223話)オキナグサ(白頭翁)

 大同の冬は寒くて長いですね。最低気温は零下30度近くになります。寒いというと日本人からはすぐ、「雪はどれだけ積もりますか?」と返ってきますけど、雪はめったに降りません。雪が30センチも積もると、地表の温度は零度以下にならないそうですけど、雪がないために地表から1.2メートルも凍結してしまいます。植物にとっては、そのことがつらいんですね。
 11月から翌年2月までは月平均気温が氷点下です。ポプラやヤナギが芽吹くのは4月も中旬以降。冬が寒くて長いぶん、春を待ち焦がれる気持ちはつよくなります。
 大同市のなかで最初に春めくのは、最南部の霊丘県のそのまた南部。私たちが自然植物園をおいているあたりです。大同市の北部とでは2週間くらいちがう印象です。そこで、最初に目にとまる花が、このオキナグサ。中国では白頭翁といいますから、いっしょですね。種に白く長い綿毛がつくので、そのように呼びます。日本のものよりは、花が大きくて、色も鮮やか。葉っぱも大きくて、強いですよ。
 ここ数年、このオキナグサが、植物園では急速にふえつつあります。今西錦司編『大興安嶺探検』には、地面が紫にみえる、という描写がくりかえしでてきますけど、そうなってほしいものです。
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