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中央交通にIC乗車券?

2016-02-01 23:40:20 | 秋田のいろいろ
現時点の秋田では、秋田新幹線のモバイルSuicaを除けば、ICカード乗車券で利用できる交通機関はまったく存在しない。※過去の関連記事
2020年のオリンピックや「インバウンド」とかいう外国人観光客の利便性も踏まえて、いずれ遠くない将来には導入されると予想していた。ただ、ゼロからシステムを構築しないとならない上、資金面からしても、地方の路線バス事業者が導入するのは大変だから、JR東日本が先になるかなと考えていた。


1月29日に秋田魁新報 秋田市地域面とホームページ「さきがけ on The Web」の経済・産業カテゴリーに「秋田市内路線バスにIC乗車券」という記事が出た。
1面の「きょうの紙面」の主な見出しだけ見た時は、中央交通がIC乗車券導入に関して、システムや開始日など詳細を正式発表したのか?! と色めき立ったけれど、よく読むと、まったく具体的ではなかった。
導入決定などではなく、「導入に向けての検討を進めている」程度が妥当だと思う。

記事には、「秋田市と秋田中央交通は、市内で運行する同社の路線バスに2018年度からIC乗車券を導入する方針を固めた。市が本年度内の策定を目指す第2次公共交通政策ビジョン素案に盛り込んだ。」「今後2年かけ、数億円規模が見込まれる初期費用の負担割合などを詰める。」
などとある。
サイトではカットされて紙面にしか出ていないが、国から初期費用の3分の1が補助される制度があり、それを使うつもりとのこと。また、Suicaのような他社・他地域と共通のカードを採用するか、独自のカードを立ち上げるかは未定。
秋田市によれば「利便性向上と公共交通の維持が目的」、中央交通は「導入を実現させ、利用者の増加につなげたい」と言っている。

つまり、高齢者コインバス事業や市街地循環バスの時と同じように「秋田市に突っつかれて、中央交通が重い腰を上げようとしつつある」、といった感じではないだろうか。
記事では「実現すれば県内では初めて。」としているけど、それって、「実現しないかもしれない」っていうことじゃないの?


それ以前に、今回の「第2次公共交通政策ビジョン」の1つ前、「第1次~」にも、IC乗車券導入を検討することが盛り込まれていたはず。
1次~にあった項目の中には、ほかにも同様に実現せずに終わってしまったものも少なくない。2次に引き継がれたということは、期待していいものなんだろうか…

以上、別に今の段階でこれほど取り立てることでないと思うし、見出しがやや大げさ。
紙面には「18年度にも 市と中央交通方針」、ホームページには「中央交通、18年度にも」という見出しも出ている。ホームページの見出しでは、中央交通が単独で導入を検討している(決定した?)かのように読めてしまう。



以下、個人的意見など。
時代の流れからしても、IC乗車券導入は当然とも言える。補助が出る今を逃せば、後からでは難しいかもしれない。

IC乗車券ならば、小銭の準備も、整理券を取って降りるまで持ち続け、運賃表示器を確認するのも不要(乗車時にもタッチして、カードに乗車場所を記憶させるので)になる。大したことではないと思うかもしれないが、荷物が多い時や通路に立っている時は、ずいぶん楽になる。
僕は先日、170円区間を乗車しようかと思ったところ、タイミングよくバスが来そう。でも、70円分の回数券の持ち合わせがないのを思い出し、千円札を崩すのも面倒&もったいなくて(100円券はまだたくさん残っていたので、新しく回数券を買いたくもない)、結局歩いてしまったことがあった。こんな時、カードがあればいい。
僕の場合、買物回数券は5片しかない50円券が最初に足りなくなる。10円と20円ももう少し欲しい
バス会社にしても、降車がスムーズになったり、管理部門の集計業務が楽になるメリットがあるだろう。
この点では、歓迎。

しかし、秋田のような公共交通の利用率が低い/利用者層が限定されている土地かつ、経営状況が良好といえないバス会社においては、必ずしも必要ではないようにも思える。初期費用が補助されるとしても、維持費はずっとかかる。採算が取れるだけの継続的な利用があるだろうか。
乗客の多くを占める市内在住の高齢者は、コインバス事業で現金100円で乗れるからカードは使わない(使えない)だろう。それ以外で恒常的に路線バスを利用する人のうち、どれだけがカードを買って持ち歩くか。あるいは新たにカードを所有してバスに乗ろうとする人がどれだけいるか。狙いとする「バス利用者の増加」は限定的ではないだろうか。いかにカードを普及させるかが大事かも。

Suicaのような共通カードを導入するのであれば、県外からの旅行客がスムーズに使えてメリットは大きい。空港リムジンバスなんかすぐにでも導入してもいいのでは? でも、秋田地区のJRがSuicaを導入していない以上、それもなんかヘンな話。Suicaの“利用料”みたいなのも発生するはずだから、コスト的にもどうだろうか。

あと、現行では、割引率の高い、昼間・土日限定や学生向けの回数券(過去の記事)がある。IC乗車券が導入されれば、紙の回数券は廃止されるだろうから、どうなるか。福島交通などでは、ICカードにも同様の機能を持たせたものがあるようだ。
しかし、首都圏のバスにPASMOが導入された時は、従前のバス共通カードよりも割り引きが渋くなったとして、一部には不評だったそうだ。
秋田では、ぜひとも割引率を維持してほしい。「IC乗車券になって便利になったけど、それと引き換えに実質値上げ」なんてごめんだ。



JR東日本秋田支社よりも先に、秋田市の路線バスでIC乗車券が使えるようになるのだろうか。
JR東日本さんのことだから、突然「当社全路線・全駅でSuicaをご利用いただけるようになります」なんて発表されて、あれよあれよという間に、秋田でも使えるようになりそうな予感もする。
魁さんも、どうせならJRにも取材して、導入予定を聞けばいいのに!

