さて腎臓は身体のどこにあるのでしょうか。
腎臓は腰のあたり、腸の後ろに左右1個ずつあり、握りこぶしぐらいの大きさです。一個の重さは約120g、形はソラマメ型で、内側のへこみから尿管や動脈・静脈が出入りしています。
1分間に約1Lもの血液が流れている、血液流量が最も多い臓器です。
これは血液中の老廃物を尿に捨て、きれいになった血液を心臓に戻すという大切な役割を担っているためです。
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腎臓は、血液をきれいにするだけでなく、排泄やヒトの体液を正常に保つ機能があります。
この働きにより私たちの血液はいつもきれいな状態に保たれ、健康に過ごすことができるのです。
- 血液をろ過して、身体に不要となった老廃物を尿として排泄します。ろ過されてきれいになった血液は、再び身体を循環します。
- 身体の水分・血圧・多く取りすぎた塩分を調整します。
- 身体の中にある体液の濃度・量の調節、血液の酸性・アルカリ性のバランスを調節します。
- 骨を強くするホルモンをつくります。
- 血液(赤血球)をつくるホルモンを出します。
- 血圧を調節するホルモンを出します。
腎臓は、糸球体と尿細管に大きく分けられます。また腎臓は、機能上ネフロンという単位で成り立っており、ネフロンは片方の腎臓に100万個もあり、ここで尿を作っています。
腎臓に流れ込んだ血液の約20%、小さな分子の水、電解質(ナトリウム、カリウムなど)、尿素やクレアチニン、ブドウ糖やアミノ酸、ビタミンなどがろ過されます。この糸球体は、尿細管に続いています。
身体にとって必要なものまでろ過され、尿として排泄されてしまうことがないようにしなければなりません。このため必要に応じて再吸収します。約99%が再吸収され、残り1%が尿になります。
内科・小児科的な病気と泌尿器科的な病気に大きく区別されます。
- 糸球体腎炎(急性、慢性)
- 全身性疾患(糖尿病、膠原病、腎硬化症、多発性骨髄炎、高血圧など)に続いて起こる腎臓の病気
- 水腎症、多発性嚢胞腎、腎結石、腎腫瘍など。
日本では、糖尿病性腎症、慢性腎炎、腎硬化症、膠原病による腎症、多発性嚢胞腎、急速進行性腎炎の順に患者さんが多いといわれています。
何らかの原因で腎臓が障害を受け、腎臓の働きが正常の半分以下になると「腎不全」という状態になります。腎不全は急性と慢性に区別されます。
腎臓病は末期に至るまで自覚症状がほとんどないため、定期的な健康診断が重要です。
腎臓病の発見には尿の検査が基本です。尿の異常を早い時期に発見できれば、原因を診断し、適切な治療によって病気の進行を遅らせ、腎不全に至るのを防止することができるのです。
腎不全に至らないようにするために、治療は日常生活の管理、食事療法、薬物療法が行われます。腎機能の状況により異なりますが、食事療法は低タンパク食、減塩、高熱量食が中心で、薬物療法では高血圧の治療が第一です。
現在、日本の透析患者さんは約31万人(2013年末)で、国民405人に1人が透析を受けています。
透析にもいくつかの種類があります。血液透析であれば通常1回4時間、週3回の透析を生涯に亘って受けなければなりません。他方、腎臓移植は提供者が少ないためなかなか進んでいません。
しかし、一昔前は不治の病とされていた腎不全も透析・移植という方法によって死の危険を回避できるようになったばかりでなく、ほとんどの患者さんは普通の生活が出来るようになりました。
糖尿病は血糖を調節するインスリンというホルモンの分泌・作用がうまく働かないために起きます。食生活の向上、運動不足、食べ過ぎなどから肥満、高血糖、高血圧が現れる生活習慣病であり、重大な病気の一つです。
元来、日本人はインスリンの分泌が良くないため、糖尿病になりやすいのです。
糖尿病は、全身の血管を障害し、動脈硬化症、網膜症、末梢神経障害、腎臓病(糖尿病性腎症)を招きます。
糖尿病が原因で起こる腎疾患ではタンパク尿、血尿などが現れ、次第に腎機能が低下して慢性腎不全に至ります。