小春ちゃんがこちらを振り向き始めたらしい。日差しは春らしさを予感できるが風は冷たい。でも、そろそろ、畑の畝づくりを準備しておかないといつものようにまたまた遅れてしまう。というわけで、硬くなった畑に古くなった黒マルチの撤去作業に入る。
しかし、そこは黒マルチをそのままにしておけば雑草を多少抑えられるとして放置していた畑だった。だから、マルチは千切れやすくなっていた。これはまずいぞと丁寧にその破片を回収する。これをいい加減にしておくと川に流れ海洋汚染の元凶にもなりかねない。したがって、マルチを撤収するのに二日もかかってしまった。なにしろ、日本の一人当たりのプラスチック廃棄量は年間約32kgでアメリカについで世界2位にある。
以前、NHKで「プラスチックごみ問題」を番組でとりあげたことがあったようだ(2019)。最近はマイクロプラスチックによる海洋汚染が魚や生物の体内から検出される画像がしばしばみられるようになった。オーストリアの研究グループは日本を含む世界8か国の人の便を調べたら、全員からマイクロプラスチックが検出されたという(2018)。いよいよ、人間の体に影響が出てきたというわけだ。
番組の資料によれば、「サーマルリサイクル」というのは、温水プールのような焼却による熱利用等だそうだ。それは温暖化に拍車をかけた「有効利用」?ともなる。日本からアジアへのプラゴミ輸出は一時問題になり、中国が輸入を止める動きも出てきた。政府としては1000万トンに達しようするプラゴミ対策としてはそれは現実的な対応でもあるが、抜本的な解決策ではない。そこへの開発イノベーションにもっと予算をかける決断が必要だ。(円グラフは番組資料から)
そのすぐ近くの畝では、マルチを引っ張ればスムーズにはがすことができた。こちらはマルチをやってから1年以内のものだったからでもある。そして、はがした地面には藁や雑草の残骸をかけておいた。それは地中の微生物のためでもあり、野菜作りの糧でもある。
というわけで、日差しは暖かいが風が冷たいので汗はかかない状態で耕運機の出番となった。昨年は手こずった耕運機だったが、今回は優れて「いい子」だった。こうして、少しずつ黒マルチは撤収されていく。これらは大量でもないので一般ごみに出しているが、いずれ土中に分解するという生分解性フィルムを使いたい。
この生分解性フィルムを一時利用したことがあるが、価格が2~3倍もするし、強度が弱くて破れやすいという弱点があった。ここへの研究開発とか補助金を補填するとかの対策が相変わらず貧弱のままだ。農業資材のプラスチック依存も馬鹿にできない量だ。ここでもまた、将来的なデザインが欠如している日本の皮相な打算にぶつかってしまう。春を前にしてまだ暖かさには距離がある。