本日はレッド・ガーランドです。ガーランドと言えば黄金のマイルス・デイヴィス・クインテットのピアニスト。特に名高いのが1956年に行われた一連のマラソン・セッションで、2日間のレコーディングで収録された計24曲が「クッキン」「リラクシン」「ワーキン」「スティーミン」の4作品として発表されました。一方でガーランドがもう一つのマラソン・セッションを録音していることはさほど知られていません。1957年11月15日と12月13日の2日間で収録された計16曲は「オール・モーニン・ロング」「ハイ・プレッシャー」「ディグ・イット!」そしてこの「ソウル・ジャンクション」の4枚のアルバムとして発表されました。ただ、ジャズ史上に名高いマイルスの4部作と知名度は雲泥の差と言ってよいでしょう。メンバーもドナルド・バード(トランペット)、ジョン・コルトレーン(テナー)、ジョージ・ジョイナー(ベース)、アート・テイラー(ドラム)と十分豪華ですし、内容も充実していると思うのですが・・・
アルバムはガーランド自作のブルース”Soul Junction”で幕を開けます。15分半に及ぶスローブルースで、前半はトランペットもサックスも登場せず、ガーランドの独壇場です。独特のブロックコード奏法と玉を転がすタッチで正直これだけで1つの曲として完成しています。ただ、8分30秒過ぎに満を持してソロを取るコルトレーンとバードがこれまた素晴らしい。解説書を読むとこの頃のコルトレーンはまだ発展途上みたいなことが書かれていますが、私は全くそうは思いません。トレードマークであるシーツ・オヴ・サウンドは既に完成されていますし、個人的には後期のフリージャズよりこの頃のコルトレーンの方が好きです。バードもあらゆるセッションに引っ張りだこだった時期でブリリアントなラッパを全編で聴かせてくれます。2曲目以降は通常の6~7分の曲で、ディジー・ガレスピーの代表曲”Woody’n' You"と"Birks' Works"、そしてデューク・エリントンのバラード”I Got It Bad And That Ain't Good”、スタンダードの”Hallelujah”と続きますが、どの曲もクインテットの充実した演奏が堪能できます。