182話)水のない桑干河

 大同の市内から渾源県にむかう途中で、桑干河を渡ります。橋の名は固定橋。毎回、橋の中央で車を停めるか、すこしていねいにやるばあいは橋のたもとに車を停めて、橋の中央まで歩いて、写真を撮っています。水の状態を継続して観察したいと思ったからです。
 ところが最近は、ほとんどいつも水がありません。あったとしても、まっ黒のわずかな水で、橋のうえまで刺激臭がただよいます。「純度100%の汚水だ」と私はいっていました。
 こうふうに変化がないと、写真を撮るのもめんどうくさくなります。この7月は、走行中の車の窓をあけ、そこからパチリ。やっぱり水がありません。白くみえるのは、塩害ですね。
 桑干河はこのまま東進し、河北省にはいるまえに壷流河、洋河と合流し、永定河と名を変えます。合流点のすぐ下で永定河をせき止めているのが官庁ダムです。官庁ダムと、北京の北にある密雲ダムが、北京の主要な水ガメですから、この桑干河はりっぱに(?)北京の水源です。
 固定橋で、私が最後に流れらしい流れをみたのは1997年夏でした。それからあとは、ほとんどいつも水がありません。
 にもかかわらず、中国でも日本でも、水不足が深刻化していることを、たいていの人が知りませんでした。しつこく言いつづけてきたんですけど、あまり相手にされませんでした。
 この一、二年、日本のテレビや新聞で、北京の水不足が大きく扱われるようになりました。やっと、という思いです。中国のジャーナリズムに伝わっていくといいんですけどね。
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