【5日追記】中央交通では、秋田市外にも路線を持つから、秋田市以外の周辺市町も巻き込んで導入すれば、利便性は高まるだろう。

【2017年4月15日追記】
本文と直接の関係はないが、2017年4月20日から、秋田駅東口バス案内所と長崎屋バスターミナルの高速バス予約センターにおいて、定期券と高速バス(仙台・東京のみ)乗車券購入時に、クレジットカードと電子マネーでの決済が可能になった。
電子マネーは交通系以外のiD、楽天Edy、nanaco、WAON等も対応。
※回数券や空港リムジンバス乗車券購入時は使えない。各営業所等他の窓口では対応せず。

定期券をクレジットカードで買えるようになるのは、便利そう。
高速バスは、既に旅行代理店やコンビニでは、カードや電子マネーが使えることもある。むしろ、空港リムジンバス乗車券購入(または車内での支払い)に電子マネーを使えるようにしたほうが、首都圏などからの旅行客には喜ばれそう。

このことを12日付秋田魁新報経済面で小さく伝えているが、その末尾で、一般路線バスでのICカード対応について、同社に取材していて「「利用客から期待があることは把握している」とし、導入に向けた検討をしているとした。」と結んでいる。
でも、それって上記本文の通り、中央交通が自発的にじゃなく、「秋田市が検討している」、「秋田市に言われて導入しようとしている」ってことじゃないの? 秋田市としては2018年度に導入したいそうだけど、肝心の中央交通側とこの温度差ではどうなるやら…

【2018年11月25日追記】2018年11月25日付秋田魁新報社会面で、羽後交通がスマホによる通学用定期券を導入している(導入は2018年2月、区間限定)記事が出ていた。その最後で、電子マネーでの乗車について少々触れていた。
「羽後交通と秋北バスが「初期投資が多額」と導入に慎重な姿勢。」
中央交通は上記窓口(駅と長崎屋)は別として、「車内への導入は予定していないという。」だそう。

中央交通は昨年4月12日では「検討している」だったのが、トーンダウンしてしまったようにも受け取れる(記事末尾の付け足し文だから、記者の書き方の違い程度の感じもするけれど)。
そして秋田市の検討はどうなっているのだろうか。

続きは2020年の記事
(以上追記)




以下、IC乗車券とは関係ないバスの話。
本件で紙面とサイトに掲載された運転席周りの写真。場所稼ぎの穴埋めのようで、あまり意味がない写真の気がしたけど。
運転士さんは営業運行中かのようにハンドルを握っているものの、おそらく営業所(車庫)内で停車して撮影されたもの。あわてたのか帽子をかぶっていない。(中央交通では回送時は無帽運転が認められているらしい)
車両は、段の配置や薄い運賃箱からしてノンステップバス、手すりがオレンジ色なので小田急中古でなく新車で買ったもの。いつの導入で、いすゞか日野かまでは判別できない。
今まで気付かなかったが、運転席の座席の布地が客席と違う。昨年導入の最新の車でも、客席は従来と同じ「キサラブルー」柄だったが、この運転席はオプションの「通気性タイプ・キレートブルー」だ。
(再掲)いすゞ自動車ホームページより

ちなみに、いすゞの大型車「エルガ」が2015年8月にモデルチェンジして、伝統の4灯ヘッドライトでなくなったそうだ。その時、座席の柄も整理されて、キサラブルーやイアーゴブルーはなくなった。いずれ中型のエルガミオもそうなるだろうから、その時、中央交通はどんな柄を選択するだろう。



最後に、運用上の発見。
2011年12月に1台だけ新車で導入されたノンステップのエルガミオ「904」。
小田急中古「933」と並走する904
その運用は、新国道経由五城目線の臨海営業所担当ダイヤ(と車庫への出入り便とたまに新国道経由他路線)に固定されているように見ていた。
その車が、平日ダイヤの特定の時間の添川線(蓬田上丁往復)を走行しているのを何度か目撃した。

運用が変わったのかと思ったが、そうではなく、どうも最初から添川線にも入る運用が組まれているようだ。(時間帯が合わず、今まで気付かなかった)
秋田駅西口6時50分→五城目バスターミナル8時05分/8時25分→秋田駅9時40分
秋田駅10時20分→蓬田上丁10時45分/11時11分→秋田駅11時38分
秋田駅13時00分→五城目…
と、朝と午後の五城目往復の間に添川線がちょうど収まる。車両が空いている時に本来とは別の用途を走る「間合い運用」というヤツになっているのではないだろうか。
乗客にしてみれば、他の車両とほとんど違わないから意識しないだろうけど、比較的新しく、ノンステップの車が必ず来るのは、知っていればちょっとうれしいかも。
でも、五城目線に904に代わって大型車が入る場合もあるようだけど、その時は添川線は別の中型車が代走するのか? そうじゃなく、やっぱりたまたま904が添川線に連続して代走に入ったのか?
【10日追記】コメントで教えていただいたように、朝の五城目往復は904固定ではないらしい
コメント (66)
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