガンはまだ19歳になったばかりでしたが、既に風格さえ感じられます。
本作はベニー・ゴルソンをアレンジャーとして迎えた3管編成によるセクステット。ただし、ゴルソンは演奏には参加せず、サックスにはジョージ・コールマンが名を連ねています。その他のメンバーはカーティス・フラー(トロンボーン)、レイ・ブライアント(ピアノ)、ポール・チェンバース(ベース)、アート・テイラー(ドラム)です。何気にサックス以外のメンバーが前回の「クリフ・ジョーダン」と全く一緒ですね。ちなみにコールマンはメンフィスからニューヨークに出てきたばかりで、おそらくこれが初レコーディングではないかと思われます。
全5曲、うち"City Lights"、"Tempo De Waltz"、"Just By Myself"の3曲がゴルソンのオリジナルで、ラストの"Kin Folks"がジジ・グライス作、"You're Mine You"が1曲だけ歌モノスタンダードです。過去ブログでも述べていますが私はテナー奏者としてのゴルソンはそこまで好きではありませんが、作曲・編曲の手腕は大いに評価しています。本作でもモーガンの輝かしいトランペットを前面に押し出しながらも、3管の分厚いサウンドを作り上げることに成功しています。オススメは"You're Mine You"と"Just By Myself"の2曲。前者はサラ・ヴォーン等で知られる名バラードですが、ここではフラーもコールマンもアンサンブルに徹し、モーガンが情熱的なソロをたっぷり聴かせてくれます。"Just By Myself"はフラーとコールマンも加わって熱いソロを繰り広げますが、主役はあくまでモーガン。高らかに鳴り響くハイトーンと創造性に満ちたアドリブはジャズ・トランペットの神髄と言っても過言ではありません。モーガンはこの後ブルーノートからさらに「ザ・クッカー」と「ペッキン・タイム」を発表して栄光に満ちた10代を終えます。モーガンは1960年代にも「ザ・サイドワインダー」等ジャズ・ロック路線でヒットを連発し、ブルーノートの看板であり続けますが、ハードバッパーとして一番輝いていたのはこの頃かもしれません。