ひたひたと春の潮うつ鳥居かな 河東碧梧桐
壁悟桐にはめずらしいと思える句
有季定形の写生、客観的は俳句だ
「ひたひたと」も平易な措辞
安芸の宮島の大鳥居を連想したのは
私ばかりではあるまい(小林たけし)
【春の潮】 はるのしお(・・シホ)
◇「春潮」
春になると潮の色は藍色が淡くなり、明るく澄んでくる。干満の差が大きくなり、干潮時にはひろびろと干潟を残して落ちてゆく。
例句 作者
水哭くや弥生十日の大潮に 戸恒東人
春潮の底とどろきの淋しさよ 松本たかし
春潮を観る黒髪を身に絡み 石原八束
春潮に指をぬらして人弔う 橋本多佳子
春潮の入水に叶ふ色といふ 吉田汀史
春潮といへば必ず門司を思ふ 高浜虚子
春潮に飽かなく莨すひをはる 横山白虹
春潮の上に月光の量を増す 飯田龍太
累々と熔岩春潮のそこひまで 小川斉東語