木村忠啓の大江戸百花繚乱

スポーツ時代小説を中心に書いている木村忠啓のブログです。

徳川慶喜の自転車

2014年05月26日 | 徳川の話
徳川慶喜という人間は好きではない。
だが、実際に会ったとしたら、どうだろう。
慶喜は、不思議な魅力を持った人間ではなかったかと思う。
権力志向でもなく、どこか淡々としたところがある。自分を蹴落とした新政府に対しても恨みを抱き続ける訳でもなく、意外なくらいあっさりとしている。
利己的ではあるが、他の人への気配りもできる人間だった。
明治になり、表舞台から遠ざかると、多趣味ぶりを発揮する。
写真、手裏剣、狩猟、囲碁、謡曲など。
慶喜の弓の写真を見たことがあるが、雄大ではないが、非常によく中りそうな型だ。
多分、どの趣味も玄人裸足とは言えないものの、かなり上手だったのだろう。
その中で、自転車という趣味もあった。
静岡市の浮月楼に行くと、慶喜の乗っていた自転車と同じ型のものが展示してある。
明治村で乗ったことがあるが、この自転車は乗りにくい。
重心が高いので安定性が悪く、スピードを出すと怖い。
実際、慶喜は巣鴨でこの自転車に乗って、角の蕎麦屋に突っ込んでしまい、示談金を払っている。
慶喜が弓道を行ったり、自転車に乗ったのは趣味の意味もあったが、健康管理の意味合いも大きかった。
そういった意味で、慶喜は、健康オタクだったのだ。



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