「ウルから出てカナンに向かうぞー」
アブラムの父テラは突然旅立つことを決めた。
テラはカナンにはたどり着けず、ハランの地で生涯を終えた。
なぜテラは突然ウルを出たのか。
アブラムは紀元前2000年ころに生まれたとされる。
このころ、シュメールはウル第三王朝で、アムル人からの攻撃侵入を受け、古バビロニア王国へと移行していた。
アムル人のハンムラビ王は有名。
テラは、古バビロニアの支配を逃れウルを出た。
では、テラはなぜハランの地にとどまったのか。
そもそも、カナンへ行こうとすると、ハランへはかなり迂回しなければならない。
実は、テラもアブラハムも、もともとはヤハウェを信仰していなかった。
ヨシュア記24章に、「あなたたちの先祖は、アブラハムとナホルの父テラを含めて、昔ユーフラテス川の向こうに住み、他の神々を拝んでいた」と書かれている。
では、どんな神様を信仰していたのか。
メソポタミアでは都市ごとに主神として崇める神様が違う。
ウルとハランはだいぶ離れているが、神様が共通していた。
テラは同じ神様を信仰しているハランを意図的に選んだ可能性が高い。
ウルで祀られている神様の名前は月神ナンナ。
ハランでも月神ナンナの遺跡が見つかっている。
月神ナンナは三日月をシンボルとする神様。
月の満ち欠けから「暦を司る神様」とされ、豊穣神としても信仰されていた。
メソポタミア諸国の王女がウルにやってきて、ナンナ女祭祀として祭儀を取り仕切る役目を任じられていた。
これは日本の祭祀王の仕組みと同じ。
縄文時代中期で見つかる月の女神信仰。
正統竹内文書の口伝に伝わる世界規模のツクヨミの拡散。
ユダヤとツクヨミの氏族がここでも交差する。
アブラハムはハランに移り住んでから神様から啓示を受け、ヤハウェを信仰するようになった。
父のテラはもしかしたら最後までナンナ信仰であったかもしれない。
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