麒麟琳記〜敏腕Pの日々のつぶやき改題

還暦手前の身の回りのこまごま。
スポーツや映画演劇など。

夕暮れパス

2024年12月11日 | 身辺雑記

師走も上旬から中旬へ。

北では雪積もる頃だから、

東京の夕どきも5時を過ぎれば

もう暗い。

そんな中、バレーボールをする

制服のカップルを公園に見た。

 

 

丁寧に述せば・・・

高いフェンスに囲まれた小ぶりの

公園の外側の、まだ敷地内で

歩道からは仕切られた三角地。

アスファルト面で、

回収した空缶を納める収納箱や

防災用具が格納された倉庫もある

そんな場所の片隅で

若い男女が「パス」をしていた。

 

そうバレーボールと言っても

ネットを張った6対6ではなくて

オーバーパス(いわゆるトス)と

アンダーパス(同レシーブ)を

組み合わせての「対人パス」だ。

 

昔の白一色ではなく、

緑と赤も混じったボールが

ポーンポーンと二人を行き交う。

ただ、せいぜい5回続く程度。

たいした会話もなく、

ポーンポーン、ポーン。

 

だけれど二人には至福の時。

 

ゆるやかな音とは異なり、

鼓動が、きっと少し速いのは

身体を動かしているから、

だけではないはずだ。

 

と。横を歩く私にとっては唐突に、

「それでさ」男子が口を開いて、

ポーンとオーバー。

アンダーでポンと返して「うん」。

「高山がね」とサイドアンダー。

膝を使い、結った髪を揺らして

無言のアンダーを少し高めに。

「原田を⋯」オーバーパス

「⋯呼び出したわけ」。

 

そこいらあたりで横行く私は

角を曲がった。

 

公園でのパスでも、

ブランコに並んで座るでも、

或いは校舎の奥の階段下の

掃除用具のロッカー脇の

壁にもたれてでも、

そこだけグリニッジとは

別の時の刻み方をする空間を

あの年頃は作り出せる。

 

⋯⋯さて高山と原田には何が?

そも性別は異なるのか?

ポーンポーンは遠くなって行く。

けれど夢想は膨らむばかり。

 

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