木村忠啓の大江戸百花繚乱

スポーツ時代小説を中心に書いている木村忠啓のブログです。

ハーブ&ドロシー

2011年01月20日 | 映画レビュー
映画「ハーブ&ドロシー」を観た。
ドキュメンタリー映画である。
ハーブは元郵便局員の夫、ドロシーは元図書館司書の妻。
ふたりの趣味は現代アートを集めること。
普通の勤め人であるふたりは妻の給料を生活費に充て、夫の給料を全額アート購入に使った。
いつの間にかそのコレクションは2000点以上。
ふたりとともに年を取ったアーティスト達も大御所となり、アートの金額も上がった。
特にバブルの頃は、うなぎ登りに値段が上がったが、ふたりはアートを売らない。
投機目的にアートを収集した者のなかには豪邸の他、スイスや各国に別荘まで購入した人間がいるというのに、ハーブ&ドロシーは1LDKのマンションに住み続ける。
家が狭すぎて、買ったアートを飾る場所もないというのに。
老境を迎えたふたりが選択したのはアートを売るのではなく、永久保存してくれる国立美術館に寄付すること。
無償提供するという申し出に、美術館側の人間のほうが心配して、生活資金を渡すのだが、ふたりはそのお金をまたまたアート購入に費やしてしまう。
中毒にも近い感じだが、情熱を必要とする中毒である。
継続していくことの大切さを教えられた映画でもあった。
あそこまで生活のほとんどを犠牲にして、ひとつの事柄に集中するのは、すごいことだと思う。
自分自身は、生活を極度に一方向にしたいか、と言ったら答えはNOなのだが、感銘を受けた。
個人的には現代アートというもののよさがちっとも分からないので、なぜ高価なのか理解に苦しみ、アート紹介の場面などは正直退屈だったが、これは趣味の問題。
ただ、映画的手法が使えないくらい、ふたりの生き方がユニーク過ぎるのも難点だろう。
日本人の女性監督・佐々木芽生の作品であるのも注目どころ。

オススメ度★★☆(50)
*現代アート好きな方にはかなりオススメ!

ハーブ&ドロシーHP



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