868話)マイナスの世界で汗ぐっしょり

 3枚めの写真には稜線が写っており、そのなかのいちばん高いところが、敷地内の最高所で、海抜1318mです。どうして、こんな写真をもってきたんでしょう! これと同じ角度からの写真を撮ろうと思えば、敷地の南の端を大きく迂回して最高所にいくしかありません。そのつぎの写真は稜線のすぐ下で撮影したものであり、最後の1枚は敷地の北の端から撮影したもの。つまり、たった5枚の写真を撮るために、敷地をほぼ一周しないといけないのです。李向東は4kmくらい歩かないといけないといってケロッとしています。

 平地の4㎞なら、なんということもありません。でも、ここでは高低差400mを上り下りしないといけないのです。そして、起工式前後に写真を撮ったときは、この山ははげ山状態で、あちこち歩くのに大きな困難はありませんでした。ところがいまは喬木・灌木が茂って、行く手をはばんでいます。

 李向東は、「こちらのほうが近道です」というなり、斜面を駆け下りていきました。ああ、そっちに行ったら、急斜面を登らないといけないじゃないの! きょうの最高気温は-3度くらいのはずですが、だんだん暑くなってきました。着ていたダウンジャケットを脱いだんですけど、それでもやがて汗ぐっしょり。

 のどが渇いてしかたないのです。李向東はちょっとだけ積もっている雪の表面をかき捨て、その下の雪を口に含んでいます。私もまねをしたんですが、粉っぽい、みょうな味がある。やめておいたほうが無難です。
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