福富ストラット

「記者ときどき農夫」。広島の山里で子ども向け体験農園づくりにいそしむ、アラフォー新聞記者のブログ。

とまり木

2019-08-29 10:06:19 | 日記

 先日、記者時代の知り合いの某放送局記者から「不登校をテーマに記事を書いた」と連絡をもらった。その取材映像が昨夕(8月28日)のニュース番組で放送された。NHK未来スイッチ「不登校、その先を考えてほしい」というもの。

 事前にウェブ記事を読み、「ぜひとも映像を見たい!」と思っていた。だが、オンエアーはちょうど隊員が車で移動しなければならない時間。ジモピーが「イノシシ銀座」と言う薄暗い山道を疾走しながら、マイカーオーディオで途切れがちな音声だけを、必死こいて聴いた。

 サンドウィッチマン並みにコーフンしたのは、埼玉県上尾市の「ほたるファーム」という農園の取り組みだった。隊員が「こういうことやりたい」と妄想していることを、とっとと実現していた。ジャガイモやニンジンなどを有機栽培で育て、学校に行っていない子どもたちが毎週、農作業に通ってくるのだという。

 農園に流れる柔らかい空気感がなかなかよさそうだった。「もくもくと作業に打ち込む子、作業はそこそこにミミズやカエルを探しだす子、おしゃべりする子。過ごし方はそれぞれ」(番組より)なのだそうだ。

 はい、賛成です。大人たちに「これやって!」「今、それしないといけん」なんて先手先手で指図されたら、子どもは息苦しいまんま。過ごす場所が学校から畑に変わっただけで、その場を取り巻く価値観は何も変わちゃいないぜ、ってことになる。

 もちろん、世知辛いこの日本で生きていくなら、社会的なスキルはそれなりに身につけとくと楽ではある。隊員の農園でも、ゆくゆくは挑みたい。あくまで「その先」のステップとして。ほたるファームは、子どもたちのばらばらな歩みをごく自然に見守っているようで、なんだかほっとした。

 そういえば、世間からはみ出しまくりの異星人みたいな友人が言ってた。「人生一直線じゃなくていいって、不登校の子は案外、分かってる。頭を切り替えなきゃなのは、周りであたふたしている大人の方じゃん」

 ごもっとも。教育でも仕事でも家庭でも、勝手に息苦しさをこしらえるのは大概、大人だ。間違いないね。

 番組によると、ほたるファームのように、学校に行かない子どもの居場所を地域につくろうとの活動は少しずつ広がっている。鳥は止まる木を自由に選ぶ。子どもも居場所を自分で選べるように…。そんな思いから「とまり木」と名付けられているそうだ。へえ、知らなかった。

 最近すっかりニュース番組も新聞も見ない日々だったけど、思いのこもった報道ってやっぱいいね。某記者さん、ありがとう。



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