薩摩のシラス台地から北に降ると、忽然と霧島の峰々が現れる。鹿児島と宮崎の県境に聳えるこの山群は、まさに島のように浮き上がって姿を見せたのだ。初めて見る人は、その神秘的な雰囲気に心を揺さぶられることだろう。僕は霧島の由来など知らなかったのだが何かを感じた。
霧島山は百名山の韓国岳、今でも噴火を繰り返している新燃岳、そして日本神話に名を刻む高千穂峰などからなる山群でその噴火口の多さでも有名だ。
百名山ピークハント中の僕としては、高千穂峰ではなく、最高峰の韓国岳(1,700m)に登れば良いのだが、なぜか高千穂峰は外してはならないと感じていた。
登山口の高千穂河原には霧島神宮の旧社殿跡がある。13世紀に噴火のため消失、現在は400m程下に本宮が祀られている。神事の一部は今でもここで行われているそうだ。
これが現在の本宮。しかし、もともと本宮は高千穂峰山頂直下、御鉢との間に置かれていたものが、10世紀の噴火で高千穂河原へ移設、13世紀に今の地に落ち着くという、霧島の噴火の影響を受けた歴史を持つ。
山頂直下の最初の本宮跡。さて、霧島の霧島たる所以、霧島神宮の由来を調べてびっくり。以下、少しくどいがせっかくなので紹介する。
御祭神はニニギノ命。天地が豊かに賑わう神として、五穀豊穣、商売繁盛に御利益があるとされる。その出自は、天照大神の孫にして、天皇家の始祖、神武天皇はひ孫にあたるという堂々たるものだ。
高千穂峰は、天孫降臨の地なのである。恐れ入るべし!そしてこの神様は、天下の騒乱を終わらせるため、2度と抜けないよう鉾を高千穂峰山頂に突き刺したのだった。
山頂の天逆鉾(あまのさかほこ)。坂本龍馬が新婚旅行で霧島を訪れた際、高千穂峰に登り、この逆鉾を引っこ抜いたという伝承がある。奈良時代から実存していたという説があるが、噴火で失われたため、現存するのはレプリカ。
伝説が伝承を生み、今に伝わる、何とも面白い場所ではないか!
前置きが長くなったが、今日の山行を以下に記す。
7:00に高千穂河原の旧社殿に参拝して山頂に向かう。標高950mで気温氷点下4度。今日も快晴だ。
高千穂峰の北西に位置する中岳(1,332m)が朝日に赤く染まる。ウェーイ!気分が盛り上がるゼ!
右が高千穂峰、左のピークは御釜のヘリだ。
登山口からしばらくするとこのような溶岩跡の斜面が山頂まで続く。例えるなら十勝岳の様だ。
砂礫には霧氷が付く。砂礫の表面が適当に凍り、グリップ良く登れて快適だ。
霧島山の最高峰、韓国岳だ。手前は噴火が続く新燃岳。火口付近が立ち入り禁止でここから韓国岳への縦走が出来ないのが残念だ。
朝日を背負った高千穂峰。神々しいではないか。
御釜を越え、山頂直下には最初の本宮跡。古宮とも呼ばれている。
古宮から山頂まではひと登りだ。
今日は山頂を独り占めさせてもらった。
天孫降臨。天孫とは、天照大神の孫、それが我らがニニギノ命だ。
新燃岳からは微かに水蒸気が出ている。噴火の火災流跡が生々しい。
御釜。霧島山にはこのようなはっきりと残る火口が15ヶ所あるそうだ。
下山後、改めて霧島神宮を参拝。霧島山というものを少し理解出来たような気がする。
麓、宮崎県えびの市側から見た霧島山。奥の高い山が韓国岳。新燃岳や高千穂峰はその奥に位置するため見えない。
今日の温泉。新燃荘。2011年の噴火で受けた被害が一部残るが営業中。白濁のあっつい温泉。混浴露天風呂もありますが、今日は男性だけでした。ナイスな秘湯です。
あっついわけです。目と鼻の先が新燃岳。
明日は韓国岳に登ります!
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