竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

氷りつつ西日の粒子かくれなし 松澤昭

2021-01-21 | 今日の季語


氷りつつ西日の粒子かくれなし 松澤昭

冬落暉の速さに早々と家路につきたいが
冷たい空気が速度を速めておそってくる
くれなんとする西の空
そこからの光には氷の粒子がおびただしく発せられているに相違ない
(小林たけし)

【凍る】 こおる(コホル)
◇「氷る」 ◇「冱てる」(いてる) ◇「凍つ」(いつ) ◇「冱つる」(いつ) ◇「冱つ」(いつ) ◇「凍む」(しむ)
本来は、水分などが寒気にあって凝結することをいうが、季語としての「凍る」はもっと広い寒気の感じとして用いられることが多い。月凍つ、風凍つ、嶽凍つ、鐘凍つ、鼻凍つ、凍晴、凍曇など。「冱てる」は凍ると同意。寒気にあって水分などが凝結すること。様々な用例があるが、語感や見た目による季語の斡旋にも意を払いたい。「凍む」は、こおりつく、寒さでちぢみ上がるという意味だが、転じて身がひきしまることにも用いられる。「凍る」よりも自分自身に引きつけた、より感覚的な季語。

例句 作者

すぐ氷る木賊(とくさ)の前のうすき水 宇佐美魚目
傘を刺す地の茫々と氷る前 松澤昭
朴大樹氷りついたる影となれ 松澤昭
漣に九州氷る舌ざはり 松澤昭
凍らんとするしづけさを星流れ 野見山朱鳥
蒲団まで凍てし固さの狩の宿 檜 紀代
夕凍みの聳ゆる暗さ甲斐の国 廣瀬直人
ねむるべしかの沼もいまはこほりをらむ 木下夕爾
氷る夜の文殊に燭をたてまつる 川端茅舎
夕凍みや目白のひそむ裏の畑 飴山 實
夕凍みの人去らしめる轍かな 鈴木慶子

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