地域おこし協力隊として福富町に来て、もうじき1ヶ月がたつ。
2階建て母屋に離れまで付いた、巨大な空き家での1人暮らし。「隊員」お気に入りなのが、家のそばの小さな畑だ。大家さんがとなり町から通いながら幾ばくかのナスやキュウリを育てているが、畑のほとんどは休耕中。名もなき草(隊員が知らないだけだが)が腰の高さほどに茂っている。
そんな家に縁あって転がり込んだアラフォー隊員。この畑で「子どもの農園」をつくりたいと思っている。都市部の子どもたちが地元のおじぃおばぁと一緒に土をいじり、キャベツ、ダイコンなどの野菜作りを体験できる場所だ。
中でも不登校や引きこもりでしんどい思いをしている子どもや親御さんに使ってもらいたい。うちの外に出たり人と話したりする機会が少ない子どもたちが、緑豊かな田園風景の中で思い思いに体を動かし、前向きな気持ちを抱けるようになってくれたらいいなと思っている。
「おう、使いんさい」。酒とタバコが好物の元体操選手マッチョ大家さんの好意により、畑とビニルハウスを使わせてもらうことになった。やった!
ところでさっき、さらっと「不登校」「引きこもり」と書いたが、これってほんとしんどい。
「学校に行くのがつらい」「人と会うのがわずらわしい」「生きててもつまらない」―。振り返れば隊員も若かりし頃、こんなダウンな時期があった。今思うと、ほんとくだらないきっかけだったけど。たどり着いた心療内科ってとこで、ロボットみたいなドクターに「自律神経が弱ってるだけ」なんて人ごとのように言われ、「はぁ」って返すしかなかった。
新聞記者として働いていた頃も、いろんな理由で学校に行かない子、社会に出られない若者に出会った。うらやましいほど純粋で、触れると壊れそうな子が多かった。親御さんも悩み、必死にわが子を支えようとしていた。
記者(当時)が強く思ったのは、「人は居場所が大事」ってこと。心をぽーんと解き放って、「まんま」でいられる場所。自分の存在を受け入れてもらえる小さな「社会」があれば、世界の見え方はずいぶん違う。
生きてりゃ嫌なことはたくさんある。気分良く過ごしてても、すぐに嫌な言葉、問題をぶっ込んできて気分を萎えさせる野郎も、どこにでもいる。ああ、やだ。
でもね。人生なんとかなるし、案外悪くない。楽しいやつ、素敵な大人にもどんどん出会える。そのうち自分も成長しちゃうから。
「人は犬に食われるほど自由だ」って書いてたのは藤原新也か。とかく生真面目なこの社会じゃ「人生は一直線ですよ。途中下車は許しません!」って脅されてるように思い込んじゃうかもしれないけど、マイペースでノープロブレムよ。
新米隊員の妄想段階である「子ども農園」で感じてもらえたらうれしいのはそんなことかな、と思っている。
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