工事現場には、その内容や期間、発注者、施工業者などが記載された看板がある。
今までに当ブログで紹介した、それらの看板の画像を再掲してみると…
中通一丁目再開発「建築計画のお知らせ」
ニューシティ解体「建築工事の表示」
新屋交番「建築工事の表示」
一見どれも似ているが、看板の“タイトル”は、「建築計画のお知らせ」というものと「建築工事の表示」というものが存在する。
調べてみた。
まず、「建築計画のお知らせ」は、高い建物を新築する際に設置されるようだ。都市部の多くの自治体が条例で定めており、東京スカイツリーの建設現場にもあるようだ。
秋田市では「秋田市中高層建築物の建築に係る紛争の予防および調整に関する条例」(1999年制定・2000年施行)に基づくもので、詳細は秋田市都市整備部建築指導課のサイトに掲載されている。
中高層の建物(地域によって異なるがおおむね3階建て以上)の建設を計画したら、まずは現地に“標識”(「建築計画のお知らせ」のこと)を設置し、自治体への届出、近隣説明会などを経て、着工に至ることに決められている。
同条例施行規則では、標識は道路に面する見やすい場所に設置し、不鮮明にならないよう維持管理することなどを定めている。
また、同課サイトには、標識の様式がアップされている。
それらを見る限り、標識自体のサイズが縦横とも90センチ以上となるようにし、地面から標識下端までがおおむね1メートルになるよう設置することは定めているが、文字の大きさや標識の地色については触れていない。
現在建設中の秋田市内のいくつかの民間の中高層建築現場には、白地の標識が設置されている。
Googleで画像検索をしてみても、白地のものだけで、地色があるものは見当たらない。
地色についてはやや疑問だが、「建築計画のお知らせ」については、まあ納得した。
一方、「建築工事の表示」。
秋田市のサイトにも出ていないし、Googleで画像検索しても引っかからず、何を根拠としているのか、分からない。
そこで、Googleの(普通の)ウェブ検索で「"建築工事の表示"」で検索してみると、わずかにヒットしたが、その多くが秋田関係のサイト。特に秋田県庁の公共工事の仕様書みたいなのが多い。
秋田独自のものなのだろうか?
改めて秋田市内を見てみると…
緑の看板が3枚
市立牛島小学校の体育館の増改築とそれに伴なう電気工事と機械工事のものがそれぞれ設置されていた。
それから
市教委管轄・保戸野児童館の解体工事
どちらも秋田市建設部建設課が発注した工事のようだが、文字や板面の色(児童館の方が黄色い)が微妙に異なる。保戸野児童館は下から2行目が、「工事監理者」でなく「工事監督者」になっている。各施工業者が手配したのだろう。
次は、民間発注の工事。
保育園の(移転)新築
別の保育園の「創設工事」?
既存のビルを改修して保育所にするようだ。4階建てなので、新築なら中高層建築に該当してしまう。
三井アーバンホテル跡の改修工事
それぞれ、発注者も施工業者も違うわけだから、地色や文字はそれぞれ違う。地色は白地のものもあるし、最初に再掲したニューシティ解体現場のような鮮やかな緑色のものもある。
秋田市発注では、市と業者の担当者名が記載されていたが、こちらは法人名のみのものが多く、電話番号はない。
こうして見てみると、「建築工事の表示」は、「建築計画のお知らせ」のような正方形に近い板に小さめの文字で書かれたものは(確認した限り)なく、横長の大きな板に大きい文字で書かれており、ほとんどが板に緑系統の地色が付いている。
設置されている現場は、いずれも2階建て以下の低層建築の新築工事だったり、既存の建物の改装工事や解体工事関係。
つまり、中高層建物の条例が適用されない建築工事現場に設置されることは間違いなさそうだ。
でも、何で看板に色が付いているんだろう?
目立って分かりやすいが、それなら「建築計画のお知らせ」にも色が付いていてもいいはず。
そしてなぜ似通った色なんだろう? 青とか赤とかは見たことがない。
最初、秋田市のカラーである「若草色」かと思ったが、少し違う(黄色っぽい)し、県や民間が行う工事にまで強制するのもおかしいし、それぞれの色合いも統一されてはいないので違いそう。そもそも秋田市役所が色を指定しているのではないような気もしてきた。
上記の通り、ネット検索で見つけた、秋田県の工事仕様書を見ると、表示の「地色はマンセル記号1GY7.5/8とし、黒文字(角ゴシック)で表現する」とある。
「マンセル・カラー・システム」という国際的な色の体系があり、そのルールで「1GY7.5/8」と表す色を、県発注工事においては看板の色にしろと言っていることになる。
「1GY7.5/8」が示すのは、■■■この文字の色■■■のことで、「鶸色(ひわいろ)」という「明るい黄がちの黄緑色」のことだという。
秋田県民会館の工事(「工事監督者」で、担当者や電話番号の記載はない)
なるほど。上の方の新屋交番も含めて、秋田県発注の工事看板は、そのような色だ。
でも、なぜ秋田県がこの色を指定しているのか(単なる好み?)、また、秋田市や民間が発注した看板はなぜ微妙に違う色合いなのか、そしてそもそも、なんでこんな色付き看板が存在する必要があり(他県ではどう?)、「建築工事の表示」は条例などで設置が義務付けられたものなのか? など、疑問は解決しない。
どなたか、何かご存知であれば、教えてください。
※続きはこちら
今までに当ブログで紹介した、それらの看板の画像を再掲してみると…
中通一丁目再開発「建築計画のお知らせ」
ニューシティ解体「建築工事の表示」
新屋交番「建築工事の表示」
一見どれも似ているが、看板の“タイトル”は、「建築計画のお知らせ」というものと「建築工事の表示」というものが存在する。
調べてみた。
まず、「建築計画のお知らせ」は、高い建物を新築する際に設置されるようだ。都市部の多くの自治体が条例で定めており、東京スカイツリーの建設現場にもあるようだ。
秋田市では「秋田市中高層建築物の建築に係る紛争の予防および調整に関する条例」(1999年制定・2000年施行)に基づくもので、詳細は秋田市都市整備部建築指導課のサイトに掲載されている。
中高層の建物(地域によって異なるがおおむね3階建て以上)の建設を計画したら、まずは現地に“標識”(「建築計画のお知らせ」のこと)を設置し、自治体への届出、近隣説明会などを経て、着工に至ることに決められている。
同条例施行規則では、標識は道路に面する見やすい場所に設置し、不鮮明にならないよう維持管理することなどを定めている。
また、同課サイトには、標識の様式がアップされている。
それらを見る限り、標識自体のサイズが縦横とも90センチ以上となるようにし、地面から標識下端までがおおむね1メートルになるよう設置することは定めているが、文字の大きさや標識の地色については触れていない。
現在建設中の秋田市内のいくつかの民間の中高層建築現場には、白地の標識が設置されている。
Googleで画像検索をしてみても、白地のものだけで、地色があるものは見当たらない。
地色についてはやや疑問だが、「建築計画のお知らせ」については、まあ納得した。
一方、「建築工事の表示」。
秋田市のサイトにも出ていないし、Googleで画像検索しても引っかからず、何を根拠としているのか、分からない。
そこで、Googleの(普通の)ウェブ検索で「"建築工事の表示"」で検索してみると、わずかにヒットしたが、その多くが秋田関係のサイト。特に秋田県庁の公共工事の仕様書みたいなのが多い。
秋田独自のものなのだろうか?
改めて秋田市内を見てみると…
緑の看板が3枚
市立牛島小学校の体育館の増改築とそれに伴なう電気工事と機械工事のものがそれぞれ設置されていた。
それから
市教委管轄・保戸野児童館の解体工事
どちらも秋田市建設部建設課が発注した工事のようだが、文字や板面の色(児童館の方が黄色い)が微妙に異なる。保戸野児童館は下から2行目が、「工事監理者」でなく「工事監督者」になっている。各施工業者が手配したのだろう。
次は、民間発注の工事。
保育園の(移転)新築
別の保育園の「創設工事」?
既存のビルを改修して保育所にするようだ。4階建てなので、新築なら中高層建築に該当してしまう。
三井アーバンホテル跡の改修工事
それぞれ、発注者も施工業者も違うわけだから、地色や文字はそれぞれ違う。地色は白地のものもあるし、最初に再掲したニューシティ解体現場のような鮮やかな緑色のものもある。
秋田市発注では、市と業者の担当者名が記載されていたが、こちらは法人名のみのものが多く、電話番号はない。
こうして見てみると、「建築工事の表示」は、「建築計画のお知らせ」のような正方形に近い板に小さめの文字で書かれたものは(確認した限り)なく、横長の大きな板に大きい文字で書かれており、ほとんどが板に緑系統の地色が付いている。
設置されている現場は、いずれも2階建て以下の低層建築の新築工事だったり、既存の建物の改装工事や解体工事関係。
つまり、中高層建物の条例が適用されない建築工事現場に設置されることは間違いなさそうだ。
でも、何で看板に色が付いているんだろう?
目立って分かりやすいが、それなら「建築計画のお知らせ」にも色が付いていてもいいはず。
そしてなぜ似通った色なんだろう? 青とか赤とかは見たことがない。
最初、秋田市のカラーである「若草色」かと思ったが、少し違う(黄色っぽい)し、県や民間が行う工事にまで強制するのもおかしいし、それぞれの色合いも統一されてはいないので違いそう。そもそも秋田市役所が色を指定しているのではないような気もしてきた。
上記の通り、ネット検索で見つけた、秋田県の工事仕様書を見ると、表示の「地色はマンセル記号1GY7.5/8とし、黒文字(角ゴシック)で表現する」とある。
「マンセル・カラー・システム」という国際的な色の体系があり、そのルールで「1GY7.5/8」と表す色を、県発注工事においては看板の色にしろと言っていることになる。
「1GY7.5/8」が示すのは、■■■この文字の色■■■のことで、「鶸色(ひわいろ)」という「明るい黄がちの黄緑色」のことだという。
秋田県民会館の工事(「工事監督者」で、担当者や電話番号の記載はない)
なるほど。上の方の新屋交番も含めて、秋田県発注の工事看板は、そのような色だ。
でも、なぜ秋田県がこの色を指定しているのか(単なる好み?)、また、秋田市や民間が発注した看板はなぜ微妙に違う色合いなのか、そしてそもそも、なんでこんな色付き看板が存在する必要があり(他県ではどう?)、「建築工事の表示」は条例などで設置が義務付けられたものなのか? など、疑問は解決しない。
どなたか、何かご存知であれば、教えてください。
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